6月20日(土) 2009 J2リーグ戦 第22節
愛媛 3 - 0 福岡 (14:04/ニンスタ/3,326人)
得点者:2' 赤井秀一(愛媛)、17' 赤井秀一(愛媛)、58' 内村圭宏(愛媛)
スカパー!再放送 Ch181 6/22(月)15:00〜(解説:大西貴、実況:堀本直克、リポーター:重橋秀香)
☆勝敗予想ゲーム
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試合は開始2分でいきなり動いた。愛媛はペナルティエリアの左外、角度の無い位置でFKを得た。キッカーは赤井秀一。その右足から放たれたシュートは、二アサイドを抜けて福岡のゴールネットへと突き刺さった。新加入の永井俊太がボランチに入り、この日の赤井はボランチではなく、今季初めて右サイドハーフでのスタメンとなった。「サイドハーフとしては、得点に絡むプレーをすることが大事だと思った」と試合後に赤井は振り返ったが、この先制点は自身の今季5得点目で内村圭宏に続くチーム2位の得点数。今季はこれまでも得点への高い意欲を見せていたが、この試合では一つ前のポジションを務め、その攻撃力をさらに発揮した。続く前半17分には、ゴール正面で永井の縦パスを受けるとすぐさま左足を振り抜き、強烈なミドルシュートで追加点を決めた。
「トラップをしたとき、相手が寄せてこなかった」と赤井はその場面を振り返ったが、逆に福岡はバイタルエリアを愛媛に自由に使われた。前節の仙台戦のように、次第にツートップまでもが自陣に押し込まれる状況も生まれたが、この試合では人数が揃っていても局面で隙があった福岡のディフェンス。「サイドバックの裏が空くので前半は徹底して狙った」と愛媛のボランチ・田森大己は指摘したが、前半6分にはDF吉川健太のロングフィードに走りこんだ田森がサイドを崩し、内村へラストパス。内村のシュートはクロスバーに阻まれたが、中央から、そしてサイドから、愛媛は自由に福岡陣内を攻略していった。
さらに、運動量が上がらずピリッとしない福岡に対して、ハードワークを惜しまなかった愛媛。象徴的だったのは、2点目が生まれる直前のプレーだ。愛媛はバックパスをGK山本浩正が福岡陣内めがけてロングキック。一見すれば単なるクリアで愛媛の選手が追いつけるはずのないコースに飛んでいったが、それを内村があきらめることなく猛然と追いかけた。たまらず、先に追いついた福岡のDF田中誠はタッチへと切った。そのスローインから、結果的にゴールが生まれたのだ。逆にピンチが訪れれば、自陣のペナルティエリア内まで赤井が戻って体を張る。前線、中盤の選手が労力を惜しまず守備をすれば、この4試合で12失点の最終ラインにも落ち着きが生まれた。
ただ、前節の草津戦で2点を追いつかれた愛媛にとっては、前半終了時の2点は決してセーフティーリードではなかった。実際、後半開始直後から宮原裕司と城後寿を投入した福岡が主導権を奪い返しかけた。宮原がテンポよく縦へボールを入れ、左サイドに回った中払大介は中に絞りながらフィニッシュをうかがうと、ボランチの位置からは鈴木惇も攻撃に絡んできた。しかし、草津戦の嫌なイメージを愛媛は振り払った。後半13分、ジョジマールがヘディングで競ったこぼれ球を内村が拾うと、そのままドリブルでDFとGKをかわし、無人のゴールへ勝負を決める3点目を奪った。その結果「前節と同じストーリーにならないように、選手たちが頑張ってくれた」と望月一仁監督が選手をねぎらったように、愛媛は草津戦の失敗を糧に第2クール初勝利を手にした。
試合が始まる前、勝点2差で愛媛が12位、福岡は13位だったがこれで両者の勝点差は5に広がった。勝てば中位に踏み止まり、敗れれば下位との差を縮められかねない重要な一戦で「らしさ」を発揮した愛媛が勝ち、福岡は敗れてしまった。前節の良さを継続できなかった福岡、そして前節ようやく連敗を止めた愛媛が5試合ぶりの勝利をつかんだ。「この試合の重要性は誰もがわかっていた」と試合後に福岡の篠田善之監督は語ったように、この結果が持つ意味は大きく、そして両者の明暗を分けることにもなった。
ただ、連敗を止め、さらに9度目の対戦で福岡から初勝利をあげた愛媛にとっても、次の水曜に迫ったC大阪戦(6/24@長居)こそが正念場。つかみかけた自信を失わないためにも、相手が上位であろうと結果を出し続ける必要がある。「ボールを回されると思うが、奪ったあと、どれだけ前に出て行けるかが大事になる」と金守智哉は意気込みを語ったが、前に突き進む姿勢を忘れることなく、今季やり続けてきた自分たちのサッカーで勝点をホーム・愛媛へと持ち帰り、第2クールの反撃体制を固めたいところだ。
以上
2009.06.21 Reported by 近藤義博