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【J1:第1節 広島 vs 浦和】プレビュー:満員のエディオンスタジアム広島で展開されるJ屈指の好カード。同じコンセプトの両雄の激突に刮目せよ(13.03.01)

2年連続同じ開幕カード。場所も、名前こそ「エディオンスタジアム広島」と変わりはしたけれど、昨年と全く同じ。違っているのは広島が昨年初優勝を果たし、浦和も15位から3位へと復活を遂げたこと。広島から浦和へと「移籍」が続いたこともあり、「因縁」と言われることも多いこのカードだが、昨年の優勝を争った当事者同士の闘いという意味でも、注目したい対決である。

浦和は、間違いなく今季の優勝争いの本命だ。各メディアでの順位予想も、おおむね1位。昨年不在だった「ストライカー」「攻撃的な右ストッパー」の位置に興梠慎三・森脇良太を獲得。サイドやシャドーもできる関口訓充に加え、守備のスペシャリスト那須大亮も補強。ペトロヴィッチ体制2年目を迎えるにあたり、2チーム分を構成できる豊かな選手層をそろえてみせた。ACL初戦の対広州恒大戦では0-3と敗れたが、失点はいずれもミス絡み。アジアでは反則級のタレントをそろえた中国のビッグクラブに対し、内容では決して引けをとっていなかった。しかも、対広州戦では出場しなかった興梠が、広島戦では満を持して登場する予定。ベスト中のベストメンバーをそろえ、自信を持って赤の軍団は広島の地に立つ。

迎え撃つのは紫軍団。ACLでは浦和同様に初戦敗戦の憂き目を見たが、それでもFUJI XEROX SUPER CUP(以下、FXSC)で見せた「盤石の広島」に揺らぎはない。ACL・ブニョドコル戦では、FXSCから3人も選手を入れ替えたにも関わらず、後半は広島らしい攻撃性に満ちた闘いができた。「育てて強くする」広島の姿勢により、ゆっくりとではあるが、若者たちのつぼみがふくらみつつある。

フォーメーションもコンセプトも同じ。ペトロヴィッチ監督が種を蒔き、5年半にわたって育てた広島は、森保一監督の手によって大きな花を咲かせた。その名伯楽の手によりチーム改革が進行、わずか1年で充実感を膨らませた浦和。どちらも、いわばミハイロ・ペトロヴィッチの息子たちであり、兄弟同士がピッチで対峙するようなもの。当然、相手のことは互いに熟知しているわけで、やりにくいと言えば、これほどやり辛い相手はない。

浦和側にしてみれば、優勝争いまっただ中の昨年11月17日、埼玉スタジアム2002での決戦での勝利が一つの指針となる。広島の危険な1トップ2シャドーをマンマーク、両ストッパーもほとんどあがらずにスペースを消し、リアクションに徹したあの闘いだ。ただ、Jリーグナンバー1のロマンチストであるペトロヴィッチ監督が果たして、あの時ほどのリアリズムに徹するだろうか。優勝候補ナンバー1の誇りを胸に、堂々と自らが信じる攻撃的サッカーを貫くのではないか。

もしそうなれば、明日の試合はこれ以上ないガチンコとなる。組織だけでなく、個人の破壊力という部分でも、広島と浦和に大きな差は感じない。マルシオ リシャルデスと柏木陽介のアイディアと精度は尊敬に値するが、水本裕貴・千葉和彦・塩谷司の3バックは簡単には崩れない。青山敏弘と森崎和幸のダブルボランチはリーグ屈指のバランスだが、阿部勇樹・鈴木啓太のコンビも強い。槙野智章・森脇良太、両ストッパーの破壊力は強烈だが、彼らが攻撃に出れば出るほど、佐藤寿人の破壊力は凄みを増す。

この両チームが「がっぷり四つ」に組んだならば、勝負の分かれ道は「ミス」の有無になる。ACLでは互いにそのミスがそのまま失点につながり、膝を屈した。サッカーにミスはつきものではあるが、それを勝利に直結させるしたたかさを発揮したチームが、最終的に歓喜を叫ぶことになるだろう。

今日の練習を終えた青山敏弘は、浦和戦に向けて、静かに言葉を吐き出した。
「浦和は今、日本で一番いいチームだと思う。そこを認めて挑まないと痛い目にあう。僕らは常に挑戦者。浦和に対してリスペクトを表して、戦いたい。ただ、浦和相手だとモチベーションがあがることも間違いない。相手にウチから移籍した選手がいればいるほど、そういう想いは強くなる。その気持ちを、敢えてそのままグラウンドで出せばいい。それができない選手は、グラウンドに立つ資格はないと思う」
そう。広島は常に挑戦者。それは優勝しても変わらない。相手は優勝候補筆頭、Jリーグ・ナンバー1のビッグクラブ。泥臭く、激しく、広島のサッカーで闘いを仕掛ければいい。今日、広島の選手たちを濡らした雨も明日にはあがり、晴れ間が広がるという予報。満員が予想されるエディオンスタジアム広島できっと、Jリーグ最高峰の闘いが見られることだろう。その期待感に今から、胸の高鳴りを抑えられない。

以上

2013.03.01 Reported by 中野和也
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