12月29日（火） 第89回天皇杯準決勝
Ｇ大阪 2 - 1 仙台　（15:03／国立／25,878人）
得点者：3' ルーカス（G大阪）、58' 中原 貴之（仙台）、65' ルーカス（G大阪）
★天皇杯特集
★仙台側レポートはこちら
----------

約2週間ぶりの公式戦、しかも長らく対戦していない仙台が相手ということもあり、この日の試合は立ち上がりの入り方、そして『先制点』がポイントだった。その先制点を3分という早い時間帯に手に出来たことは、試合を進めていく上で大きな意味を持つことになったと言えるだろう。
しかも、この日は直前に膝を痛めたGK松代直樹に代わって、急遽、GK木村敦志がプロ7年目にして公式戦初出場。いきなり巡って来たチャンスが、天皇杯・準決勝の国立競技場の大舞台ということで、他の選手が十分に感じ取れるほど「ゲームに入る前はかなり緊張していた（GK木村）」だけに、そんな彼の緊張を解きほぐすためにも、意味深い『先制点』だったと言える。試合後、安堵の表情を浮かべながら「早い時間帯に点が入ったので、だいぶ楽になった」と振り返った、彼の言葉通りに。

ただ先制してから以降は、全体のラインが間延びしたことで、DFラインも下がり気味となり、仙台の攻撃を受ける時間が続く。幸い、DFラインも含めて全体が慌てることなく試合を運んだたため、仙台に与えたビッグチャンスこそほとんどなく1-0で前半を折り返すことが出来た。それでも全体を通してみれば、決して優位に試合を運んだ前半ではなかったと言えるだろう。
　
『もう一度アクションを起こさないといけない。いかなければ仙台のペースになってしまう』
　
西野朗監督のゲキが飛ぶ中、迎えた後半。立ち上がりすぐにMF橋本英郎がMF遠藤保仁とのワンツーからアグレッシブに前線に切れ込む姿勢を示すなどやや動きが見られたが、相変わらずスペースを巧くみつけられず、仙台の堅い守備をこじ開けることが出来ないG大阪。そんな中、58分には仙台のFW中原貴之に同点弾を許し嫌な空気が一瞬漂う。しかし逆に同点にされて以降は、疲れもあったのか仙台に少しずつスペースが生まれ始めたことで、そこを巧く突いた攻撃を仕掛けられる時間が続く。

再び、仙台を突き放す追加点を奪ったのは65分、またしてもFWルーカス。MF橋本英郎のパスが相手DFに当たってこぼれ、それをFWルーカスが、ゴール前ほぼ中央から落ち着いて決める。この追加点で再び優位に立ったG大阪は、その後も落ち着いてゲームを展開。追加点への意欲を示しながらも、巧く時間を使い、試合巧者に立ってゲームを運んでいく。中でもMF遠藤保仁の落ち着いたボールさばきは見事。G大阪がペースを握った時間帯はもちろん、仙台ペースで進んだ時間帯も状況に応じてチーム全体を落ち着かせながらゲームを進め、緩急のあるパスを使い分けてゲームをコントロールする様は、風格さえも感じられるものだった。

結果、追加点を奪ってからは、ほとんど危なげなく試合を進め、2-1で2年連続決勝進出を決めたG大阪。今年を締めくくる、また来年のスタートを飾る『元日・国立』の切符を手にしたが「今の状態では僕らは何も手に入れていない。次をしっかり勝ってから喜びたい」とDF中澤聡太。その言葉に代表されるように、この日の勝利に、決勝進出の切符を手にしたことに、満足している選手は一人もいない。
さぁ、次なる相手は、今季リーグ戦で2戦2敗の屈辱を味わった名古屋。準々決勝で鹿島への『リベンジ』を果たしたように、1月1日、国立競技場の舞台でもその喜びを再現し、史上7クラブ目となる天皇杯連覇を成し得た上で本当の歓喜の瞬間を味わってほしい。

以上