9月27日(日)J2 第42節 草津 vs 水戸(16:00KICK OFF/正田スタ)
スカパー!生中継 Ch183 15:50〜(解説:佐藤正美、実況:吉田学、リポーター:円戸由香)
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水戸がこのタイミングで草津と対戦するのも何かの縁だろう。9月に入ってから5戦勝ちなし、そして3連敗中。「今は自分たちの流れではない」(木山隆之監督)。対して、12位ながらも草津は2連勝中。相手が12位草津といえども、怖いというのが正直なところだ。しかし、「勝てば変わる」と村松潤が言うように、ちょっとしたきっかけで水戸は再び上昇する可能性を秘めている。ここまで19もの勝利を積み上げてきた力が水戸にはある。「ほんのちょっとしたところがズレている」(中村英之)ことで攻守の歯車が狂うこととなってしまっており、歯車が噛み合いさえすれば、また走り出すに違いない。思い出されるのは第22節での対戦。荒田智之をはじめチーム内にけが人が多く、苦しみにあえいでいる中で草津と戦い、勝利をおさめたことで水戸は息を吹き返し、上位戦線へ食い込むこととなった。再び草津を踏み台にすべき、この一戦に水戸は挑む。
ただ、9月に入ってからの試合を見る限り、今節も厳しい戦いになるに違いない。前節鳥栖戦は前半こそ水戸らしいアグレッシブな戦いができたが、後半に相手が修正してくると、対応しきれなくなり、完敗を喫することとなった。プレスがかからないためボールの取りどころがなく、DFラインは下がってしまい、攻撃においても高崎寛之と荒田の2トップは研究し尽くされ、完全に封じ込まれることとなってしまった。攻守において向上の兆しが見られないのが現状だ。
中3日で迎える今節に改善できる点は限られている。その中で木山監督が選手たちに意識し直させたのは中盤の守備だ。金曜日の練習前、シーズン中では異例の約1時間のミーティングを行った。内容は最近の失点シーンの映像を見て、原因を探るものだったという。中でも前節の2失点目は大きく取り上げられた。中盤で簡単にサイドチェンジをされ、そこから華麗なパス回しで翻弄されての失点。ポイントはサイドチェンジのところ。「中盤が下がりすぎていた。だから、簡単にサイドチェンジされてしまった。もっと全体を押し上げて展開させないように厳しくプレスに行かないといけない」と中村は分析し、「前のところでうまく守備ができれば、ペースを握れると思う」と続けた。
今節は「中盤の攻防になる」と中村は言う。技術に長ける草津の中盤対運動量豊富な水戸の中盤。草津のパスワークをうまく中盤のプレスではめこむことができれば、水戸が主導権を握り、逆に草津が水戸のプレスをかいくぐれば、草津が多くのチャンスを作ることだろう。水戸には高崎寛之、荒田智之、吉原宏太、草津には都倉賢、小林竜樹、後藤涼といった強力なストライカーを擁しているが、彼らを生かすも殺すも中盤次第。攻撃と守備をつなぐ架け橋として中盤が担う役割は大きい。積極プレスと果敢な攻撃参加。水戸の中盤がその与えられたタスクをこなせれば、チームに一体感が蘇ることだろう。いい守備さえできれば、自慢の攻撃陣が火を噴くことは間違いない。
そして、90分という時間の中で水戸がいかに戦うかもポイントとなるだろう。「最近は後半に崩れることが多い」と大和田真史が言うように、最近3試合での8失点中7失点が後半に決められたものである。時間とともに攻撃陣と守備陣の意識がバラバラになり、間延びすることが続いている。90分間チームが一体感を保ち、そして集中して戦うことが勝利への必須条件。少しでも気を抜くようだと、敗戦は必至だ。
苦しみもがく日々が続く水戸。なんとかこの状況から脱出したいが、今が底ではない。この試合で負けるようならば、さらに底へと突き落とされることだろう。ダービーで負けるということはそういうことだ。第39節に栃木に敗れたことから連敗がはじまった。その悪い流れを断ち切るためにも、このダービーで勝たないといけないのだ。栃木の借りは草津で返す。
ただ、これまでダービーでまだ1勝もしていない草津は底へ叩きつけられる屈辱を味わい続けてきた。だからこそ、この試合へ向けての意気込みはすこぶる強いはず。水戸はそれ以上の思いを持ってこの試合に臨まなければならない。必要なのはチャレンジャー精神。格下相手といえども、相手以上に走り、球際を強く行き、最後まで戦い続けることが求められる。水戸の戦いの大前提であるハードワークで相手を上回ることができれば、結果はおのずとついてくるだろう。
前節敗れたことで3位湘南との勝点差は11に広がり、残り10試合での逆転はかなり厳しい状況になってしまった。しかし、奇跡は起こるものではなく、起こすものだ。ここでもう一度、チームがひとつになって戦い抜くことでしか奇跡は起こせない。水戸には北関東の空は狭すぎる。再び昇格戦線という大空をはばたくために。そのためだけに水戸は敷島へ乗り込む。
以上
2009.09.26 Reported by 佐藤拓也