J1&J2クラブの戦力を徹底分析
金沢ツエーゲン金沢
初のJ2で吹くか金沢旋風。北陸新幹線が開業し、まさに今が旬今季のみどころ
念願だったJリーグ参入を果たして初舞台に臨む。北陸新幹線の開通による地域活性化に期待が高まる中、スポーツ界からもムーブメントを巻き起こすつもりだ。
J3初代王者に輝いた昨季は、2012年から指揮を執る森下仁之監督の下で堅守速攻のスタイルを確立して夏以降に調子を上げた。8月の第21節・長野戦から7連勝し、引き分け1つはさみ最終節まで5連勝でフィニッシュ。13戦負けなしでJ2に乗り込む。
主力選手がほぼ全員が残り、森下監督もスタイルの継続を明言している。昨季培った組織力をベースにし、まずはJ2残留に全力を注ぐ構えだ。地元出身のDF作田裕次らを中心とする守りは、昨季33試合でリーグ最少の20失点だった。
キャプテンのMF清原翔平が軸となる速攻の切れ味は鋭い。新戦力として加わったMF秋葉勝、DFチャ ヨンファンを筆頭に他クラブで実績を残している選手も多く、J2のレベルに適応するのにそれほど時間はかからないだろう。
1956年に金沢クラブとして発足。2006年にツエーゲン金沢として生まれ変わり、2010年にJFLへ昇格してJ2入りを目指してきた。昨季終盤にはホームゲームに毎試合5000人前後が来場した。1月には全国高校選手権で地元石川県の星稜高校が初優勝し、県民のサッカーへの関心はこれまでになく高まっている。
新幹線の開通により、兼六園をはじめ観光名所の多い当地にはアウェイからも大勢のサポーターが足を運ぶはず。期待と注目をエネルギーに変えた時、J2に金沢旋風が吹くかもしれない。
以上
Reported by 赤壁逸朗
開幕時の予想布陣
13戦負けなしを記録した昨季終盤のメンバーが中心になる。堅守速攻のスタイルを変えず、フォーメーションも昨季と同じ4-4-2か。継続路線のアドバンテージを生かし、キャンプでは新加入選手を交えた守備の再確認など、要点を絞ってじっくり鍛えた。チームの完成度は高く、J3で強さと勢いを見せつけた攻守がどれだけ通用するのか、開幕の大宮戦をはじめ序盤戦に注目が集まる。
昨季はJ2経験のあるGK原田欽庸、センターバックの作田裕次と太田康介が全33試合に先発出場して失点を最小限に抑えた。栃木からチャ ヨンファン、清水から廣井友信が加入してセンターバック陣の質、量がともに充実したのは心強い。
右サイドバックには清水などで活躍した辻尾真二が入り、持ち味の攻撃参加に期待が寄せられている。
森下仁之監督はオフの補強について「当初の予想以上に実績のある選手を獲得できた」と話す。中でも山形でJ1・J2通算360試合出場の秋葉勝はチームに+αの力を与える存在。パスやポジショニングのセンス、視野の広さ、経験などを生かして攻守の要になる。山藤健太、清原翔平はクラブの昇格とともに悲願のJ2デビューを果たす。
FW水永翔馬は昨季途中に加入して16試合で8得点を挙げた優勝の立役者。2013年に長崎で5得点をマークしている。前線で高さとキープ力を発揮して攻撃の起点になりたい。21歳のブラジル人FWジャーン モーゼルは戦術への適応力もありそうで、じきに出番が回ってくるだろう。
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Reported by 赤壁逸朗