10月30日(土)J1 第28節 名古屋 vs C大阪(13:00KICK OFF/豊田ス)
スカパー!生中継 Ch183 後00:50〜
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チーム初のリーグ優勝へ突き進む名古屋に、またしても試練である。前半は圧倒的に、後半は粘り強く戦って得た神戸戦での勝点3は、大きな代償を伴うものだった。前線の急先鋒・金崎夢生と、DFラインからチームを動かす田中マルクス闘莉王。今季の強さの象徴とも言える2選手が、神戸戦で負ったケガにより、今節のC大阪戦を欠場することが決定的なのだ。しかも闘莉王は全治2週間、金崎は全治3週間ということで、次週に待つ天王山・アウェイの鹿島戦の欠場も濃厚。今季最後の上位対決に向け、名古屋は手負いの布陣で戦うことを余儀なくされている。まずは目前のC大阪との一戦をどのように切り抜けるのか。ストイコビッチ監督の手腕と選手の対応力に注目が集まる。
名古屋の緊急事態は、ここ5試合で1勝2敗2分と調子の上がらないC大阪にとっては朗報と言える。内容面では常に優位に立ちながらも、ここぞの決定力が不足している現状だけに、相手の守備の要がいないことは何よりのプラス材料。C大阪が誇る家長昭博、乾貴士、清武弘嗣の3シャドーも、広範囲に渡って対人能力を発揮する闘莉王の不在でその能力を存分に発揮できるはずだ。こちらも司令塔・マルチネスの出場停止は痛いところだが、若い3選手のキープ力と突破力で十分にお釣りがくる。アウェイではあるものの、C大阪が中盤の攻防を制していても、何ら不思議ではない。
思わぬ形で苦境に立たされた名古屋だが、バックアップメンバーの準備は万端だ。金崎の代役には、ここ数試合で調子を上げてきた小川佳純が入る。小川のポジションは金崎と同じウイングではなく、MFの一角の可能性も高い。その際はマギヌンがウイングの位置に入るが、そのマギヌンもまた負傷を抱えており、中盤から前の構成は流動的ではある。闘莉王に代わってDFラインに入るのは、竹内彬と千代反田充のどちらか。この2戦手の特徴はほぼ同じであり、今週のトレーニングの様子を見て、指揮官が起用を決めることになる。現時点ではほぼ同格。経験で一日の長がある千代反田がやや有利といったところか。
ともにポゼッションを重視するスタイルのチームで、しかも攻撃的。自然、ゲームがアグレッシブに展開されていくことは容易に想像がつく。その中でも、特に“熱い”攻防が繰り広げられそうなのは、名古屋の中盤と、C大阪のゴール前だ。
名古屋の中盤では、C大阪の3シャドーと名古屋の守備陣のせめぎあいが展開される。MFが逆三角形に位置する名古屋の布陣に対しては、アンカー横のスペースを狙うことは、今季のJ1リーグではもはや定石。そのため、最近の名古屋は状況に応じて、試合中に4-3-3から4-2-3-1に布陣を変えることも珍しくなくなってきた。DFライン前に2人のMFを置き、守備のブロックを整えるこのやり方は高い効果を挙げているため、C大阪相手にも仕掛けてくることは間違いない。逆にC大阪はこのゾーンで起点を作ることが勝利への絶対条件。ダニルソン、中村直志、そして名古屋のDFラインと、家長、乾、清武の攻防は、そのスピードも相まってスリリングなものとなりそうだ。
そしてC大阪のゴール前では、茂庭照幸、上本大海というC大阪が誇る対人能力に優れたセンターバックが194cmのケネディに真っ向勝負を挑む。単純な上背ではケネディに軍配が上がるが、現在失点数でリーグ2位の堅陣を支える屈強なDFたちは身長差など苦にしないだろう。名古屋にとっては重要な攻撃の起点となるポジションだけに、激しいプレーの応酬となることは間違いない。
名古屋は主力の離脱をいかにカバーするか、C大阪はいかに自分たちらしさをアウェイで出し、ゴールに結びつけるか。前者は首位の座を守るため、後者は優勝の可能性を残すため、ともに負けられない試合でもある。終盤に訪れた試練の一戦は、あらゆる面でそれぞれの地力が試される。
以上
2010.10.29 Reported by 今井雄一朗