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【J2:第5節 京都 vs 町田】レポート:初対決の一戦は、決定機を決め切った京都に軍配。成長過程同士の一戦で、それぞれの収穫があった試合に。(12.03.26)

町田を西京極に迎えての第5節は、流れを掴まれた京都が決定機をものにして逃げ切った。
出場停止の中山博貴、チョンウヨンの位置に駒井善成、倉貫一毅を起用した京都は、さらに、長期離脱が予想される秋本倫孝のセンターバックのポジションに福村貴幸を入れた。
ゲームは「中盤でセカンドボールが拾えなかった」(京都・大木武監督)と、京都が後手に回る展開に。町田は前線の勝又慶典、平本一樹に当て、そのこぼれを拾うパターン。最終ラインから中盤を飛ばして、或いは、サイドから中央と、積極的にターゲットに送り込む。
京都も中盤でつないでみたり、シンプルに裏を狙ったりと攻め手を探る。19分の倉貫を起点につないでフィニッシュに持ち込んだ形は特筆すべき攻撃だった。

後半に入っても、流れは大きく変わらなかった。だが、町田にとっては前半で守備的MFの太田康介が負傷で下田光平に交代、さらにセンターバックの薗田淳が後半、肉離れを起こしてしまう。
そんな状況での61分、京都はスコアを動かした。自陣に守備に入っていた中村充孝がこぼれ球をダイレクトで前線の久保裕也に送ると、久保はドリブルでエリア内へ入り、シュートを放つ。そのこぼれ球を中村がダイレクトでゴール左隅に決め、京都が先制。
その後、京都は久保裕也に替えて原一樹を投入すると、83分。京都はまたもやカウンターで左サイドにいた宮吉拓実へ。宮吉がアーリークロスで逆サイドへ送ると、走り込んだ駒井が中央へ折り返し、最後は原一樹。これをきっちり決めて京都が2−0とリードを広げる。
その後、猛攻を仕掛ける町田と守る京都という展開に。終了間際にCKから平本に頭で決められ2−1とされるも、京都は逃げ切って勝点3を積み上げた。

試合後、オズワルド・アルディレス監督は「ケガ人が出た中で、この試合の中で色々と変えていかなければならなかった」と、アクシデントがあったことを明かしつつ、「自分たちから観ても大変いい試合だった」と胸を張った。

京都・大木監督は今節の試合について「勝てたこと」を一番の収穫に挙げた。
今節については、セカンドボールが拾えなかった等、細かいネガティブなポイントがあるが、あまりそこに固執しなくても良いのでは、と感じさせた。
岡田武史前日本代表監督の例え話に、「成長、成長と言ってレンガを上に積み上げていくと不安定になって崩れてしまう。一度横に広げて積み上げることで安定する」というのがあったが、今節の京都は横にレンガを広げて積み上げた感じである。その積上げ方の修正点よりも、このレンガでどういう建物を作り上げるのか、という大きなイメージを描いた方が良いのでは、と思ったのだ。
今季の京都の良いゲームを思い浮かべてみると、第2節の千葉戦、その次の熊本戦が挙がる。開幕戦の湘南戦も悪くなかったはずである。これらのゲームイメージを取り戻す方が、今節の反省点を修正するよりも良いのでは、ということである。

例えば、である。これまでの試合後のコメントから教訓を拾ってみる。
昨年、第14節F東京戦(●1-4)の試合後会見で、大木監督は「ボールの受け方とかですね。少し、高いポジションというか、つまってしまう様な感じでした。後ろから出て行くんじゃなくて、先に前にポジションを取ってしまって、そこで受けようとする様な感じも無きにしもあらずという感じだったですね。その辺りは少し修正しなくてはいけないなと思います」。今節の攻撃にも通じるのではないだろうか。
工藤浩平が先発復帰した昨年第6節の札幌戦(○4-0)後の、工藤自身のコメント。「ゲームを観ていて、動き出しというか、連動性がないかなと思っていたので、その辺の一番手になれればいいかなと思っていたんですけど」。これをもう一度プレーしようとするなら、チームはどういうバランスを取るべきか、ということで、京都らしいゲームになれば、これらの点は自然と改善されているのではと思う。

なぜ、今節の様なゲームになってしまったか、というと、やはり前節の鳥取戦での敗戦となるのではないか。
第2節の千葉戦で良いゲームができたが、前節の鳥取戦で京都はやりたいことが出来なかった。そこで今節、これまでの自分たちのサッカーを、一度組み解いて違う風を入れてみた、という印象を持つ。だから、またそこから京都のサッカーを構築することになるのではないか。そして、もう一度、相手の「京都の良さを消しにくる」サッカーにぶつかった時、今度は鳥取戦とは違う対応が出来る様になる。そんな成長過程である様に思う。今節だけを切り取るのではなく、数試合のスパンで眺めた方が良いだろう。

成長は螺旋階段を登る様なもので、一歩ずつ登っている様で「良い時の裏の方向」へ進んでいることもある。でも、また戻るのである。その時、ステージを一つ上がっている、そんな感じである。その過程で出る言葉が「続けよう」や「継続性」となるのだろう。

以上

2012.03.26 Reported by 武田賢宗
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