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長かったリーグ戦もいよいよ最終節。周辺に雪がチラつく札幌ドームでは勝点４３で１４位の札幌と、同５４で６位の熊本が対戦する。
ホームの札幌は前節、すでに３位入りを決定させていた福岡と敵地で対戦。「すべての面で福岡のほうが良いサッカーをやっていた」と石崎信弘監督が福岡との差を認めながらも、負傷者や出場停止でメンバー構成に苦しんだなかで０−０のスコアに持ち込んで勝点１を獲得している。もちろん、勝てなかったことについては課題も残るが、２試合続けての無失点試合。「今季はそんなに攻め込まれているわけでもないのに、アッサリと失点してしまう場面が多かった」という岩沼俊介が感じていた不安点が徐々に解消されてきたのかもしれない。それも、開幕からゴールマウスを守り続けてきたＧＫ高原寿康、最終ラインの要であるセンターバックの石川直樹を負傷で欠いてである。代わって出場した選手が、遜色のないプレーどころか、それを上回るディフェンスを見せたと言ってもいいだろう。
一方で、開幕から抱えている「得点力不足」という部分は依然として残る。チャンスの質が高まってきていることを考えると、この部分はモロに今季のチームの不調につながってしまっていると言うしかない。そしてその上、負傷と出場停止の影響で「センターＦＷがいないので、誰をセンターＦＷにするかということで」（石崎監督）前節はスタートは高木純平を、途中から三上陽輔をというようにＭＦの選手を前線に起用しなければならない状況となってしまっている。専門のＦＷがいないというなかで、どのように札幌が相手ゴールをこじあけるのか。フィニッシュの部分には注目したい。
対するアウェイの熊本だが、前節はホームで北九州に３−０で快勝。ホーム最終戦を白星で、それも完勝とも言える内容のゲームだっただけに、勢いがありそうだ。「ゲームを重ねることによって確立された部分が出てきた」と高木琢也監督もチームの成長に手応えを感じている様子。セカンドボールへの意識も高かったし、奪ったボールをシンプルに縦へと運ぶプレーにも積極性があった。そして、オフ・ザ・ボールの動きに持ち味があるエースFWカレン・ロバートも２得点を挙げており、チームの流れは上向いている。
特筆すべきは２点目のシーンだ。ＣＫのボールをキャッチしたＧＫ南雄太がピンポイントのキックで攻撃をスタート。このプレーが起点となってカレン・ロバートの得点が生まれているのだが、高い位置でボールを奪った場面だけでなく、ＧＫやＤＦも攻撃の起点となって敵陣までボールを運べるのが、今季の熊本の強みであり、その部分がこのシーンにはクッキリと表れた。特に、ベテランＧＫの南は守備陣をコントロールするだけでなく、ゲーム全体をコントロールする力を持っており、この南の加入こそが熊本のチーム力アップに大きくつながっていると言っていい。
さて、ゲームの焦点だが、地元の声援を受けた札幌が最終節ということもあり、アグレッシブに攻撃を繰り出すことが予想される。ここ最近は攻撃の形はできているため、チャンスの数は多くなるだろう。そして、それを受ける熊本がどれだけ巧みに札幌のチャンスメークを寸断し、奪ったボールを素早く展開するか。そして時には前述したように後方から起点を作って札幌陣内に襲いかかるのか。互いに有効なチャンスを作りあう攻撃的な試合が演じられることは間違いないだろう。
札幌は砂川誠、熊本は藤田俊哉など、どちらもベテラン選手をはじめ複数の契約満了選手がいる。そしてシーズンの締めくくりのゲームとあって、さまざまな想いが詰め込まれる。いろいろな意味で、一瞬も見逃すことのできない９０分となりそうだ。
以上
2010.12.02 Reported by 斉藤宏則
