10月23日に岡山県津山市で開催されたJ2第31節の岡山戦( /sp/jsgoal_archive/result/2010/1023/20100200030320101023_detail.html )。この試合で津山市出身の秋田英義が、故郷にJリーガーとして初めての凱旋を果たした(「J2日記:作陽高校サッカー部 野村雅之監督の語る秋田英義」はこちら)。
試合会場となったのは、岡山県津山陸上競技場。この場所は秋田が幼少の頃から中学生まで過ごした思い出の地だった。高台にあるスタジアムのすぐ下に、彼が通った津山市立中道中学校があった。この中学生時代に彼はサッカーの才能を見出され、途中でサッカーの強豪である美作市立美作中学校に転校しているが、生まれてからずっと過ごしてきたこの場所は、彼にとって非常に思い出深い場所であった。
「津山で試合をすると聞いた時、正直どこでやるのかなって疑問に思ったんです。そしたら自分の実家のすぐ近くだったんです。このスタジアムは僕が中学生の時にはまだなくて、新しくスタジアムができたこと自体も知らなかった。なので、実際に来るのは初めてですね。ただ、この場所を中学時代に駅伝で走ったことは覚えています。その頃は何もなくて、きつい坂でしたね」
馴染み深い場所にできた、初めてのスタジアムでの凱旋試合。スタンドには両親をはじめ親族、多くの関係者、縁ある人々が集まり、36歳になってもなお、サイドバックとして惜しみない運動量を駆使してピッチを躍動する彼を心待ちにした。左サイドバックとして先発出場を果たした彼に対し、試合前には津山市長がスピーチで熱いエールを送り、スタンドからは大きな拍手が沸き起こった。岡山にとって対戦相手ではあるが、秋田に注がれた視線は温かいものであった。
前半こそ、ピッチに慣れずミスが多いチームに影響されてか、彼自身もミスが多かったが、後半に入ると一変。2点のリードを許す展開だったが、自慢のフィジカルで相手の攻撃を抑え込む。衰えを知らない運動量を生かして、足が止まってきた相手に対し積極果敢に攻撃参加をし、攻撃を活性化させた。
彼の奮闘もあり、チームは65分に押谷祐樹のビューティフルゴールで1点を返すと、試合終了間際の89分に、FW朴基棟が同点ゴールを叩き込み、執念のドローで勝点1をものにすることができた。秋田はフル出場を果たし、勝点1獲得に大きく貢献した。
「やっぱり何か懐かしかったですね。地元でこうやってプレーできたことは、本当にうれしいし、感謝の気持ちでいっぱいです」
故郷を離れて18年。彼に縁のある多くの人たちが見つめる前で、彼は間違いなく躍動し、これまでのサッカー人生をプレーで表現し、同時に感謝の意を全員に伝えることができた。
「まだまだ年齢は関係ないことを見せたいね。ガンガン行きますよ」
こう力強く語って、スタジアムを後にした彼の後ろ姿には、自分のこれまでの人生に対する誇りと、ようやく実現した凱旋試合を終えた安堵の両方のコントラストが描かれていた。
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2010.10.28 Reported by 安藤隆人