2日前の福岡戦に勝利し、湘南は開幕3連勝を飾った。3連勝は、2009年に第43節から第46節まで4連勝して以来3年越しとなる。勝利もさることながら、複数得点を重ね、なにより勝負を決定づけるゴールを試合終了間際に決め続けている点が逞しい。
反面、失点もまた3試合連続で喫している。前節は動きの鈍った時間帯に失点し、京都との開幕戦でもジャッジの影響があったとはいえ同様に虚を突かれてゴールを許していた。第2節の草津戦では後半立ち上がりに失点し、相手の勢いに試合終盤まで後手を踏んだ。
鋭いアプローチや攻守の切り替え、高いシュート意識を含む積極的な攻撃姿勢によって、過去3戦は主導権を握る戦いが体現されている。裏を返せば、失点はその握力が緩んだ際に喫したものと言えるだろう。相手のよさはもちろんある。ただ、主導権を握れているだけにピンチもまた自らの掌中にあるとも捉えうる。少なくともこれまでの失点はその印象が色濃い。
それゆえだろう、明日の岐阜戦に向けて、曹貴裁監督はこんなふうに語った。
「自分たちのやるべきことを90分謙虚にやり続けられるかどうか、相手よりも自分たちが大事。その意味では、明日のゲームはメンタル的な勝負の意味合いが強いと思います」
今節湘南が迎え撃つ岐阜は、鳥取とのホーム開幕戦に2−2で引き分けると、続くアウェイ徳島戦では0−3に沈んだ。ふたたびホームに帰った前節は、悪天候のなかで草津とスコアレスドローを演じている。鳥取戦、徳島戦ともに立ち上がり10分以内に失点したことを思えば、また1試合平均2失点を超えた昨季を思っても守備の進化が窺える。逆にここ2戦は得点がないため、守備の構築をゴールまで結びたい。J2に昇格した2008年以降、一度も勝っていない湘南を降すことができれば、チームの進化はより明瞭になろう。
「難しいゲームになると思う」曹監督は岐阜の印象を踏まえ、明日を見据えた。
「選手たちの特徴を発揮しながら、攻撃にも守備にも主体性を感じるし、やってやろうという気持ちの強い選手が集まっていると思う。我々はこれまでもつねにチャレンジャーの気持ちで試合に臨んできた。岐阜さんとの試合も同様に、勝点3を奪うべく謙虚に臨み、自分たちのよさを出さなければいけない。疲労度も含めて、シビアなゲームになると思う」
中2日の連戦だ。どのチームにとっても厳しい日程であることは紛れもない。ふと、大野和成が以前口にした言葉を思い出す。「体がキツイ時こそラインを上げることができている。だからこそ結果にも繋がっていると思う」。岩上祐三もこんなふうに語ったことがある。「サポーターの力は大きい。声援のおかげで走ることができている」。ホーム連戦という大きなアドバンテージを活かすのは言わずもがな、湘南はホームの声援を後押しに、始動から培ってきた走力を厳しい日程だからこそ示したい。
以上
2012.03.19 Reported by 隈元大吾