J1&J2クラブの戦力を徹底分析
大宮大宮アルディージャ
目標はJ2優勝&1年でのJ1復帰。圧倒的戦力で攻撃サッカーを貫く今季のみどころ
昨季、15位にわずか勝点1届かず、2005年から守り続けたJ1の座から陥落した大宮。今季の目標はもちろんJ2優勝、そして1年でのJ1復帰となる。
懸念された戦力の流出は、主力級ではズラタン、高橋祥平の2人に抑えられた。一方で昨季の弱点の1つであったGKには加藤順大、塩田仁史というJ1で出番に恵まれなかった実力者2人を迎え入れ、センターバックには2012年に期限付き移籍で在籍し、J1残留に大きく貢献した河本裕之を完全移籍で獲得。彼らは実力に加えリーダーシップにも定評があり、練習から常に盛り上げる播戸竜二とともにチームを引っ張っていくはずだ。
昨季途中から指揮を執る渋谷洋樹監督は、選手としては大宮の前身・NTT関東で現役を終え、指導者としてもNTT関東・大宮で多くの時間を歩んできた、いわば『大宮を最も知る男』であり、2004年のJ1昇格時にもトップチームのコーチを務めていた。
指揮官としては「攻守にイニシアチブを握るサッカー」を掲げ、大宮伝統の堅守をベースに「後ろからボールをしっかり繋いで崩す」ポゼッションスタイルを指向する。
大宮はJ1で10シーズンを過ごしたが、例年のように攻撃サッカーを掲げてシーズンに入るものの成績がふるわず挫折し、シーズン後半は守りを固めて残留争いを乗り切ることが続いた。しかし今季の舞台はJ2であり、戦力からいえば攻撃サッカーを貫き、その上で優勝あるいは自動昇格が義務付けられる。J1に戻り、今度は残留争いでなく上位で争っていくチームになるためにも。
以上
Reported by 芥川和久
開幕時の予想布陣
FWの軸は昨夏に加入して9得点を挙げ、セルビアリーグ得点王の実力を証明したムルジャ。2トップであれば、その相棒は高い身体能力でポストプレーをこなせる清水慎太郎になりそうだが、FWを1トップとし、絶対的エース家長昭博をトップ下に配した4-2-3-1もキャンプから試している。その場合は右サイドハーフに戦術理解力に優れるリンクマンの渡邉大剛が入るだろう。
中盤では一昨季にJ2京都で11得点を挙げた新加入の横谷繁が指揮官の信頼をつかみつつある。
G大阪ユース出身らしいボール技術の高さから、トップ下やボランチ起用の可能性も。
大学卒2年目のドリブラー泉澤仁は、視野の広さと守備のポジショニングに課題を残し、現状ではスーパーサブとして起用されそうだ。
ボランチはユース時代から渋谷洋樹監督の薫陶を受けたミスターアルディージャ・金澤慎が軸。その相棒は攻撃力と展開力に長けたカルリーニョスになりそうだが、「ゲームによっては守れる選手にしなければいけないし、前の選手のタイプにもよる」(渋谷監督)ことから、守備力と配球力のある横山知伸、金澤と同タイプでボールアプローチに優れる和田拓也の起用もある。
最終ラインでは、昨季の日本代表候補合宿に招集された右サイドバックの今井智基が当確。センターバックは、2012年後半の無敗記録を作った菊地光将と河本裕之がファーストチョイスとなるが、キャンプ中に負傷した菊地の復帰が遅れれば、昨季も菊地の代役を務めた横山になりそうだ。
左サイドバックは昨季から続く大宮の最大の痛点だが、大学時代の経験から獲得した大屋翼を筆頭に、渡部大輔、和田らと競わせつつ、大卒2年目の本職・高瀬優孝の成長を見込む。
GKは足技に長けて気持ちを前面に押し出す加藤順大と、コーチングに優れ安定感のある塩田仁史のハイレベルな2人に、大宮でプロ入り8年目を迎える清水慶記が挑む構図だが、総合力で塩田が一歩リードと見る。
以上
Reported by 芥川和久