新潟、G大阪ともにリーグ戦開幕3連敗。勝点3を手にしたい気持ちはどちらも強い。新潟は故障などで戦列を離れていたMFミシェウが復帰、後半からの途中出場が見込まれる。後半に崩れるパターンが続いているだけに、前半で流れを作り、後半はミシェウのゲームメークで最後まで主導権を握る狙いがある。G大阪は26日に就任したばかりの松波正信新監督の初采配。チームの結束を固めてトンネル脱出に挑む。
空気が一変した。29日の新潟の紅白戦。ミシェウは1本目はサブ組でプレーし、2本目に主力組の左サイドハーフに入った。同時に、今まで堅かった主力組のボール回しがスムーズになった。
フォワードとボランチの間でボールを受けると、周囲の味方に効果的なパス。隙をみせた相手からボールを奪い、すぐに前線に通す。ポジションにとらわれず、あらゆる位置でボールをさばく。自然と攻撃は活性化された。
主力組はブルーノ ロペス、平井将生のツートップにFW矢野貴章が右サイドハーフに入る布陣。ミシェウが自在にコントロールすることで、3トップに近い形になり、攻撃の厚みは増した。
「十分に試合で使える状態になった」。黒崎久志監督は太鼓判を押す。ミシェウ自身は「主力組に入ったのは2本目だけ。まだイメージ通りに体が動いてはいない」とコンディションには物足りなさを感じている。それでも「100パーセントでなくても、ゲームになったら全力を尽くす」と言い切った。
開幕前から足に違和感を覚えた。シーズンが始まってからも別メニューを続けた。ようやく状態が整ってきた第2節大宮戦の直前、家庭の事情により15日から22日のまでの1週間、帰国せざるを得なかった。作りかけた戦闘態勢をもう1度構築しなければならない。その中でチームの状態をきっちり把握することを心がけた。
新潟は第2節大宮戦で前半に先制しながらも、後半に逆転を許した。第3節名古屋戦も前半は圧倒しながら、後半に入ると主導権を握られて敗北。90分間、自分たちのペースで闘いきれない。「前線がフィニッシュに持っていけるような形を作らなければ」。ミシェウは自分が入ることで、前線の下でボールをキープし、 自分たちの時間帯を長く作ることを意識に置く。
「僕はチームの一員。僕だけじゃなくみんなが大事な選手」。自分にかかる期待を承知しつつ、チームの結束を促す。初勝利を手にするために「全員が信じあうことが大切」。プレーだけでなくメンタル面でも司令塔になる。
G大阪も勝利への意欲は新潟と同等に強い。新潟と同じく開幕3連敗。AFCチャンピオンズリーグも含めると公式戦5連敗。解任されたセホーン前監督に代わって、指揮を執る松波監督の下、チームは固まりつつある。
コーチを務めた西野朗元監督時代から、兄貴分的存在。攻撃的スタイルを継承すると同時に、個々のコミュニケーションを深め、連系を強める。
5連敗中の総得点は4。そのため、司令塔の遠藤保仁が少しでもゴールに近い位置でボールに触れるように、後ろからの押し上げも必要になる。中澤聡太から中盤へのつなぎなど、全体で攻守の連動を図る。
どちらも気持ちを前面に出してくる一線。球際の勝負で競り勝ち、凡ミスを少なくすることが流れをつかむための絶対条件になる。
以上
2012.03.30 Reported by 斎藤慎一郎(ニューズ・ライン)