天気予報のチェックが日課になっていることを否定しないが、本稿執筆段階で、どうやら北九州-水戸戦は天候に恵まれるようだ。先週の段階では雨の予報だったので案じていたところであったが、杞憂に終わることを祈る。北九州は本城で行われた開幕戦が雨、同じく本城での2節目は強風にも見舞われた。そして前節のアウェイでの松本戦も雨―。パスサッカーを基盤とする北九州にとって雨はピッチ状態が一定であれば大きな問題にはならないのかもしれないが、第2節が終わったあとで「風を言い訳にはできないけれど」とこぼした選手がいたように荒天は雨慣れの北九州にも厳しい環境だ。その意味で、なんとか天気が持ちそうなのは、チーム固めをしている最中の北九州には朗報といえるだろう。もちろん、応援する側にとっても。
ここまでの3戦は結果をみれば対照的なチームの対戦だ。
北九州は1分2敗の勝点1で、得点は1点にとどまっている。パス主体にしながらも攻撃的な『北九州らしさ』が点としては現われていても、まだ線や面としての広がりが出てきていないからだろう。昨季がそうであったように3月の段階で焦る必要はないが、若いチームゆえに早めに一つでも結果が出たほうが落ち着くかもしれない。
点が線にならない理由のひとつは攻撃に転じた時の動き出しや精度のズレ。前節・松本戦では後半はほとんどの時間を北九州が支配していたが、隙を突こうとしたパスに対して、ボールを受ける選手が足を止めて待つようなこともありスピードが半減。安易なクリアも見られ、最終的にブロックを固める松本の守備陣を崩せなかった。
ただ、北九州は布陣に変化を加えたことで、松本をずるずると押し下げることができたとも言えるだろう。敵陣でボールを持つ時間が長ければ長いほど、チャンスは多く作れる。修正に掛ける時間がほとんどない状態で迎える今節も、しっかりとした組み立てで水戸陣内でボールを失わずに保持していきたい。また、展開によっては、突破力では池元友樹に比肩して劣らないルーキー・渡大生を入れたり、高さのある加部未蘭と林祐征を投入して攻撃に変化を加えるかもしれない。各コンビネーションでの得点がないだけに、そろそろという期待感も抱きつつ、試合でのパフォーマンスを楽しみにしたい。
水戸は3連勝で北九州に乗り込んでくる。
連勝のカギを握ったのが前線の鈴木隆行と橋本晃司だ。前節・岡山戦では2分に相手のクリアボールを拾ってシンプルに繋ぎ、橋本のシュートが跳ね返されたところを鈴木が先制ゴール。この得点で試合の主導権を握った水戸はさらに鈴木と橋本が追加点を決めて快勝した。両選手の縦方向のバランスも良く、状況に応じて流動的に動くことで攻撃の仕掛けは多彩。後方からもロメロ・フランクや島田祐輝が絡んでいく。こうしたシンプルかつ厚みのある攻撃を今節も出すことができれば、北九州を守備に回らせる時間を増やせそうだ。
今季の初勝利を目指す北九州と、4連勝への期待がかかる水戸。ここまでの戦績はもちろん攻撃スタイルも対照的だが、タイトスケジュールの中でも自分たちのサッカーを少しでも長く出せたチームが勝点3を手にするだろう。また、厳しい試合日程となる今シーズンを占う一戦にもなるはずだ。
以上
2012.03.19 Reported by 上田真之介