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「アオッ」「カズッ」
選手たちから一斉に声が出る。ファーストディフェンスに誰が行くのか、それを全員が声を出して知らしめようという練習だった。まるで、高校球児がやるような「声出し」のトレーニング。ただ、その練習を契機に、チーム全体を「いい声」が支配するようになった。
広島は明るいチーム。確かに、そのとおりだ。槙野智章や柏木陽介(共に浦和)、李忠成(サウサンプトン)といった目立つキャラがいなくなった今も、その雰囲気は変わらない。だが一方で、これまでの広島は試合中の声が少なかった。特に有効な声が出ない。プレー中のポジション、周りを動かす、そしてネガティブな状況になった時に周囲を盛り上げるための声。明るいと言われつつも、その明るさが本質的なところでチームの勝利と直結できていなかった。それが、このトレーニングを境に明確な変化が出た。練習中、多くの選手たちから鋭く有効な声が、何度も響き渡ったのだ。
「攻撃サッカーの継承」を森保一新監督は自らのテーマとして何度も口にしている。ただ、だからといってペトロヴィッチ前監督(現浦和)のコピーではなく、森保監督は森保一の道を行く。冒頭の「声出し」もその一つ。さらにラインの押し上げ、ボールホルダーへの激しいプレス。守備の基礎をもう一度、しっかりと叩き込む。だがそれは、「守るため」ではなく「攻撃」のため。できるだけ高い位置でボールを奪えれば、守備に体力を使うことなく攻撃に出ることができる。攻撃的サッカーを推進するために、沖縄キャンプではあえて「泥臭い」部分からスタートした。
さらに際立つことは「走る」こと。広島でのトレーニングでは有酸素運動が中心だったが、沖縄では無酸素運動に移行。新任となった松本フィジカルコーチの指導の下、150m・200mダッシュを何度も繰り返し、さらにフルコート・フリータッチのゲームを行うことで、試合に必要な「走り」の習得に神経を注いだ。それもまた、森保監督の選択である。
細かな戦術の導入はこれからの課題。「今はまず、しっかりと走って戦って、試合ができる身体と感覚を取り戻すこと」と佐藤寿人も言う。徹底した身体づくりと守備への意識導入から始まった広島の沖縄キャンプは、これからゆっくりと攻撃面への積み上げに入る。昨年までは短い期間で練習試合を繰り返し、実戦の中でコンディションをあげるやり方をとっていたが、今年はじっくりと仕上げていく。その森保流と昨年までの「資産」をミックスさせ、新しいエッセンスを持った広島流攻撃サッカーを生み出す。その過程が今、寒波の影響で冷たい風が吹きすさぶ沖縄の地で、着々と進行している。
以上
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2012年3月3日(土) 13:35キックオフ/国立
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2012.02.04 Reported by 中野和也