9月27日(日) 2009 J2リーグ戦 第42節
草津 2 - 0 水戸 (16:05/正田スタ/6,069人)
得点者:54' 小林竜樹(草津)、61' 小林竜樹(草津)
スカパー!再放送 Ch183 9/28(月)20:30〜(解説:佐藤正美、実況:吉田学、リポーター:円戸由香)
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これまでの北関東ダービーで苦杯をなめ続けてきた草津が、うっ憤を晴らすかのように宿敵水戸をチーム力でねじ伏せた。草津の圧倒的な勢い、そして若い力が水戸の淡い夢さえも完全に打ち砕いた。今季最高に近いパフォーマンスをみせた草津は開幕以来の3連勝を達成、チームの勢いが本物であることを証明した。草津にとって北関東ダービーの初勝利は、単なる勝利ではなく来年以降のチームを構築していく上でも非常に重要な意味を持つゲームとなった。
DF田中淳を出場停止、DF喜多靖を負傷で欠いた草津は、U23(アマチュアチーム)から昇格したDF有薗真吾をスタメンに抜擢し藤井大輔とセンターバックコンビを組ませた。また、前節で負傷した熊林親吾の代わりにルーキー佐藤穣を起用、左MFに配置した。主力のアクシデントによりチャンスを得た「ヤングガン」たちがピッチを堂々と駆けめぐり、チームの窮地を救ってみせた。
佐田聡太郎、小池純輝、藤井、有薗という平均年齢約23歳のDFラインは、キックオフ直後こそ不安定な部分がみえたものの、4試合ぶりの先発となった藤井が気迫のコーチングでラインを統率。周囲とコミュニケーションを図りながら安定を取り戻し、水戸の高崎寛之、吉原宏太の2トップを止めてゲームのリズムを作り出す。中盤では2カ月ぶりの先発となった佐藤穣がアクセントとなる。
「ゾノ(有薗)や穣(佐藤)とか新しい選手が100%以上のファイトしてくれていたので、僕らも良い緊張感を持ってプレーすることができた」(櫻田和樹)。フレッシュな選手たちに刺激を受ける形で、この日キャプテンマークを巻いた櫻田や松下裕樹が圧巻の動きをみせて水戸を追い詰めていく。松下は水戸の選手を次々となぎ倒してボールを奪取、櫻田は豊富な運動量で前線へと飛び出しチャンスを演出していく。「これまでの水戸戦では球際で負けていたので、そこだけは負けないようにした」(松下)。
前半をスコアレスで折り返した草津は54分、松下のミドルから待望の先制点を奪うことに成功する。スローインからの攻撃で右足を振り抜いた松下のシュートがGKを強襲。そのボールが小林竜樹の前にこぼれる。小林のショットは一度、GKに止められるが、そのこぼれ球を左足で突き刺しスタジアムを熱狂で包み込む。
さらに61分、中盤の底から左サイドまでクロスオーバーしてパスを受けた櫻田がゴール前の廣山望へパス。廣山のシュートはブロックされたが、そのボールが再び小林の足元へ、それを確実に右足で捕らえて2ゴール目を叩き込んでみせる。「草津の全員守備、全員攻撃のサッカーが自分に合っている。自分は身長がないので何か特別なものを出さないといけない」と小林。3戦4発、草津のリトルドラゴンの勢いはもう止まらない。
2点のリードを奪った草津は、最近の試合で確立したブロックDFを忠実に実行。荒田智之ら攻撃的な選手を投入して反撃に出る水戸の攻撃を、チーム一体となった組織的なDFで囲い込み、決定機を許さない。デビュー戦で指揮官の期待に応えた有薗、最後はイエロー2枚で退場になったが闘志をみせた藤井、前線でボールを追い続けた都倉賢…草津はチーム全員が主役だった。
3連戦の最終戦となった今節、フレッシュな選手が活躍したことはチームの大きな刺激となった。今季は連戦であってもメンバーを固定する傾向が強かったが、今節の水戸戦は今後の戦いに一石を投じるゲームとなった。また、選手たちが「個」ではなく「組織」での守備を覚えたことで草津は完全に甦った。決めるべきところを決めて、守るべきところを守る。この戦いができればチームは大崩れしないだろう。このゲームの収穫は、水戸を撃沈したという結果でも、連勝を3に伸ばしたという事実でもない。次世代を担う若き才能たちが大きな可能性を示したことが最大の戦果だった。
以上
2009.09.28 Reported by 伊藤寿学