J1&J2クラブの戦力を徹底分析
栃木栃木SC
河本明人、阪野豊史、松村亮ら新加入の若手アタッカー陣が活躍できればチーム状態は明るい今季のみどころ
就任1年目の阪倉裕二監督が指揮した昨季は12位でフィニッシュ。序盤は瀬沼優司が7ゴールを量産してチームを牽引したが、折り返した後半戦は6連敗を喫するなど失速。前から連動して奪ってショートカウンターからゴールを陥れる――。狙いとするサッカーが年間通じて貫けなかっただけに、その徹底と覚悟が、今季のチームには求められる。
今季加入した若手のアタッカー陣、河本明人、阪野豊史、松村亮の3選手はいずれもJ2で結果を出そうと意気込んでいるが、一方で「前から激しく守備をしてチームに貢献したい」と口を揃える。彼らが強化部の言う「ハードワークができてタフに戦える選手たち」ならば、チームの狙いは色濃く反映されていることになる。あとはその守備の献身に加えて、どれだけゴールを奪えるか。
確かに昨季ゴールやアシストを量産した近藤祐介や大久保哲哉らの移籍は痛い。が、足りないものはチームで補い合えばいいし、個々が成長すればいいだけの話。それは指揮官の信念にも通ずるだろう。
昨季栃木で結果を残した瀬沼やドゥドゥ(現柏、登録名をエドゥアルドに変更)はチームが好調だった前半戦終了と同時にJ1へ『個人昇格』した。つまり、前出の3選手のうち誰かが途中でJ1へ引き抜かれるような活躍を見せるようならば栃木のチーム状態は明るい。3選手の動向は栃木の好不調のバロメーターだ。注目してほしい。
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Reported by 鈴木康浩
開幕時の予想布陣
昨季の栃木の前線にはゴールを奪う術を知る近藤祐介や大久保哲哉らがいたが、今季はいない。屈強なブラジル人ストライカーもいない。ここは今季新たに加わった河本明人、阪野豊史、松村亮ら若手の活躍に期待したいが、Jリーグでの実績が乏しい彼らはまだまだ未知数。
その意味で、現時点の攻守の総合力では杉本真、廣瀬浩二らの牙城は堅いだろう。背番号10を背負って2年目の杉本は、昨季6ゴールとキャリアハイを記録した。ゴール前の一瞬の動きで、ワンタッチでゴールを奪い取る術に年々磨きがかかる。ここに中美慶哉、湯澤洋介ら生きのいい大学卒2〜3年目の戦士たちが加われば、アタッカー陣のレギュラー争いは熾烈を極める。
中美はあるいはボランチ起用もありそうだが、本間勲、小野寺達也のボランチコンビは昨季を経て円熟味を増している。
最終ラインは、特にセンターバックにフェリペ、ハン ヒフンと屈強な新外国籍選手たちが顔を並べた。ややスピードは劣るが、2選手とも実績は十分。高さと強さがなによりの魅力で、攻守のセットプレーに威力を発揮するだろう。
左サイドは攻撃参加時のスプリントやドリブルが魅力の荒堀謙次が当確。1列前の河本と息が合えばおもしろいコンビネーションが構築できそうだ。
GKは全3選手が入れ替わる異例の人事となったが、現時点ではベテランの桜井繁が一歩リードか。全体に誰かに頼る布陣ではなく、全員攻撃・全員守備がマストだ。常に出し切る試合を歓迎したい。
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Reported by 鈴木康浩