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【J1:第4節 鳥栖 vs 神戸】プレビュー:結果を自信に積み上げてきた鳥栖。強力な攻撃陣を擁する神戸に対して、前線からのプレスが通用するか。自信を確信に変える一戦となる。(12.03.31)

勝利は、何物にも変えがたい力となる。
前回のプレビューでも冒頭に述べさせていただいた言葉である。
得た自信は次の試合の力となり、その力がどこまで相手に通じるかを図るのが試合である。その試合が、2節続けてホーム開催となる。毎試合、1万人を超えるファンとサポーターの声援を受け、選手たちは得た自信を最大限にピッチの上で表現している。今節の相手は、ここまでの3試合で勝点6をあげて9位に位置する神戸。的確な補強で強力な攻撃陣を作り上げたチームである。

神戸は、サイドバックやボランチも好機と見るや前線に顔を出すように連動した攻撃を見せる。DF近藤岳登、相馬崇人、MF伊野波雅彦、野沢拓也、FW大久保嘉人、吉田孝行、都倉賢…そうそうたるメンバーが虎視眈々とゴールを狙う。そして、その根底にあるのが、“ボールを動かす”意識である。セカンドボールを拾うと、それが動き出しのサインとなり前線が活性化する。今季の5得点のうち3得点は、流れの中から生まれた得点で、開幕戦では大久保、第2節札幌戦では近藤、都倉とサイドを使った“ボールを動かす”流れから得点をあげている。和田昌裕監督の目指すサッカーが浸透して来ている証拠だろう。

これだけ、強力な攻撃陣を擁する神戸に対して鳥栖はいかにして戦えばいいのだろうか。鍵は、第2節の神戸対札幌にあった。札幌のプレッシングに手こずり、“ボールを動かす”ことが自由にできなかった。7分に先制されると、本来のリズムをつかむまでに時間を要し、22分に近藤のゴールで追いついたものの、勝ち越しゴールは83分(途中出場の都倉)。最後まで、札幌の前線からのプレスを打ち破れず、神戸はリズムを作れなかった。

鳥栖は今季の戦いで、この前線からのプレスが非常に利いている。
ワントップのFW豊田陽平がプレスのスイッチを入れると、2列目のFW池田圭が連動する。サイドにボールを追い込めばサイドMFとボランチ、サイドバックがボールを奪いに来る。もちろん、中央のパスコースはボランチが消しているので、相手は自由に“ボールを動かす”ことはできない。今季喫した2失点(第2節磐田戦)は、崩されたものではなく不運な面が重なったものだった。
そして、奪ったボールはシンプルにつないで相手のゴールに迫るのである。神戸ほどの華麗な“ボールを動かす”サッカーにはなっていないかもしれないが、今季の初得点となった豊田陽平(第2節磐田戦)は、センターバックの呂成海のクリアボールをMF藤田直之が頭でつなぎ、MF金民友が中央をドリブルで運んで最後に豊田が左足で決めた実にシンプルなものだった。
相手に守備時間を与えず、自陣ゴール前から相手のゴールまでの最短かつ相手が嫌がるコースを突いたものだった。今節も、第1節から見せている前線からのプレスが機能すると、鳥栖に勝機が訪れるだろう。逆に神戸は、鳥栖のプレスをかわすことができれば、自由に“ボールを動かす”ことでリズムを作ることができるだろう。今節のベストアメニティスタジアムは、スピーディな試合になるに違いない。今節も熱くなりそうだ。

ボールを奪われた瞬間にボールを奪い返すことができれば、組織で守る必要はない。最近の試合を観ていて、強く感じることである。
時には、相手にボールを持たせておき守備でのブロックを作る時間を稼げれば、守備で主導権を握ることもできる。これも、強く感じることである。
サッカーの華は得点とわかっていても、ボールの奪い方(守備の意識)にも見入ってしまう自分がいる。華である得点の裏側には、そこに至るまでの守備での問題点があるわけで、それを見つける楽しみ方もある。
観る側によって、得点は失点であり、攻撃は守備である。華もあれば影もある。
サッカーは、視点を変えると幾通りもの面白さが見つかるスポーツである。

以上

2012.03.30 Reported by サカクラゲン
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