最低気温がプラスになる日も増え、やっと雪溶けを感じさせるようになってきた札幌市内。この第４節、札幌ドームでは勝点３で17位の札幌が、同４で10位につける松本をホームに迎えて戦う。

ホームの札幌は前節、敵地で神戸と対戦して０−１のスコアで敗戦。前半途中にミドルシュートを決められて先制を許すと、その後は何とか同点を目指して攻撃を仕掛けるも、なかなか良いフィニッシュまで持ち込むことができず逃げ切られてしまった。

０−１という最少点差での敗戦ながらも、財前恵一監督はこう振り返る。
「スタートから少し圧倒された感じで、途中で落ち着いた時間はあったが、それを後半も引きずってなかなかチャンスを作れず、１試合を通して相手に圧倒されたなという印象です」

ボールをキープする場面はある程度ありながらも、いい形で運べない、回せない。相手に先制点を許してしまったことで状況はより苦しくなり、選手交代をしながら打開を試みるも、最後まで好機を作り切れず敗れてしまった。ともに今シーズンからJ2に降格してきた神戸が相手だっただけに、簡単には屈せない試合だったが、結局は力負けをしてしまったといったところか。

一方、敵地に乗り込む松本の前節は、熊本を地元に迎えてのホーム開幕戦だったのだが、１−２で敗戦。およそ1万3000人の観衆を集めただけに何としても勝利を得たかったが、前半、後半とともに中頃に失点し、終了間際に１点差とするも追いつけなかった。

「相手のストロングなところの話をして、今週もその対応もやってきたがそこでやられてしまったのが、自分達の方に少し精神的なもので問題があったのかなと思っています」と反町康治監督は自チームのメンタル面を敗因のひとつに挙げた。そのうえでこうも続ける。「我々の良さは強気でいくところ。そういう姿勢がなくなってしまうと普通のチームになってしまうかな」と。

地元の大声援を受け、積極的に前に出て行きたかったが、それができなかった。アウェイの熊本が行った４−４−２でのバランスよい守備を崩すことができないままに、リズムを変えられないまま時計の針を進めてしまった印象だ。

ただし、「ブロックの外でボールを回している分には向こうは何も怖くないですから。そこで攻撃の面で積極性に欠けたかな」と反町監督。敗れはしたものの、指揮官の中にはその要因が明確になっており、ある意味ではシーズンの早い時期に課題が出たことは収穫と言えるかもしれない。

そんな両チームが対戦するこの試合だが、ポイントとなりそうなのはズバリ、「得点」だろう。
両チームの開幕からここまでを振り返ると、試合によってはボールを自分達でコントロールしたり、ときにはブロックを作って相手の攻撃を跳ね返したり、ある意味で自分達の狙った戦略で戦っている時間帯というのは比較的長かったはず。それでも札幌が１勝２敗、松本が１勝１敗１分と勝ち星を先行させることができていないのは、得た攻撃のチャンスをしっかりとフィニッシュまでつなげることができていないから。実際に財前監督は「ウチは得点力がないので」と評しているし、反町監督も「積極性が足りなかった」と前節を振り返っている。

あらためて思い出したいのは、サッカーというのはやはり、どんな形でもいいから相手ゴールにシュートを叩き込むのが攻撃の目的。その原点に、どちらが早く立ち返ることができるか。そこがひとつの焦点となるかもしれない。

札幌は負ければ３連敗。松本も負ければ今季初の連敗。まずは連敗を止めたいところだろうが、そこで積極的に相手ゴールに向かっていくメンタルを持ち切ることができるか。その部分が問われることになる。

以上

2013.03.19 Reported by 斉藤宏則