★2012シーズン始動!ニューカマー・レコメンド
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1年しか在籍していないのが信じられないくらい、チーム、そして熊本という土地に馴染んでいたと言っていい。清水から期限付き移籍での加入ながら、大きな期待を背負って背番号9をつけ、昨シーズンは8得点を挙げてチーム得点王になった。もちろん、この数字は決して多いとは言えないし、本人とて満足できる結果ではないだろう。しかしそれでも、シーズンが終わってのゴールダイジェストの映像を目にすると、やはりそれなりに大事な場面できっちりと取ってくれていたんだなと、改めて感じさせられる。上背があって高さはもちろん大きな武器なのだが、頭での得点ばかりではないのが、彼の可能性を感じさせる所以だ。
ちょうど1年ほど前に行われた加入会見の席でのコメントを見返すと、「足元のワンタッチプレーも得意で、少しずれているボールでもゴールに結びつけられるようになるのが課題」と自ら述べている。実際、自身のJリーグ初ゴールとなった8節のFC岐阜戦のゴール、37節岡山戦のゴールなど、長いリーチを生かしてのポストプレーやラインの裏への抜け出し、あるいはトラップからタイミングをズラしたような間合いで打ったシュートが記憶に残っている。特にシュートに関しては、足の振りが早く、GKにとって反応しづらいキックだったのではないだろうか。柔らかいボールタッチや身のこなしも魅力なのだ。
熊本では前線でターゲットとなり、ハイボールに競るだけでなく高い位置でボールを収めて起点になる働きをしてくれた。決定的なチャンスで決めきれない場面も少なくはなかったため、自身では思い悩んだ時期もあったようだが、それも背番号9を背負う宿命と捉えて精神面でも逞しさを身につけた。他の選手との距離がもっと近かったり、連係面がしっかり機能したり、とにかく点を取ることに特化した仕事ができていれば、2桁得点も狙えただろう。
そうした意味で、試合経験を積んで成長し、2年目に「化ける」ことへの期待感も大きかっただけに、今回の移籍は少し複雑な思いもあるのが正直なところ。しかし一方では、レベルの高い選手が揃った京都というチームで、彼の良さがいっそう表現されるのではないかという楽しみもある。
選手層の厚いチームに加わることでストライカーとしての重責から解き放たれ、いい意味で力が抜けるとすれば、FWとしての才能がより大きく開花する可能性は十分。その下地は熊本で作ったものだということを忘れずにいてもらって、熊本戦以外での活躍を大いに期待したい。
以上
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2012シーズンキックオフ!
FUJI XEROX SUPER CUP 2012
3月3日(土)13:35キックオフ/国立
柏レイソル vs FC東京
※同日開催 NEXT GENERATION MATCH
10:40キックオフ
U−18Jリーグ選抜 vs 日本高校サッカー選抜
※チケット好評発売中詳細は【こちら】
2012.02.07 Reported by 井芹貴志