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【J2:第3節 神戸 vs 札幌】レポート:神戸が“対応力”でJ2唯一の開幕3連勝。札幌は“得点力”不足で連敗(13.03.18)

「ダブルゲームというか、勝点6以上の意味がある試合だと思って臨んでくれ!」。神戸の安達亮監督は選手たちにそう告げて札幌戦に挑んだという。共にJ1降格チームという対戦は、神戸にとっては真価が問われる一戦となった。

というのも、「毎試合12〜13km走ってくれる」と安達監督が評すエース小川慶治朗は体調不良で急遽欠場。彼の豊富な運動量を全員でカバーする必要があったからだ。同ポジションの右サイドハーフに先発起用されたのは杉浦恭平である。ケガの影響もあって前節を外から見た杉浦は「試合に出たいと思っていたし、他の選手が活躍するのを見て焦りもあった」という想いを胸に札幌戦のピッチに立った。
その杉浦が魅せた。オフェンス全体のバランスを取る絶妙なポジショニングで右サイドに起点を作ると、前半16分にはポポからのサイドチェンジを受け、右サイドバックの奥井諒へ展開。24分にはポポへスルーパスを通すなど、センスが光る攻撃で札幌DFに的を絞らせず。札幌のディフェンスラインを下げさせるのに一役を買った。

その状況を作ったことで、前半31分のマジーニョのゴールが生まれる。札幌の最終ラインが下がったことでできたスペースをマジーニョがドリブルで仕掛ける。そして「マークは厳しかったけれど、一瞬でコースが見えました」と得意の左足を振り抜き、神戸での初ゴールを鮮やかに決めた。これで流れをつかんだ神戸は前半12本のシュートを浴びせる猛攻を見せた。

だが、追加点は奪えず。1−0で後半を迎え、もう1点を狙う神戸は、立ち上がりから杉浦、奥井の右サイドから攻め、後半51分には杉浦がペナルティエリア内で2人を交わしてシュートを放つ。そのこぼれ球をマジーニョがループシュートするなど決定機を演出。だが、札幌もセンターバック櫛引一紀と奈良竜樹を軸に、身体を張った守備で追加点を許さない。
1点が欲しい札幌は、後半最初からテクニシャンの前田俊介を投入し、その後もベテラン砂川誠、186cmの長身FW上原慎也と次々とアタッカーをピッチに送り込んだ。だが、流れを引き寄せるまでにはいかず、無失点のまま痛い敗戦を喫した。

札幌の河合竜二は失点シーンを振り返り「もう少しラインが上がっていれば…。自分も下がってしまっていたので」と渋い表情を見せた。最終ラインとボランチが押し下げられたことで、神戸に中盤を支配されたことを悔やむ。財前恵一監督は「1試合を通して相手に圧倒されたなという印象」と、こちらも渋い表情で試合後の会見を迎えた。
その言葉通り、今節に関しては神戸の早い攻守の切り替えもあって、札幌はやりたいポゼッションサッカーをやらせてもらえなかった。だが、守備に関しては神戸にシュート20本を打たれたものの、完全に崩されたシーンはほとんどなかったといっていい。得点さえできれば、流れが変わった可能性はある。

ただ、相手の対応を見て、完全に守備を崩すよりも、ミドルシュートを選択した神戸・安達監督の手腕も光ったゲームでもあった。試合後のコメントで安達監督はこう話している。
「田代のポストプレーや中盤の選手が前向きになった時に、もう少し札幌のセンターバックが前に出てくると思ったんですが…。そうすればギャップができて、もう一つ奥側へという狙いを持っていましたが、試合がはじまって、それほどでもないなと。だから、逆に2センターバックの前からも積極的にシュートを打とうと。それによってセンターバックが前に出てくることもありますし、あの辺からシュートを打って決められる選手がウチにはいますので」
実際、マジーニョの決勝点をはじめ、ポポや杉浦、エステバン、橋本英郎らがミドルシュートを放つシーンが見られた。それによってセンターバックが前に出てくることは少なかったが、札幌のボランチ河合が「もう少しラインを上げる必要があった」と振り返るように、最終ラインを下げる効力はあった。結果的に中盤にできたスペースを支配したのは神戸だったことを考えると、ミドルシュートは非常に効果的だったと言える。この札幌戦に関して言えば、小川慶治朗の欠場も含め、状況に応じた対応力こそが、神戸の“真価”かもしれない。

これで神戸は開幕3試合を無失点勝利。この勢いをもって、最高の形で、序盤戦の山場となる京都戦(3/20@西京極)を迎える。

以上

2013.03.18 Reported by 白井邦彦
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