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【J2:第10節 京都 vs 鳥栖】レポート:課題を修正した京都。成長を感じさせた鳥栖。互いに意味のある試合を繰り広げ、勝点1を分け合う。(11.05.05)

5月4日(水) 2011 J2リーグ戦 第10節
京都 0 - 0 鳥栖 (13:04/西京極/8,924人)
スカパー!再放送 Ch183 5/5(木)後08:30〜
totoリーグ
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「前半0点で終われたのは初めてですし、1試合通じて0点で終われたのも初めてです。点は取れませんでしたけど、次、取れる様に頑張ります」(京都・大木武監督)。
「今までのウチであれば一人少ない状況になった時、体力的に苦しくなった時にそこで崩れてしまうという部分があったのですが、今は、本当に選手たちが頼もしく見えるし、今日に関しては本当に選手たちを褒めてあげたいです」(鳥栖・尹晶煥監督)。
試合後の両監督のコメントが今節の戦いの意味をはっきりと表現している。京都は課題を修正し、鳥栖は成長を感じさせる戦いとなった。

京都は前節と5人入れ替えた。そして、前節の課題として出ていたセカンドボールを、見張らせるため中盤はダブルボランチとした。
試合は鳥栖ペースで始まる。京都のサイドのスペースを突こうとした鳥栖。3分に早坂良太が合わせ、決定機を作るなど、サイドを起点にした攻撃が目立った。加えて京都が、両ワイドが下がることで中盤にスペースが出来、そこを鳥栖に使われ、鳥栖のボランチ・永田亮太がゴール前に積極的に飛び込む余裕も与えてしまう。
32分に宮吉拓実が負傷退場し、中村充孝がトップに入る。何度か前線3枚で攻撃を仕掛ける場面を作るも連続攻撃とはいかない形で前半を終了する。
出足の良い鳥栖の攻撃に完全に後手を踏んだ京都だが、両サイドのスペースを使わせない、セカンドボールを拾う。失点をしないというゲームプランは完遂。まだ、ゲームは折り返し地点、後半にどう修正するか、非常に楽しみを持たせてくれる前半となった。

後半、鳥栖の勢いは若干弱まったものの、京都を攻め立てる意欲を見せていた。だが、京都も中村太亮、加藤弘堅が高い位置を取る様になり、内藤洋平も前線と連動をみせると、京都は中盤でボールを取れる様になり、鳥栖の勢いを削いでいく。53分には中村太のカットから中村充、ドゥトラと渡り、ドゥトラの前を斜めに走り込んだディエゴに渡りシュート。そのこぼれ球を中村充が詰めるシーンが出ると京都が「チームのスタイル」を発揮し始め、ゲームを支配する。
このゲームの主導権争いの裏には、「相手が疲れたんじゃないか」(大木監督)、「少し今日は体力的な部分で心配があった」(尹晶煥監督)という側面があったことは確か。ただ、京都としては、相手の事情があって流れを引き寄せたとするのではなく、まず、自分たちがアクションを起こし、そこに相手の事情も重なって、明確にゲームを支配できた、と考えるべきだろう。試合の流れが京都に来たのではなく、試合の流れを自分たちで引き寄せた、と捉えても良いということである。

さらに75分、鳥栖DF・浦田延亮が2枚目の警告を受けて退場。京都はさらに攻立てる展開に入る。だが、冒頭にも尹晶煥監督がコメントした通り、鳥栖は粘り強く京都の攻撃を跳ね返し、結局スコアレスのままタイムアップ。前後半で状況が大きく変わる試合となった。

サイド攻撃で京都を攻め立てた鳥栖。「セカンドボールだったり、球際というところで上手く拾えてサイドに広げられたのかなと思います」(木谷公亮)と話す通り、京都が前線に送ろうとしたボールを出足良く摘み取り、攻撃につなげた展開力はミスも少なく力強さがあった。

だが、京都も森下俊が「セカンドも拾えていたし、(チョン・)ウヨンもヘディングで勝っていた」と話す通り、京都ゴール近くでは狙い通りセカンドボールを相手に奪われず、自信をつける戦いとなった。

京都は後半、いつもの京都らしい個性・スタイルを出せ、そこで主導権を握れたことも収穫だろう。「簡単にはじくと言うか、難しいことをやらずに預ける様な形ができてきたと思います」と大木監督は語ったが、「はじく」というのは的確で豊かな表現ではないか。
打楽器を叩く様なパスの連続。それはリズムを刻む様でもある。そこから一つ前に送られ、相手中盤の背中を取る。そこでまた弾いて、受け取る選手が前を向けると相手中盤のラインを突破。そこで一度ドリブルを入れ、次の攻撃を刻んでいく。一連の流れ、音楽の様でもある。
だが、パスから入らず、決断遅く、判断に迷った様なドリブルが入ると、このリズム感ある攻撃は生まれない。スタンドから観ていて「せっかくボールを握ったのに、もったいない」と感じる瞬間でもある。

全てこのやり方で上手くいくほど単純ではないが、これが京都の個性になっているので、フォーメーションに関係なく出来る様にすべきだろう。そしてこのやり方を表現するためには互いにどれくらいの距離が適当なのか、早く選手間で掴む必要もあるだろう。
だが、今節、この弾くボールを狙われていた感じも受ける。それは落とすボールが弱く、京都のパスミスとも観えるのだが、カットされる回数が多かった様にも感じる。警戒も必要だろう。
京都、次節、徳島と対戦。京都を指揮した経験もある美濃部直彦監督が率い、かつて京都に在籍していた選手も多くいる。今節の様な球際の厳しさでは徳島の勢いに呑まれかねない。挑戦者魂、京都もそろそろこれを前面に押し出すべきだろう。

以上

2011.05.05 Reported by 武田賢宗
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