J1&J2クラブの戦力を徹底分析
浦和浦和レッズ
確固たるスタイルの成熟で、悲願のタイトル奪取を今季のみどころ
タイトルを渇望する気持ちは、ほかのどのクラブよりも強いかもしれない。浦和は2012年にペトロヴィッチ監督が就任して以降、毎年のように優勝争いに絡んでいるが、頂点には1度も立てていない。特に昨季はリーグ戦全34節中実に19節も首位に立つという安定した強さを見せながらも、最終節を前にトップの座から転落するとそのまま2位の座に甘んだ。ほぼ掴みかけていたものを自らの過失で手放しただけに、歯がゆい思いがより一層増す形となった。
もうこれ以上同じ轍を踏むわけにはいかない。だが、今季は昨季以上に厳しい戦いが待っている。2ステージ制が始まることに加え、浦和はAFCチャンピオンズリーグにも参戦するため日程的にハードな1年になる。
その険しい道のりを踏破すべく、オフには大胆な改革に乗り出した。復帰組を含め、実に11名もの選手を陣容に加える大型補強を敢行。ズラタン、石原直樹、高木俊幸、橋本和、加賀健一、武藤雄樹など他クラブで主力として活躍していた人材を招き入れ、大きな血の入れ替えを行うことでチームのポテンシャルを一気に引き上げた。
シーズン前のキャンプでは、これまで積み上げてきた独自のスタイルに磨きをかけつつ、新戦力たちがペトロヴィッチ監督の独特な戦術を貪欲に吸収して早くも存在感を示すなどチーム力の底上げも着々と進行。既存戦力との融合も進んでおり、これからどういった化学反応が起こっていくのか期待は高まる一方だ。
「今季は絶対にタイトルを取りたい」。キャプテン・阿部勇樹の言葉はチーム全員の思いでもある。機は熟した。今度こそ頂点に立ち、2006年以来9年ぶりとなる歓喜をかみしめたい。
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Reported by 神谷正明
開幕時の予想布陣
フォーメーションは今季もペトロヴィッチ監督の哲学を表現するために編み出された3−6−1を継続。攻撃時には4−1−5に変形する独特のシステムを貫く。
今季は11人の新戦力を加える大胆な補強を行ったが、注目はやはり1トップ2シャドーの組み合わせだろう。浦和が誇るコンビネーションの核となるこの前線ユニットは、補強により選択肢が大きく広がった。トレーニングの様子から察するに、1トップは興梠慎三かズラタンのどちらかが務めることになりそうだ。ポストプレーの質が抜きん出ていて実績も十分な興梠と、短期間の練習で高い適応能力を見せているズラタン。最前線にどちらを置いたほうがより機能するのか、試行錯誤しながら固めていくことになるだろう。昨季は興梠が腓骨骨折で戦線離脱したことが成績下降に直結してしまったが、今季はズラタン、それから浦和と同じシステムで戦う広島で1トップもこなした石原直樹が加入したことで、アクシデントが起きてもうまく乗り切れそうだ。
興梠、ズラタン、石原の3人はシャドーのポジションでもレベルの高いプレーを見せられるが、武藤雄樹、高木俊幸といった小回りが利くアタッカーも新風を巻き起こしそうな雰囲気を漂わせており、李忠成、梅崎司といった昨季の主力組も新戦力から刺激を受けている。爆発力は間違いなく昨季以上のものになるはずだ。
攻撃の大黒柱である柏木陽介はボランチとシャドーの両方をこなせるが、現有戦力のバランスを考えると、今季はボランチでプレーする時間が増えそう。守護神は西川周作で決まり。昨季のJリーグベストイレブンにも選ばれたリーグNo.1のGKが今季も金城鉄壁の砦として敵の前に立ちはだかる。
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Reported by 神谷正明