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残留を早々に決めることが、リーグ戦残り7試合における最大の命題となっている仙台にとって、現在は降格圏に沈む2クラブ、京都と神戸との連戦となるここからの2試合は、極めて重要な意味を持つ。
まずはここ数日、凍てつく寒さと雨に悩まされている仙台に、京都を迎えての一戦だ。
前節はアウェイで同期昇格組のC大阪と対戦した仙台だが、勝点1の結果のみが自分たちを満足させると評されるべき内容だった。今季ACL出場権を争う順位にいるC大阪に対し、昨年は自分たちがその上にいたことを示す意気込みを持って臨んだはずの一戦は、終わってみればシュート数24対3と終始圧倒され、ポストとバーに一度ずつ救われてのスコアレスドローという結果すら、奇跡と思えるものだった。
もっとも、強力なC大阪攻撃陣を零封したことは自信としても良いのだが、いかんせん、ここまで攻めに出られないという内容は考え物。というわけで今節に向けた仙台の課題は、良い守備で奪ってからしっかりと攻めきることになる。
この試合への意気込みとして「アウェイでのリーグ戦では京都に敗れている。その借りを返すだけでなく、残りの試合に勢いのつく勝利を」と語っていた手倉森誠監督は「『やられない守備』はできつつあるが、セレッソ戦ではボールを良い形で奪えなかった」と振り返った上で「京都戦は『やらせない守備』を意識して戦いたい」と狙いを挙げる。ボールを奪った勢いで敵陣に攻め込むことをまずは狙いつつ、もし京都に守りを固められるスピードが勝ったのならば、しっかりとサイドに展開して、大逆転勝利となった2試合前のF東京戦のようにボールを回し崩していく。こうしたメリハリを持って、仙台は京都を攻め立てていきたい。
こうした狙いの上でも、また単純に経歴の面でも、この京都戦でカギとなりそうなのが、ボランチの斉藤大介だ。1999年に京都に加入以来、2008年途中の仙台移籍までの間、長きにわたって京都の中心選手を務めてきた斉藤だが、今季の仙台では序盤からリーグ戦では全く出番を与えられずに苦しんだ。本人曰く「来季は（仙台でのプレーは）ないかな」という不安も正直感じていたというが、第19節の浦和戦途中出場で遂にJ1への「返り咲き」を果たすと、スタメンで起用された翌節の大宮戦では後光が射したかのような攻守両面での大活躍。以降ここまで、8試合連続の先発出場を続けている。
その斉藤は前節のC大阪戦で、記念すべきJ1リーグ100試合出場を達成。おそらく先発起用となるだろう今節のキックオフ前には、100試合記念のセレモニーが行われるはず。それが古巣の京都戦となることに「ちょっと（運が）ありますね」と笑顔を見せていた斉藤。ぜひ京都のサポーターにも、拍手での祝福を送っていただきたい。
ただ試合が始まってしまえば、京都を苦しめる上で斉藤の役割は多い。攻撃ではチームが今節狙う、攻めのスピードのメリハリをつかさどることが求められるし、守っては聞かれる前に本人が語った「マンツーマン気味につくことになるだろう、ディエゴへの対応」が、試合を分けるカギになる。
そう、仙台が京都に勝つためには、やはりディエゴをしっかり封じることが不可欠だろう。ただでさえ今節、京都はドゥトラが出場停止（結局今年、ドゥトラは仙台戦に一度も登場することがなかった）となるため、ディエゴにかかる負担はさらに増すと思われるのだから。そもそも仙台にとってディエゴは、仙台のチームにとって史上最強クラスの「天敵」。2006年の柏、2007年の東京V、そして今年の京都と、リーグでの仙台戦9試合で6ゴールを奪っているディエゴを何とか止めたいからこそ、斉藤のマンマークなどという話も出てくるのだろう。
ただ、2006年に柏でディエゴとチームメイトだった鎌田次郎は「パワフルなドリブルやシュートだけでなく、ディエゴはパスセンスも持っている。だから他の選手も捕まえなくては」と、守備陣としての警戒を語る。普段はトップ下に陣取るものの、左に流れてのチャンスメークも持ち合わせている彼への対応で、仙台は惑わされないようにしたい。
そもそも最近の京都は、ゲームの結果に比例しない内容の良さを持っている。前節のG大阪戦も、前半だけを見れば内容でG大阪を圧倒。度重なるチャンスを得ながら、しかしシュートの精度を欠き無得点で進むうちに、後半、遠藤保仁の一発のスルーパスで失点を喫し、流れを失ってしまった。
おそらく今節も、勝点の面で後がなくなりつつある京都は、アウェイでも積極的に攻めに出てくるだろう。だがそうであるならば、仙台としてはそれこそ、前節のG大阪のような戦い方が必要になる。今の京都の勢いを考えれば耐える時間も出てくるだろうが、その中でも一瞬の隙を素早く突ききる集中力が、仙台には求められる。
「勝点3を奪えないで、より困るのは京都」。これくらいの余裕を仙台は頭の片隅に入れておくべきと思われるが、台風の影響もあり、少し荒れた天気となりそうな当日の仙台、ユアスタに広がる光景はどのようなものとなるだろうか。
以上
