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【ヤマザキナビスコカップ F東京 vs 名古屋】レポート:試合終了直前のPKが…F東京から勝点2を奪い、名古屋に勝点1を与える(13.04.04)

アディショナルタイム4分が経過しようとした、そのときだった。ペナルティエリア内で名古屋DF田中隼磨の腕にボールが触れる。主審は、ペナルティマークを指差して笛を吹いた。
試合のハイライトは、この場面だった。しかし、どちらに転んでもおかしくはなかった。F東京が試合開始から主導権を握った。今季公式戦初先発の平山相太にボールを集め、そこを起点に敵陣まで押し入った。序盤から次々とシュートチャンスを作って名古屋ゴールへと迫る。だが、名古屋もゴール前では体を張って防ぎ、ペナルティエリア内から枠内にはシュートを打たせなかった。

前半、シュート1本に終わった名古屋は後半、MF田口泰士をピッチに入れて中盤の構成を変更した。田口、ダニルソンのドイスボランチの前に、玉田圭司をトップ下に配置。この配置転換でボール回しが安定すると、後半開始から立て続けに決定機をつくりだした。55分に矢野貴章がゴールを狙うと、続く57分にはペナルティエリアの外から田口が枠を捉えるシュートを放った。GK塩田仁史の脇を抜けたが、ゴールラインを割る寸前で米本拓司がボールを掻き出した。
試合は、徐々にオープンな打ち合いになっていったが、名古屋の時間を耐え抜いたF東京に試合の流れが再び傾いた。62分に森重真人のスルーパスに平山が抜け出して左足を振り抜いたが、これは楢崎正剛が阻止。82分には、攻め上がった太田宏介がミドルレンジからシュートを放ったが、これはバーを叩いた。さらに、86分には途中出場の李忠成が米本のスルーパスに抜け出してネットを揺らしたが、オフサイドでゴールは認められなかった。

そして、試合終了間際のPKを迎える。MF東慶悟がボールをセットし、助走を取る。「やろうと思っていた」とおりに、ボールをチップ気味に浮かせた。虚を突かれて倒れたGK楢崎の伸ばした腕は届かない。ここまでは東のイメージどおりだったが、「力が入りすぎてしまった」分、ボールはクロスバーを叩いた。ボールが跳ね返った先では、両チームの選手が入り乱れるようにこぼれ球に食らいついた。しかし、ボールが枠を逸れたところで、試合終了の笛は鳴った。
東は試合後、「悔しいし、申し訳ない」と唇を噛んだが、自分の選択に「後悔はしていない」と言い切った。「次のチャンスがあれば絶対に決めたい」と語って前を向いた。

F東京と名古屋は勝点5に伸ばした。得失点差でグループ首位を守ったF東京だが、「勝点1を奪ったというよりも勝点2を失った」とポポヴィッチ監督が言葉にしたとおりの試合内容だった。名古屋の3倍にあたるシュート15本を放ち、2度もバーを叩きながらもネットを揺らすことはできなかった。指揮官は「次の試合に向けての課題として、今日のゴールよりも細いゴールポストを作ってそれを使用して戦いたいと思います」と皮肉交じりに話した。
名古屋は最終的には勝点1を拾ったゲームとなったが、後半開始から15分前後でつくったチャンスのいずれかを決めきっていれば、いつもの名古屋らしいゲームで終わっていたはずだ。ストイコビッチ監督は「前後半で2つの違った顔があった。前半は我々が混乱してスペースを与えてしまい、F東京に攻撃を許した。後半は逆に我々が望むサッカーができたし、もう少しで勝つこともできたが、決定力という部分でネットにボールを刺しきれなかった」と言った。互いにやや消化不良に終わった。ただし、別の見方をすれば、最後まで球際を泥臭く戦い抜いた両チームの守備陣を称えるべき試合だったのかもしれない。

以上

2013.04.04 Reported by 馬場康平
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