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【J1:第4節 F東京 vs 広島】プレビュー:F東京が最悪の相性“だ”を“だった”に変える。広島のやりきるサッカーの壁を越えろ(12.03.30)

F東京はMF長谷川アーリアジャスールを出場停止で欠き、MF梶山陽平も負傷で出場回避が決定的だ。プレーメーカーが不在だが、MF米本拓司、FW渡邉千真といった出場機会に恵まれなかった選手たちにとっては大きなチャンスとなる。「2人が簡単に帰ってこられないような状況を作って欲しい」と、指揮官も期待を込める。

その手負いのF東京の前に立ちはだかる広島は、ここ数年、面白いサッカーをするチームという評価を常に得てきた相手だ。ポポヴィッチ監督は「1年半を過ごした場所だし、私が知っている選手もいる。アドバイスをした若手選手が成長したことはうれしく思う。10年近く同じチームでプレーしている選手も多く、阿吽の呼吸も取れるチームだよ。下部組織の充実ぶりを考えるとバルサに近いイメージがある」と、その印象を語っている。F東京もまた美しく勝つことを目指すチームだ。お互いのサッカーの哲学をぶつけ合う最高の一戦への期待も自然と高まる。

ただし、F東京は、広島の特長的な3−4−2−1システムとの相性は最悪“だった”。2007年リーグ第23節から広島相手に勝利を挙げることができておらず、2009年以降は1分3敗と負け越している。事実、J2では多くの対戦相手がF東京対策として同じ並びのシステムを採用してきた。GK権田修一は「今でこそ、あの並び方をしてくるチームも増えたが、J1では特殊な部類に入ると思う。J2でも同じ並びに突然変えてくるチームもあったけど、精度はさらに高いと思う」と話す。

思うような結果が得られなかったのは、相性によるところが大きい。これまでのF東京は、ボールロストを最小限に抑えようとして攻撃のテンポが上がりきらない試合も多かった。そこで広島は、ウイングバックを下げて5バックで守り、焦れて人数をかけたところにカウンターを合わせてきた。1トップの後ろに控える2シャドーを捕まえきれないことが失点の主だった原因でもあった。広島は自陣のスペースを消しつつ、前線には3選手が残る。1トップのFW佐藤寿人が背後を狙いつつ、2シャドーが最終ラインと中盤の間に上手く入ってパスを受けてくる。どんなに敵陣内でプレーしていても、シャドーがいい状態でパスを受けた瞬間から広島の攻撃のスイッチが入る。攻守両面でやりきる広島に、F東京は苦戦を強いられてきた。権田は「あくまでもベースは臨機応変」を強調する。2シャドーの対応について「受け渡しの質を上げないといけない。こちらのスタートポジションをしっかりと取って隙を作らないこと。そして、ボールホルダーへのプレッシャーも大切だと思う。ただし、イメージを共有しつつも、こちらがセット仕切れなくても防げるような準備も必要だと思う」と語った。

これまでのF東京であれば、旗色は決してよくない。しかし、今季から取り組んでいる速いテンポの攻撃が機能すれば、相手の陣形が整う前に攻めきることも可能だろう。DF森重真人は「速く攻めなければ、5バックになってしまうのでテンポの速いサッカーで得点も狙いたい。問題は後ろに重くなってでも時間を作ろうとすることも必要なので。そこの使い分けだと思う」と言う。ボールを繋ぐだけでなく、相手カウンターを受けやすくなるというリスクを冒してでも縦へのパスを入れていくことも必要だ。相手3バックの脇への飛び出しや、グランドの四隅を突くような速いタイミングでのパス出しも積極的に活用したい。

ポポヴィッチ監督の戦術が浸透していれば苦手にしてきた広島の壁を乗り越えられるはずだ。ここが今季の分水嶺。チームの進捗状況を図るには格好の一戦となるだろう。

以上

2012.03.30 Reported by 馬場康平
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