Ｊ２リーグ戦第４節終了時で２勝１分１敗の勝点７、得点数５、失点数２。データの数字は全く同じで同率７位の千葉と徳島の直接対決は、Ｊ１昇格を目指し続ける両チームにとって、そしてＪ１昇格争いの行方を占う意味でも非常に重要な一戦となる。それも、Ｊ２リーグ戦での対徳島戦の通算成績が１分３敗と未勝利の千葉にとっては、特に重要だ。

第３節では、横浜ＦＣが攻守ともに不調だったことにも助けられ、３−０と完勝だった千葉。だが、続くアウェイゲームでの福岡戦は、第３節で大活躍だったＭＦ兵働昭弘が厳しくマークされて苦しんだ。連戦、そして不慣れなスタジアムの芝の長さの影響もあり、特に後半は疲労の蓄積からくる攻守のミスも出た。だが、その状況下で、結果的に決めきれなかった後悔は残るものの、ＦＷ藤田祥史やＤＦ大岩一貴などが決定機を作っていたのは好材料といえる。また、逆に福岡のＭＦ成岡翔やＦＷ坂田大輔などに作られた決定機の場面では、ＧＫ岡本昌弘の好守もあって何とかしのいだ。試合終盤に押し込まれた時間帯など、昨季までの千葉だったら失点して敗れていたかもしれない試合展開でも勝点１を持ち帰ったのは、選手個々やチームの精神的な強さの変化が感じられた。

一方、昨季は最終節で岡山に敗れて４位となり、初めて明確な目標に掲げた『Ｊ１昇格』をあと一歩で逃した徳島は、４シーズン率いた美濃部直彦前監督のあとを受けて今季から小林伸二監督が就任。第３節の栃木戦はＰＫで失点し、必死に反撃したものの栃木に守りきられて０−１で敗れた。続くアウェイゲームでの草津戦は連敗を避けたいチーム同士の対戦で、互いに決定機をモノにできずスコアレスドローに終わった。千葉と同様、勝ちきれなかった悔しさの中で得た勝点１を、今節はどのように生かしていくのか注目だ。

千葉は、昨季の対徳島戦の２敗のスコアがいずれも０−１だったこと、対徳島戦４試合の通算得点数が２という数字が示すように、いつも徳島の堅守を崩しきれない。ましてや、徳島の小林監督は指揮を執ったチームでは常に堅守を構築してきたし、センターバックのＤＦのエリゼウと福元洋平は高さも強さもある。今節では、効果的なサイドチェンジ、単純に縦に飛び出すのではなくダイアゴナルランなどで徳島の守備に揺さぶりをかけ、隙を突いて得点したい。また、今節からは、選手登録が終了した新戦力のＦＷレジナルドが出場可能だ。全体練習に参加した時間が短いため連係面にはまだ難が残るが、フォア・ザ・チームと得点への意識が高いレジナルドがもたらす効果にも期待がかかる。

一方、守備はディフェンスラインを高く維持して全体をコンパクトにする分、背後のスペースを狙われる。特に、左サイドバックにＤＦ武田英二郎、左サイドハーフにＦＷ深井正樹と縦に仕掛ける攻撃が魅力の２人が入ると、ウィークポイントになりがちだ。徳島の右サイドハーフのＭＦ鈴木達也は、スピード＆タイミングを生かして相手の裏に飛び出すのがうまいだけに警戒が必要だ。パワフル＆スピーディーなＦＷ津田知宏にも注意したい。

まだシーズン序盤とはいえ、プレーオフ出場権獲得圏内（３位〜６位）から外れた７位という順位は、両チームには不本意なものだ。ライバルに勝ち、自動昇格圏内（１位と２位）入りを目指す戦いは、かなり激しいものとなるだろう。千葉は対徳島戦のデータの不安を完全に払拭するような戦いぶりで、フクアリでの前回対戦の悔しさを一掃してほしい。

以上

2012.03.24 Reported by 赤沼圭子