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いよいよ西京極開幕戦!元日決戦で見せた「勝ちに行くサッカー」を深め、磨き上げた成果を、京都のサポーターに披露することになる。
西京極開幕の相手は千葉。かつて、京都でキャプテンマークを巻いた佐藤勇人が、攻守に渡り中心となっている手強い相手だ。昨シーズン、左膝前十字靱帯の損傷でこのカード不出場の京都の「新10番」工藤浩平は「個人的には思い入れはある」と、自身を育ててくれた古巣との対戦に燃える。
大木武監督は、第1節の千葉の戦いぶりについて、「18番(藤田祥史)にボールを当てて、サイドへ、という展開が目に付きましたね」と、相手のポイントを挙げる。
千葉の戦い方としては、昨年の例を出すと、草津や4バック時の愛媛等と同じ様に、ボランチと2センターバックを土台に、サイドハーフが中に絞り、サイドバックを上げるという、J1の柏や鹿島と同じ様な戦い方か。どちらかと言えば、奇抜というよりもオーソドックスな戦い方か?との質問に、指揮官も「そうかも知れません」と答えた。
ただ、千葉の選手たちの経験値については気になるところもある様だ。自分たちの戦いが出来なくても落ち着いてやり直すことができ、「経験のある選手が揃う」と口にした。
イメージとしては、守備時は佐藤勇、佐藤健のボランチが守備ブロックの中心で、味方サイドバックの裏のスペースもカバー。攻撃時はパスをつないで、サイドバックを上がらせる。こう着状態なら佐藤勇が一気に飛び出し攻撃に勢いをもたらす、となるだろうか。
サイドバックの両翼を使い、ピッチ幅を最大限に生かしたい千葉に対し、京都は縦。縦と言うよりも奥行きと表現した方がいいだろうか、ここを制しようとする。多いのが、どちらかのサイドで人数をかけてつなぐシーン。言わば、これが「京都ゾーン」である。
ここから相手ボックス内へ向かって、人が飛び出し、前線が裏を狙い、或いは、遠目からシュートを放つ。こうした戦況が前へ向かってゾーンの奥行きをのばしている様にも観えるということである。サイドでも中央でも、この閉ざされ京都ゾーンを創り出し、そこで、10人全員がサッカーを繰り広げるのだ。
その時、相手はどうするか?当然、密集を避けて外のエリアへ展開したがる。そこで、ゾーンの外で選手がボールを待とうとすると、これがポイントになる。
京都ゾーンから選手が出ることで、相手に「サッカーに参加していない選手」が出現するのだ。するとフィールドプレーヤーの数は、京都10人で相手9人(+京都ゾーン外の選手1人)となり、京都がゾーンの中で優位性を作り出すことができるのである。
逆に、相手全員が京都ゾーンでサッカーをしようとすると、信じられない程の高密度サッカーへと発展する。これも京都の狙い。京都は練習で、この高密度サッカーを徹底的に磨いているのである。
京都のフィールドを展開し、相手をそこに引きずり込む。これが京都の主導権であり、京都のサッカーである。
だから、よく言われる「京都はサイドチェンジをしない」という批判も、この考え方に沿えば的外れであるとも言えるのだ(もちろん、大木監督は「サイドチェンジをしないなんて一言も言ったことはない」としている)。
如何に自分たちのサッカーをするゾーンを作り、そこでプレーするか。これは「戦術」というよりも、「サッカーに対する一つの思想」の様に思える。
磨くべきは、どうやって京都ゾーンを創り出すか、そして、京都ゾーン内でのバランスだろう。ゾーンの中でボールが前にあれば、人が飛び出すことも可能であり、逆にボールを奪われても、即、次の選手がボール奪取に入れる。
反対に、ボールがゾーンの後方にあれば、ボールより前の選手がボールを引き出す動作に入る。そこから出るパスは、ショートパスでもロングパスでも構わない、となるだろう。
結局は、千葉のやり方で勝負する気は全くないということである。京都のゾーンに千葉を引きずりこむ。そのエリアで京都のサッカーを展開し、点を取って、勝利を奪う。それが「自分たちのサッカーをやるだけ」となるはずだ。
久保裕也は「動いたらボールが来る、という感覚はあります。後は自分の動きの精度と質。ホーム開幕戦なので、今度はしっかり決めたいです」。中山博貴は「決めるところを決めないといけないが、それが上手くいかないなら、チャンスを作る回数も増やさないといけない。(セカンドボールに関しては)取れないというよりも(攻撃に)行って、こぼれたボールが相手に行くことが多い」と話したが、これも京都ゾーンでのバランスが取れれば解消していくだろう。
元日と比べ、格段に京都は自分たちのサッカーの輪郭線を濃くしている。これは確かだ。だからこそ、後は、そこから勝利をもぎ取るだけだ。
サポーターの皆さん、元日の時よりも面白くなっている京都のサッカーを観に、是非、西京極へ足をお運びください。
以上
2012.03.10 Reported by 武田賢宗