10月30日(土)J1 第28節 湘南 vs 大宮(19:00KICK OFF/平塚)
スカパー!生中継 Ch181 後06:50〜
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あとわずかで前半が終わろうかという頃だった。43分、クロスの折り返しから先取点を決められた。後半に入ると相手の攻勢はさらに強まり、最終的に湘南は0−3で広島に敗北を喫した。
「あの1本が悔やまれる」雨模様の広島ビッグアーチを後にする際、DF山口貴弘は先取点の場面を振り返り、口にした。
「あのときだけバランスを崩してしまった。ボールに行くところと行かないところの見極めが大事だと感じている。相手のシュートに対しても、クロスを上げられた瞬間に自分がなかに戻っていれば防げたかもしれない」
リーグワーストの失点を数えるチームにあって、前後半ともに残り15分の失点はとりわけ多い。まさしく前節の広島戦に当てはまることだ。反面、「前半はほぼパーフェクトに近いかたちで守れた」と反町康治監督が語ったように、また選手たち自身も「よくなっていると思う」と手応えを口にしたように、ディフェンスについてはトレーニングを積んできただけの充実が見られているのも事実である。
もちろん、「前半1本あった隙を0にしなければいけない」と山口が省みたとおり、指揮官をはじめ彼らはみな手応えにふんぞり返ってはいない。ただ、広島戦を例に挙げるなら、堅実な守備から流れを引き寄せていた43分間のうちに、より有利な流れに持ち込みたかった。すなわち自分たちの時間帯でゴールを決めることができれば、守備によって蓄積されゆく疲弊も色を変えるだろう。もうひと越えだ。組織として整理された守備の先でゴールをこじ開けることは、チームとしてつぎの扉を開けることに等しい。
「思い切りが足りないかもしれない」攻撃について、そう自戒を込めたのは中村祐也だ。
「ボールを取られてはいけないという意識が安全なプレーの選択に繋がり、迫力に欠けてしまう。J1では、単体で崩すことは難しい。一人ひとりの距離を縮め、コンビネーションを深めて最後の勝負に持ち込みたい」
その湘南が今節、平塚にて迎え撃つは14位の大宮である。大宮の現在の勝点は28、降格圏をより遠ざけるためにも、最下位チームを降して勝点3を持ち帰りたいところだ。一方の湘南はハン・グギョンが累積で出場停止となる。
熊谷陸上競技場で行なわれた8月の対戦では、大宮が立ち上がり早々に得点し、さらには攻撃のリズムをつかめない湘南を尻目に石原直樹とラファエルが加点して3−0で勝利した。フリーキックから深谷友基が押し込んだこのときの先制点を思っても、あるいは前節、2点ビハインドの劣勢からコーナーキックを契機に追いついてみせた川崎F戦を振り返ってみても、セットプレーもまた勝負を左右する重要な攻防となろう。
「セットプレーでやられると厳しくなる。いつも言ってることですが、集中してしっかり守りたい」週末に向け、あらためて山口は語った。
「一人ひとり精度を高めて、よくなっている部分をさらによくしていきたい。チャンスをつくれている分、いままでとは違う手応えもある。結果的に失点しているので、うしろを守る僕らは耐えて守って、勝ちに繋げたい」
ファイティングポーズはつねと変わらず構えている。ただ、ガードをしていてもジャブを浴び続ければダメージは蓄積されていく。そして、一瞬でもガードが下がればJ1の敵は見逃さない。ならばそのまえに、ストレートを確実にヒットさせたい。ある試合のハーフタイムに指揮官も託している。「隙を与えず隙を突け」と。
以上
2010.10.29 Reported by 隈元大吾