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【J2:第6節 山形 vs 横浜FC】レポート:雪中のゴールショー。横浜FCを圧倒した山形が5-1で4連勝し、単独2位に浮上!(13.04.01)

公式記録に記載された気温は1.4度。ピッチが白く覆われることはなかったが、午前中から続く雪が降り止むことはなかった。そうしたなか、山形はいつもと遜色のないパスワークで、8分という早い時間にゴールネットを揺らしてみせた。起点は右サイドバック・山田拓巳のパスカット。萬代宏樹が起点をつくり、ロメロ フランクがドリブルで時間をつくりながらサイドチェンジ。秋葉勝と山崎雅人のワンツーを経て、左サイドからロメロ フランクがグラウンダーで入れた8本目のパスがラストパスとなり、ファーサイドで待つ萬代のもとへ届けられた。中央に飛び込んで引きつけたのは、パスカットからそのまま攻め込んでいった山田だったことも含め、今シーズンの山形を象徴するゴールシーンがまた一つ生まれた瞬間だった。

試合開始前、山形の奥野僚右監督は、はっきりしたプレーをすることと、セカンドボールやセカンドアクションへの対応を意識させると、こう付け加えた。「前半立ち上がりから、相手の体が動かないうちに攻撃しよう」。それを実践した結果が先制点につながったが、山形はここで手綱を緩めなかった。24分には中島裕希のパスを受けたロメロ フランクが、外を走る山崎へのパスを意識させてからループ気味に浮かせる技ありシュートで追加点を奪うと、31分の3点目は中村太亮のグラウンダーから中島。「ファーストタッチが本当にうまくいっていいところに置けたので、その瞬間に決まった」とスピードを生かし、飛び出してきたGK柴崎貴広の足元を射抜いた。

イ ジュヨンは前線の選手たちの守備での貢献度について、「前から行くことによって、相手のセンターバックやサイドバックの選手が大きく蹴れずに、それで前から取ることができて、ショートカウンターを仕掛けたり、そこでまたつくったり、バリエーション豊富に攻撃できた」と言及する。さらに、横浜FCの心臓部とも言える松下裕樹にボールを入れさせない守備を、特に2トップの萬代と中島が遂行。サイドチェンジなどの展開力を削いだことも奏功し、スムーズに攻撃へ切り換え、質を高めることにもつながっていた。

「特に前半は、よく言う言葉ですけれども『眠っている状態』だと。ここのところ、ゴールが取れていないということで、全選手が点を取ることに意識を集中し過ぎたのか、サッカーにとって大事な部分を忘れてしまっていた」。悔しさを押し殺して横浜FC・山口素弘監督が言葉を発した。3試合無得点の現状を打破しようと、高い位置でプレッシャーをかけるイメージをもってこの試合に臨んだが、「セカンドボールも取れてなかったですし、コンパクトにもできてなかったですし、だから相手にもスペースをうまく使われて押し込まれる時間が長かった」(高地系治)とむしろオレンジ色のカラーボールは自陣で回り続けた。最初の失点のあと、寺田紳一をはっきりと中盤の底に落としてバイタルエリアのスペースを埋めたが、狭いスペースでも動き出しの早さと積極性で十分にパスをつなげる山形を止めることはできなかった。

後半、横浜FCは井手口正昭と高地を下げ、佐藤謙介と黒津勝を投入。システムもバックラインを1枚削り、ワイドに人を配置する3-5-2に変えたが、その出端をくじかれたのは47分、山形のコーナーキックの場面。イ ジュヨンが田原豊と競りながら放ったヘディングシュートは混戦のなか、ゴールエリア内にこぼれたが、これを蹴り出そうとした野上結貴が軸足をすべらせたことでボールは枠の中へ。この14分後、「この選手は裏に来ないかなと自分で決めつけてしまっていて、足元でインターセプトを狙っていましたが、そこで裏に抜けられたので相手にやられた」と逆を取られたイを置き去りにして右スペースに抜け出した田原が、じっくりと中を見て、走り込んできた黒津にクロスを合わせ、横浜FCが1点を返した。

山形は相手のワイドへの対応でボランチが引き出され、バイタルを使われたり、中央にくさびを通されることで徐々に押し込まれたが、82分、中島に代わりピッチに入った石井秀典が前節に続いてアンカーポジションでプレー。これで落ち着きを取り戻した山形はカウンターからのチャンスを増やし、87分に移籍後初ゴールとなる中村太の直接フリーキックでダメを押した。

3連敗となり、「チームとして出直す」(山口監督)ことになる横浜FCと対照的に、山形は4連勝。奥野監督は最後まで得点を狙う攻撃的姿勢を崩さなかった選手たちを称賛したうえで、「選手たちの連係であったり、連動した動きも含めて、イマジネーションも含めて、みんな結びついてきたなという印象はあります。それがどんどんトレーニングを積み重ねていって、またそれに従ってタイミングも動き方もコースも、すべてが合ってきた」と、水ものとも言われる攻撃に確かな手ごたえをつかんでいる胸の内を明かした。単独2位に浮上し、次節は首位・神戸戦。敵地に乗り込む最高のシチュエーションが整った。

以上

2013.04.01 Reported by 佐藤円
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