前節の敵地岐阜戦。激しい雨により水溜りとなったピッチをみて、副島監督は試合直前に先発の入れ替えを決断した。司令塔熊林親吾に代えて櫻田和樹、J2屈指のポストプレーヤー・リンコンに代えて金成勇、さらにヘベルチ、遠藤敬佑、内藤圭佑をスタメンで起用するなど計5選手を入れ替えて“雨のピッチ”と対戦した。結果はスコアレスドロー。勝点3を奪えるチャンスも確かにあったが、勝点1を得てホームへ戻ってきた。
「勝点1という結果はベストではない。だがこの1点がリーグ戦の最後で意味を持つようなシーズンにしなければいけない」と副島監督。草津は、雨という不可抗力によって自分たちのサッカーが表現できなかったうっ憤を今節徳島戦で晴らす。CB中村英之は「岐阜戦はストレスとの戦いだったので、徳島戦では自分たちのサッカーをみせてホーム初勝利を決めたい」と中2日の徳島戦へ向かう。
草津のキープレーヤーは2人だ。まずは3月20日の試合当日が誕生日となる新加入の遠藤敬佑だ。水戸から加入した遠藤は開幕2戦ともに途中出場を果たし前節は先発出場、チームにフィットしてきたことで攻撃の特長が発揮されてきた。「今年は自分にとって重要な1年なので個人的にも結果にこだわっていく。徳島戦は自分のゴールでチームが勝てるようにしたい」(遠藤)。古巣水戸が開幕3連勝していることも遠藤にとっては大きな刺激、今節はバースデーゴールを決めて草津・遠藤敬佑をアピールする。
そしてもう一人は草津の絶対的司令塔・熊林親吾だ。岐阜戦では最後まで出番がなかったが、バッテリーの充電は完了している。中2日の試合となるだけに熊林が100%の状態でプレーできるのは草津にとって心強い。熊林は「今年の徳島は監督が代わって、守りがベースのチームになっている。徳島は開幕2戦で先制して勝ったが前節は先に失点して負けている。うちが先に点を取れれば相手のリズムは崩れると思う」と先制点へ照準を合わせる。昨季のJ2アシスト王がゴールに絡めば正田スタは一気に“沸騰”する。
草津と徳島は2004年のJFLをともに戦いその年にJ2へと昇格した「J2同期」。過去22戦の対戦成績は8勝6分8敗とまったくの五分となっている。昨季2戦でも両チームがともにホームで勝利を収めて1勝1敗。順位は徳島が4位で、草津が9位だったがチーム力は互角だった。草津の指揮官が警戒するのは、昨季徳島がラスト2戦で連敗して土壇場で昇格を逃したことだ。副島監督は「徳島は、監督や選手は変わったかもしれないが昇格争いを演じたということがクラブの経験値として蓄積されている。うちは徳島を上回る強い気持ちを持ってゲームに挑まなければならない」と語る。
徳島は開幕3戦で2勝1敗。小林伸二監督のもと連勝スタートを切ったが、前節は栃木相手に初黒星を喫した。各ポジションに経験と実績を積んだ選手が揃うが、前節のメンバー中5人が新加入選手で、チームの成熟度では草津が上回る。草津は、機動力と展開力を備える徳島の中盤と、決定力を持つ前線を分断してリズムをつかみたい。草津は、栃木に続いて徳島を倒して北関東の怖さを思い知らせる。
草津はベンチ、控えを含めたチーム全員でホーム初勝利を狙う。前節、先発出場となった櫻田和樹は「勝つことはできなかったが最低限の役割はできた。クマさん(熊林)やリンコンに休んでもらうことができたので徳島戦ではふたりがやってくれるはず。次は自分の出番がないかもしれないが、どんな状況でもチームの一員として自分の仕事を果たしたい」とチームに身を捧げる。櫻田や金成勇らが今節へつないだバトンを決して無駄にはできない。草津は、ベンチ、控えを含むすべての選手が一体となり徳島を迎え撃つ。その先にホーム初勝利がある。
以上
2012.03.19 Reported by 伊藤寿学