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【2009Jユースサンスタートニックカップ 決勝 F東京 vs 広島】プレビュー:首都(F東京)の労働者が地方都市(広島)の労働者を迎え撃つ。勤労プレスの対決は労働する王様が勝負を決めるのか(09.12.26)

12月27日(日)2009Jユースサンスタートニックカップ 決勝
F東京 vs 広島(13:30KICK OFF/長居)
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昨年は大阪ダービーとなった決勝。先制されたものの後半の4ゴールでG大阪がC大阪を4−2で押さえ込んでタイトルを手にした。1年後、決勝に先発したG大阪の宇佐美貴史や大塚翔平はJ1リーグ戦で、C大阪の山口螢は、J2リーグ戦でデビューを果たしている。C大阪は昇格を決めて、来年はJ1に大阪ダービーが戻ってくる。1年で選手も成長するし、いろいろなことが変わる。今年の決勝戦は3人(平出涼、阿部巧、重松健太郎)のトップ昇格選手がいるF東京と大崎淳矢がトップ昇格を決めている広島というカード。今年のJ1でACLの権利手前の4位の広島と5位のF東京のユースチームの対戦だが、この4人の中から来年Jリーグデビューする選手が出る可能性は大いにある。この4人を見るだけでも面白いが、お互いにトコトンまでやりきるチームなのでサッカーの試合として充分な見所がある。

トップチームと同じサッカーを志向する広島は3−4−3(3−6−1)のスタートポジション。中盤のサイドが特に運動量豊富で、この2枚が高い位置を取れていれば相手のサイドハーフを押し込んで主導権を取れていることがほとんど。ボールを奪われても前からのプレスでショートカウンターを波状的に仕掛けるので、広島の中盤の厚さへの対応に対戦相手は手を焼く。F東京は4−4−2からスタートするチームで、広島のスタートポジションとどうマッチアップするのか立ち上がりから興味深い。お互いに、リアクションではなくアクションで戦って勝ち上がってきたチームなので、スタートポジションを変更して対応する可能性はほとんど無い。

F東京はトップ昇格が決まっているストライカーの重松健太郎が注目されるチーム。プロで活躍できるという保証がないだけで、彼の能力がユースレベルでは際立っていることは誰も疑わない。準決勝で対戦したG大阪はあまりハードなマークをしなかったが、広島が重松に対してどう対応するのかは見所。悪い王様ならボールを持ってプレーを止めたり、自分勝手にドリブルをしたりするのだが、彼は決定力があっても球離れもいいので、重松を潰してF東京の攻撃を止めるというわけにはいかないだろう。重松を押さえ込むことが出来たとしてもサイドの三田尚央や梅内和磨が空いたスペースに顔を出してくる。広島は全員労働でボールにプレスを掛け続けるしかないし、それが出来るチーム。だからどうなるのか見てみたいと思わせる対戦になる。

また、広島はボールをしっかり繋いでビルドアップするチームだが、F東京は技術力の高い選手が多いG大阪に対しても厳しいプレスでパスにズレを生じさせて主導権を手にした。F東京のプレスが同じように機能するのか、それを広島が凌ぐのかも注目点。お互いに高い位置でボールを奪ってからのショートカウンターの数を増やしたいだろうが、奪われたボールを奪い返すことの繰り返しになることも増えるだろう。こういう場面ではロングボールや個の能力で局面を打開することが必要になる。広島がカウンターを受けたときなら大柄でスピードもある2年生ディフェンスリーダーの宗近慧と重松の対決は見所になるし、F東京がカウンターを受けたときはディフェンスリーダーの平出が沸き上がってくる広島の選手に対してどんな判断で対応するのか見てみたい。

お互いに労を厭わず走り続けるチームだけに、最後の最後は根性勝負になるかもしれない。選手個々の能力ではF東京にやや分があるかもしれないが、「根性勝負なら絶対に負けない」と準決勝後に話した広島の森山佳郎監督の言葉が強く印象に残っている。関東や関西には能力の高い選手がそろったチームが多く、トレーニングマッチの相手にも困らない。しかし、広島の周囲にはそういうチームが少ない。森山監督はその逆境をモチベーションにして「日本一のトレーニングをやってきた」と自信を持って言う。J2のクラブから見れば広島も恵まれたクラブと映るだろうが、景気低迷が長く続く中でJ1クラブの多数が首都圏と関西圏に集中するというのが現状。周囲にJ1のクラブがない地域で頑張っている広島の森山監督には凄みを感じる。一方、F東京の倉又寿雄監督も「ウチはどんな相手が来ても自分たちのサッカーを貫く。相手の胸を借りるつもりでしっかりやりたい」と謙虚ながら自信を持っている。関西のサッカーファンは大阪長居スタジアムでこの2人の指導者の手腕にも注目して、09年のユースチャンピオンを決める戦いを観戦してほしい。

以上

2009.12.26 Reported by 松尾潤

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