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【J2:第5節 千葉 vs 徳島】レポート:攻守で選手の距離感がよかった千葉が、ルーキーの大岩の2得点もあって徳島戦初勝利。徳島はミスからの失点と単発な攻撃が悔やまれる。(12.03.26)

J2リーグでは近年、J1昇格チームから必ず得点王が生まれている。それならば、今季は千葉から得点王が生まれてほしい。だが、一方で、絶対的なエースに頼るのではない『全員攻撃&全員守備』のサッカーでJ1の優勝争いを演じ、2005年のヤマザキナビスコカップで初タイトルを獲得するなど、強かった時期の千葉は誰が出てもレベルが落ちることなく試合ごとにヒーローが生まれていたように思う。今季の千葉は開幕戦では2得点のFW藤田祥史、第3節では2得点のFW深井正樹&1得点2アシストのMF兵働昭弘というヒーローが生まれた。そして、今節のヒーローは2得点の大卒ルーキーのDF大岩一貴だ。

序盤は互角の戦いだった。前節と同じスタメンで臨んだ徳島は開始わずか1分、MF鈴木達也の突破からCKを蹴ると、その鈴木のCKをファーサイドでFWジオゴが受けてパスをつなぎ、最後は鈴木がシュート。一方、千葉はMF佐藤勇人の負傷欠場を受けてダブルボランチの一角にMF伊藤大介が入り、選手登録完了直後のMFレジナルドが右サイドハーフに入った。千葉は10分に、MF佐藤健太郎の見事なミドルレンジのパスを右サイドバックの大岩が受け、大岩のクロスがワンバウンドになったのにレジナルドが右足で合わせるシュート。千葉のボール回しに対し、全体をコンパクトにしてプレッシャーをかけることで寸断する狙いか、14分、千葉がボールを保持していると、徳島の小林伸二監督が「ディフェンスラインを上げろ」という感じのジェスチャーをしていた。

徳島戦ではなかなか得点できない千葉にとって非常に重要なのが先制点だったが、それは少し意外な形から生まれた。16分、徳島のDF福元洋平のミス気味のロングフィードを伊藤が懸命に足を伸ばしてクリア。このボールを藤田が胸で落とすと、近づいてきていた兵働が拾い、左前方のスペースへスルーパス。走り込んだ深井が強烈なシュートを打ち、GK榎本達也のセービングを弾いて決まったのだ。千葉としては今季、目指してきたディフェンスラインからのビルドアップの形ではなかったが、「相手のミスを誘発してボールを取ってショートカウンター」(伊藤)の狙いもあったという。試合後の記者会見で語ったように、小林監督にしてみれば一番警戒していたはずの深井に先制点を奪われた形になった。

千葉が徳島戦を勝ちきるには、追加点を取れるかどうかが一つのポイントだった。だが、31分、伊藤のCKから大岩がヘディングの高さと体の強さを生かし、プロ初ゴールをゲット。さらに大岩は85分、伊藤からパスを呼び込むと思い切りよく右足を振り抜き、サイドのゴールネットに突き刺さる豪快なミドルシュートを決めて勝利を決定づけた。前節は前半にCKから、後半は裏への抜け出しから決定機を得ながら、シュートミスで無得点だった大岩。試合の前々日に、木山監督から「アグレッシブにやれ」と叱咤されて意識を変え、「これで取り返したとは思っていない」にしても見事に雪辱を果たした。

徳島はうまく千葉にプレスをかけられず、ミスから失点したのが痛かった。鈴木、そしてFW津田知宏が突破力は見せたが、前線でボールの収まりどころがないためタメが作れなかった。千葉のプレスに過剰反応してしまったか、連動性がなく単発な攻撃が多かった。
千葉は徳島のプレッシャーがあまり厳しくなかったため、大岩とDF武田英二郎の両サイドバックが再三高い位置でプレーできた。それでサイドから厚みのある攻撃ができたが、それもDFの山口智と竹内彬の両センターバックなど他の選手のサポートがあってこそ。攻守の選手の距離感もよく、ヒーローは大岩でも全員で獲得した徳島戦初勝利だった。

以上

2012.03.26 Reported by 赤沼圭子
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