5月4日(水)J2 第10節 熊本 vs 北九州(15:00KICK OFF/熊本)
スカパー!生中継 Ch178 後02:50〜
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熊本は前節、草津に敗れて今季初黒星を喫し、得失点差で順位も7位と後退した。まだ3試合を終えたに過ぎず、上位との差もわずかではある。しかしながら昇格候補のF東京や京都、唯一3連敗となっている東京Vなども今後加速してくることは明らか。既に例年以上の混戦様相となっているJ2にあって、最終節が終わって3つの椅子に座る権利を得るためには、やはり何としても連敗は回避し、着実に勝点を積み上げていかなくてはならない。
南雄太は言う。
「負けることはあると思うんです。でもその次が大事。良いチーム、強いチームは連敗しない。うちはまだ若い選手が多いし、判断の部分でまだまだなところがある。そこは経験を積んで、負けもプラスとして積み重ねて、成長していくしかない。そのポテンシャルを持った選手は揃っていると思う」
「不完全燃焼だった」と高木琢也監督が表現する前節の敗戦から中3日、特に『バトル・オブ・九州』の初戦、しかもホームとなれば、手にしたいのは結果以外にはない。迎えるのは、愛媛を相手に前節3得点を挙げ、今シーズン初、そしてJリーグ入りして2度目の勝点3を手にした北九州である。
その北九州とは、昨シーズンは1勝1分と負けていないものの、特に前期のアウェイでのゲームは終盤に追いつかれて勝点をこぼした記憶を忘れてはなるまい。今シーズンは三浦泰年監督を迎えてつなぐサッカーを志向し、また新戦力も加わって昨シーズンとは印象も異なるうえ、初勝利を挙げたことで今節は自信を持って熊本に乗り込んでくる。さらに言えば、開幕戦からここまで布陣が固定されていないことも、指揮官をして「ちょっと読みにくい」と言わしめている要因のひとつだ。
今節に向けて、熊本は2日の練習を非公開で行なった。練習後に囲み取材に応じた高木監督だが、当然ながら内容については濁しており、中3日というタイトなスケジュールで臨むGW連戦とあって、この日の練習ではコンディションをキープすることを重視したと述べている。監督自身は「メンバーを変えるほどの疲労はない」と見ていることから、基本的には前節までの布陣と大きく変わることはないと思われるが、多少アレンジを加える可能性はゼロではなく、ベンチも含めてどういった顔ぶれになるかで、狙いを読み取ることはできそうだ。
さて、ゲームのポイントを推測すると、多田高行、関光博の両サイドバックが非常に高い位置まで顔を出して攻撃に絡んでくる北九州の特徴を踏まえれば、熊本としてはその裏のスペースを有効に狙えるかはひとつの焦点。もちろん、プレッシングがはまって押し込めれば流れを引き寄せて攻撃にも厚みを持たせることができるが、その場合、全体を押し上げることによって生じる最終ラインの裏を狙われるリスクも同時に増す。特に前節の得点場面からも分かるとおり、池元友樹を中心とした北九州の鋭いカウンターは迫力充分で、攻撃に転じた際に中途半端に奪われるようなイージーなミスは命取りになりかねない。草津戦でも、スピードに乗ったドリブルでバイタルエリア付近まで運ばれるシーンがあったことから、北九州としても敢えてボールを持たせたうえでカウンターを仕掛けてくることも考えられるし、あるいは熊本のプレッシャーを嫌い、ロングボールを多用してくる可能性も否定できない。
そうしたチーム戦術の駆け引きも見どころではあるが、「原点に帰ってしっかりやること」(南)が求められる一戦であることに変わりはない。つまり、プレスをかける場面とブロックを作る場面のバランス、そうした判断や攻撃のスイッチを入れる際の全体としての意思統一、アタッキングサードでの崩しのアイデアや、きっちりとフィニッシュまで持ち込む積極性、攻めている時のリスクマネジメント、そしてもちろん球際の強さ……といった要素を、繰り返し表現できるかだ。
福岡が上のステージへと上がり、やや寂しくなった感のある『バトル・オブ九州』だが、ここでライバルを凌駕し、九州を制しなければ、福岡に続く資格は得られない。高木監督は言う。
「俺らが負けたら、サポーターだって北九州の方角に足を向けて寝られないでしょ」
前節の敗戦から得たものをぶつけ、奪って、守って、勝点をとりにいく。
以上
2011.05.03 Reported by 井芹貴志