6月20日(土) 2009 J1リーグ戦 第14節
鹿島 1 - 0 磐田 (16:04/カシマ/21,841人)
得点者:38' 興梠慎三(鹿島)
スカパー!再放送 Ch183 6/22(月)20:00〜(解説:柱谷幸一、実況:八塚浩、プレーヤー解説:名波浩、リポーター:高城光代)
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試合終了と同時に駒野友一がピッチに仰向けに倒れ込んだ。日本代表としてワールドカップアジア最終予選を戦い、帰国後すぐの試合に出場ということで疲労は確かにあっただろう。ただ、攻め込んでもゴールは遠かった。ゲームをコントロールする鹿島を完全に崩すことはできず、1点が奪えないまま試合は終わってしまった。
序盤、磐田はラインを高く保ち、前田遼一の頭を狙ってロングボールを送り込んできた。しかし、それを鹿島の岩政大樹がことごとく跳ね返す。奪ったボールを磐田DFの背後に送り、興梠慎三やマルキーニョスを走らせる。すると磐田のラインはズルズルと下がってしまった。
ただ、鹿島にとってもその状況は好ましいものではなかった。早い段階で相手が自陣に下がってしまったためスペースがなくなり、攻撃は手詰まりの印象が否めなかった。というのも、約1ヶ月の中断期間を経て再開した初戦ということで、選手たちの試合勘は戻っておらず、攻撃の際のお互いの距離感がつかめない。連動した動きで攻撃を組み立てるようなシーンはなかなか生まれなかった。
そのため、鹿島はいつも以上に最終ラインでパスをまわすことを強いられてしまう。磐田の前線の選手たちがそれを見逃すはずがない。成岡翔、西紀寛、ジウシーニョがタイミング良くプレスをかけ、パス回しにもたついたところからボールを奪った。特に7分には、右サイド深い位置で成岡がボールを奪い、遅れて走り込んできた那須大亮がミドルシュートを放つなど、鹿島がパスの出し所を探っているなかでミスを犯し、それを奪った磐田が何度かチャンスを迎えた。ただ、ラストパスの精度を欠き決定的な場面にまでは至らなかった。
磐田は、那須と上田康太のダブルボランチが守備のときにうまくスペースを消していた。鹿島のFWがCBとボランチの間でパスを受けようと動き出しても、パスのライン上にポジショニングすることでパスを出させない。特にマルキーニョスはなかなか良い形でボールを受けられなかった。22分、にパクのミドルシュートが有ったものの、突破口を見いだせずにいた。
しかし、そこから鹿島は別の戦いに活路を見出すようになる。相手ボールになったときに、前戦から素早く囲い込み、再びボールを奪ってショートカウンターを仕掛ける。何度かそうした形が続いたあとの38分、相手のミスからボールを奪うと小笠原満男が前線の左サイドに開いたマルキーニョスにパス。野沢拓也がマルキーニョスを追い越してパスを受けると、磐田の最終ラインは混乱し、誰がマークにつくのかハッキリしないまま、ゴール左のライン際まで野沢に侵入を許してしまう。十分にDFの視線を引きつけた野沢がゴールを横切る鋭いパスを送ると、逆サイドで待っていた興梠が太腿合わせ、鹿島が少ないチャンスを生かして先制点を奪った。
「われわれが攻撃を仕掛けて中盤でボールを失って、バランスを崩されたときフィニッシュまで持って行かれて失点したと。まあ、アントラーズは狙い通りのプレーをされてしまった」
柳下監督は、この失点を大いに悔やんでいた。
後半になると、鹿島の運動量はハッキリと落ちた。中断期間に紅白戦を重ねていたものの、その時間はだいたい20分ほど。キャンプなどで基礎体力は鍛えたものの、まだ試合を戦う体力に昇華しておらず、選手たちも一様に「きつかった」と言っていた。
そのためオリヴェイラ監督は「最終ラインからのビルドアップに十分注意すること。できるだけセーフティー」と指示を出した。
左SBのパク・チュホは無闇にラインを上げず、まず守備を第一に考える戦いに切り替えた。
「後半は、簡単にボールをあげるようにした。1点でも勝つ。それが大事。2-0にしようとして1-1になってしまうことはある。ラインを上げたらカウンターがあるので守備から厳しくやっていくことを意識した」
59分には本山雅志に代えてダニーロを投入し、中盤のキープ力を高める。それに対し、磐田は63分に松浦拓弥、カレン・ロバートを入れて、ゲームを活性化させた。小回りの利く松浦は鹿島を自陣に押し込む変化をつけたが、流れを掴んだのも10分ほど。最後まで鹿島のゴールを割ることができず1-0のまま試合は終了した。
これで磐田は、またしても鹿島から勝利できず、ここ13試合で4分9敗となってしまった。試合勘の戻っていない鹿島との対戦は、勝利を得る最大のチャンスであっただけに、それを逃してしまったのは大きい。
一方、鹿島はこの勝利でリーグ戦6連勝。浦和の結果次第では独走態勢に入る。とはいえ、キャンプでの狙いとしていた残り15分の戦い方に改善は見られなかった。この試合も終盤に押し込まれてしまうなど、その成果が出なかったのは残念。ただ、この勝利に満足している選手も一人もいない。
「この試合で勝てるほど甘くない。もっとコンディションを良くしていかないと勝てない」(本山)
「次はもっとチームの運動量は上がると思います」(岩政)
次は、大事なACLラウンド16のFCソウル戦。一発勝負なだけに、持てる力を全部出して欲しい。
以上
2009.06.21 Reported by 田中滋