J1&J2クラブの戦力を徹底分析
清水清水エスパルス
徐々に大榎スタイルを浸透させ、シーズン途中からのブレイクを今季のみどころ
昨季7月末に急きょ指揮を任された大榎克己監督が、今季は始動時からじっくりチームを作ることができるという意味では、サポーターの期待感は大きい。
ただ戦力的には、まだ新外国籍選手が確定しておらず、昨季13得点したノヴァコヴィッチの穴が埋まるかどうかは不明。しかも選手の登録人数が必要以上に多く(予定されている2人の外国籍選手が加われば36人)、補強計画に一本筋が通っていないことも感じられる。
それでも、新加入選手だけでなく期限付き移籍から戻った枝村匠馬、犬飼智也、白崎凌兵らが頼もしいプレーを見せており、4人の高校卒ルーキーも即戦力となりうる存在。選手層に厚みが増していることは間違いない。
そんな中で大榎監督がどんな成果を上げるのか。昨季の時点でも「監督のやりたいサッカーができていたときは、良いゲームができて結果も伴っていた」と新キャプテンの本田拓也が語る通り、攻守両面で全員が連動して動く大榎スタイルは観て楽しいという意味でも期待できるもの。現在いる選手の特徴を生かすという意味でも、若さの利を生かすという意味でも理にかなっているので、その完成度を早い段階でどれだけ高められるかというのが、もっとも注目されるところだ。
また、そのためにプレシーズンでは90分間走り切れる体力作りに取り組んでおり、とくに「ローパワー(有酸素運動の領域)」の強化に力を入れている。その成果が出始めるのも開幕後になりそうで、新外国籍選手のフィット具合を考えても、開幕からいきなりブレイクするのは難しいかもしれない。だが、徐々に飛躍を見せ始める可能性は、十分に秘めたチームと言えるはずだ。
以上
Reported by 前島芳雄
開幕時の予想布陣
システムは、昨季からの流れをみても、4-2-3-1 か 4-1-4-1が基本になりそう。
課題だったGK陣に関しては、杉山力裕が入ったことで良い競争が生まれ、安定感も増すだろう。
DFラインでは、センターバックとサイドバックの両方ができる犬飼智也の存在は大きく、守備力の高い鎌田翔雅は左右のサイドバックをこなせるので高さという課題も修正され、昨季60失点した守備を立て直す陣容は揃ってきた。カルフィン ヨン ア ピンのケガの状況は未知数だが、ベテランの杉山浩太や3年目の三浦弦太も有力なスタメン候補と言える。
中盤はもともと人材豊富で、ボランチでは八反田康平や竹内涼が起用されても遜色ない。
2列目の3人はもっとも激戦区で、その時点でもっとも調子の良い選手が起用されるだろう。主軸となる大前元紀のほかにも、富山で多くの試合経験を積んで成長した白崎凌兵や、同じく期限付き移籍から復帰の枝村匠馬、熊本から移籍してきた澤田崇、戦術眼の高い河井陽介、リオデジャネイロ・オリンピック代表入りを狙う石毛秀樹、加入2年目にプライドをかける高木善朗、金子翔太らも楽しみな選手だ。もちろん昨季はスーパサブとして救世主になった村田和哉も、交代出場だけでなくスタメンも狙っている。
1トップは、192cmの長身・長沢駿が主軸。ユースからトップ昇格した北川航也は裏に抜けるスピードが抜群で、非常に楽しみな即戦力と言える。そう考えると現有戦力だけでも楽しみなスタメンが揃うが、そこに「ゴール前で恐さのある選手を」と左伴繁雄新社長が獲得を明言した2人の新外国籍選手をどのように使うのか。選手数がかなり多い中、選手起用という面でも大榎監督の手腕が問われるシーズンとなる。
以上
Reported by 前島芳雄