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【J1:第4節 横浜FM vs 鹿島】レポート:両チームが渇望した白星は奪えずも、勝利への地固めに一歩ずつ前進(12.04.01)

横浜F・マリノスの『20周年メモリアルゲーム』ということで、さまざまな演出が用意されていた。試合前、93年のJリーグ開幕戦でのエバートンのゴールから始まり、03年、04年度の優勝シーン、栗原勇蔵のチーム通算1000ゴールまで、名シーンが続々と映像が流される。選手入場後にはイレブンを、この日、来場した1993年から4年間在籍のMF、ダビド・ビスコンティ氏が激励した。

試合の立ち上がりから25分ぐらいまでは、横浜FMがやや押し気味にゲームを運んでいた。この日、大黒将志が1トップを張り、中村俊輔がトップ下を務め、今季初先発の中町公祐が谷口博之とダブルボランチを組む、中盤に厚みをもたせた布陣がある程度、機能。ボールポゼッションがスムーズになった。特に効いていたのは中町だ。「マチ(中町)からいいボールが出た」と中村も言うように、ダイレクトやワンタッチプレーが多いシンプルな配球ながら、的確な“散らし”が、淀みないボール回しを生む。

また、中盤がサイドハーフを含め5枚になったということで、守備の面でもメリットが。「(守備の時には)自分も下がってスリーボランチみたいになって守った」(中村)結果、上手くリトリートして、守備の穴を丁寧に埋めることができたのが、無失点の要因の一つだったのではないか。
ただし、良い面もあれば、悪い面も。中盤に比重が置かれたため、どうしてもゴール前での迫力を欠いたことだ。それを如実に表しているのが、前後半を合わせたシュート数3本という結果である。その中に決定機は含まれておらず、これが新たな課題として浮き彫りになった。

試合は、25分を過ぎると鹿島の選手たちが、躍動し始める。鹿島らしく前線の選手が流動的に動き回り、ボールを引き出してから落とし、それを受けた小笠原満男らのMFにサイドバックも絡んで、相手のサイドをえぐりにかかる。19歳の梅鉢貴秀も落ち着いたボールさばきで、リンクマンに徹した。決定機もあった。43分、左CKを飛び込んだ岩政大樹が足で合わせ、ループ気味になったシュートが、ゴールに吸い込まれるように見えた。しかし、GK飯倉大樹が間一髪、左手で弾き出す好セーブで防いだ。

後半に入ると前半から降り出した雨が、一層激しさを増し、極寒の冷え込みに。試合はお互いチャンスが訪れそうで、なかなか訪れない。57分、中澤佑二を突破してゴール前に侵入した興梠慎三を、栗原勇蔵がナイスカバーで止める。74分、ゴール前で中村が、走り込んだ金井貢史へ絶妙なタイミングでスルーパスを送ったが、ここは岩政が執念のスライディングタックル。横浜FMは小野裕二、鹿島はジュニーニョと、それぞれベンチに置いていたジョーカーも使ったが、それでもゴールは遠かった。

この結果、両チームともリーグ戦未勝利という状況と決別することはできなかった。しかしながら、「中町は十分役割をこなしてくれた」(樋口靖洋監督)、「今日は、チームにとって勝点以上の収穫もあった。一つが梅鉢(貴秀)の活躍」(ジョルジーニョ監督)と、新たな人材も見つかった。勝利のための地固めは、お互い完成に近づいているに違いない。

以上

2012.04.01 Reported by 小林智明(インサイド)
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