5月4日(水) AFCチャンピオンズリーグ2011
メルボ 1 - 1 G大阪 (18:30/メルボ/7,437人)
得点者:12' エイドリアン・レイヤー(メルボ)、43' 中澤 聡太(G大阪)
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「驚きました。前回対戦した時より、メルボルンは格段にチーム力が上がっているなと感じました」
試合後、そう話したのはG大阪の西野朗監督だが、実際、この日、G大阪が対峙したメルボルン・ビクトリーは、3月にG大阪が5−1で圧勝した時とは全くと言っていいほど違うチームに変貌を遂げていた。監督が交代となった中で、システムを3バックから4バックに変更したこともさることながら、守備に対する意識も目に見えて高くなり、全体が連動した中での組織だった攻守を展開。特に、前回対戦時における反省からか、G大阪の生命線とも言える『中盤』に対する圧力はキックオフから徹底されていて、G大阪の攻撃を窮屈にさせていたと言えるだろう。しかも、その中で12分にはセットプレーから、オーストラリアチームの特有の武器でもある『高さ』を活かし、先制。リードを奪ったことによって、メルボルンの守備に対する意識が尚一層、研ぎすまされたことは言うまでもない。
これにより、アウェイの地で、ビハインドを負う苦しい展開を強いられたG大阪だったが、慌てる様子は見られない。落ち着いてポゼッションをとり、パスを繋いで相手の守備に揺さぶりをかけながら、時折、鋭いパスを縦に通し、相手ゴールににじり寄る。ただし、メルボルンの守備も途切れない。それでも43分にはセットプレーでの展開から、最後はDF山口智が放ったシュートが右ポストを叩き、それをDF中澤聡太が頭で押し込んで泥臭くゴールをこじあけ、試合を振り出しに戻す。
勝負の後半。G大阪は58分にMF宇佐美貴史に代えてMF武井択也を投入。その武井をボランチに置くことでMF遠藤保仁をトップ下に上げ、攻撃の糸口を見出そうとするが、中盤と前線が間延びするにつれ、なかなか効果的なパスが中盤から前線に通らない。ロングボールを放り込んでも1トップに据えていたFWアドリアーノのところでボールが収まらず、攻撃が連動していかない時間帯が続く。一方で、守ってはメルボルンの両サイドを活かしたカウンターにさらされる回数も増え、ひやりとさせられるシーンも。結果的に事なきを得たが、当然ながらアウェイ戦、負けられない戦い、ということもあってだろう。『点を獲りたい』一方で『点を獲られたくない』意識も働いてか、全体のラインも下がり始め…。となると全体がより間延びしてしまい、攻撃にますます陰りが見え始める。
しかも、86分には途中出場で左サイドバックを預かっていたDF高木和道が左ふくらはぎを痛めるアクシデント。既に3つの交代枠を使い切っていたG大阪は、4分のアディショナルタイムも含めて残り約10分間を10人での戦いを強いられることに。となれば「10人になってからハイリスクの攻撃にはいけないと思っていたし、実際、それによって前がかりの展開はとれなかった(MF遠藤保仁)」のは当然のこと。実際、高木がピッチを出てからの時間帯は、個々が守備に追われる時間が増え、G大阪らしい攻撃を仕掛けられなかったと言える。結果、両者ともに後半はゴールが奪えないまま、1-1で試合終了となり、勝点1ずつを分け合うことに。グループステージ突破の行方は最終節まで持ち越されることになった。
ちなみにこの試合後、同日に行われたもう一つのカード、『天津泰達VS済州ユナイテッド』戦では天津が3-0で圧勝。これによりグループEの順位は1位天津(勝点10)、2位G大阪(勝点7)、3位済州(勝点6)、4位メルボルン(勝点5)に。最終節、首位・天津をホームに迎える2位のG大阪は、現時点で勝点3差をつけられてはいるものの天津と得失点差で並んでいることから、勝てば、首位でグループステージを突破できる(※)。
以上
2011.05.05 Reported by 高村美砂