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【J2日記】横浜FC:「根性」の正体(10.10.28)

J1上位クラブを試合終了間際まで追いつめた天皇杯の川崎F戦( /sp/jsgoal_archive/game/2010/20109999999820101013.html )、0−3のビハインドから4ゴールを挙げて一時は逆転した鳥栖戦( /sp/jsgoal_archive/game/2010/20100200030620101017.html )、そして昇格争いの渦中にある千葉の良さを消して堂々たる勝利を収めた千葉戦( /sp/jsgoal_archive/game/2010/20100200030220101023.html )。ここ最近の横浜FCの試合は、チームの底力、クラブや選手の勢いを感じる試合が続いています。そのためか、鳥栖戦、千葉戦の試合後の岸野靖之監督のコメントでは、特に「根性」を強調していました。スタジアムに詰めかけたサポーターもその「根性」を感じているからこそ、試合終盤にかけてのスタジアムの雰囲気はとっても良いものになっています。
さて、一言で「根性」と言っても、実はわかりにくいもの。昔からスポ根を強調すると「精神論ばかり」と言われがちなところもあります。J's GOALの試合後の監督コメントやTVのインタビューを通じて見る岸野監督像を見ると、その発するエネルギーのすごさに圧倒されますし、精神的な部分だけが強調された感じに写ってしまうかもしれません。一方で、普段の練習を取材している時には、打って変わって冷静な分析が光ります。試合後に根性を強調する姿とは一見繋がらない感じもしますが、千葉戦後の監督記者会見の以下のやりとりは、岸野監督の言う「根性」の正体を見事に明らかにしました。
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Q:根性というところでは、シーズン当初は気負いになっていたと思いますが、それが解消されたのはどういうところでしょうか。
「今までは、本当の根性ではないんですね。本当の根性は僕が見せているんで、僕についてこいという感じですね。
僕らこれから帰って映像を見るんですが、やはり球際のところとか、ボールウォッチャーになっているところとか、体を張っていないところとか、あと繋ぐところとかをいくつか抜き出すんです。そこでできていなければ、選手は結構僕からボロカスに言われるんですよ。そのボロカス言われないために、みんな必死にやると。確認ビデオというんですが、そういうところの細かな修正をみんなが理解して、この横浜FCはどういうことをせなアカンかというのを、映像だったり、トレーニングで理解していくことだと思います」

Q:ビデオというのは、この後すぐですか?
「はい。この後すぐ。ナイトゲームの時もそうで(深夜)3時ぐらいになることもあるんですが、次の日に見せるためなんです。勝った時は楽しいですね(笑)。負けた時は、もうやめようかと思うんですが、そこで負けたらアカンので」
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つまりは、単に一生懸命プレーすること、ハードにプレーすることだけではなく、その場その場でプロとしてすべきことを120%追求するかどうか、追求できなかった時には次に向けて足りない部分を追求できるか。ビデオを深夜まで見て戦術面を追求することも、その一環。そういった、戦術的な細かな部分に渡って極限まで追求できるようになることが、岸野監督の言う根性なのです。そういったプロとしての姿勢のあり方は、当たり前なのかもしれませんが、それは試合展開にも直結します。
前半を0−3で折り返した鳥栖戦。どんな監督でも「1ずつ返そう」と選手に声を掛けるような場面。しかし、それがうまくいくことは本当に稀です。そのハーフタイムで、岸野監督は「焦って中に入っても絶対点にならない。余裕がなくなって視野が狭くなってはいけない。それは向こうの思うつぼ。中と外を繰り返して攻めて、揺さぶること。サイドを変えながら数的優位を作ること」と、戦術的にやることを明確に指示しました。その指示で選手の視野は普段の練習の時と同じように広がり、4点を取った逆転劇に繋がりました。特筆すべきは、監督の指示を確実に遂行してみせた力。普段の練習から様々なことを追求してきた、まさに「根性」を身に付けた結果と言って良いでしょう。
ある時、中村敦コーチは「心技体とよく言うけど、最初に『心』が来る。まずは全力で取り組む姿勢が大事。技術はそのあとの話です」という話をしてくれました。横浜FCは、全ての面で追求できる「心」、「根性」を獲得しました。次は、「技」の部分。横浜FCの成長はまだまだ続きます。

以上

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2010.10.28 Reported by 松尾真一郎
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