J League・スカパー!New Year Cup
日程・結果
序盤はロアッソ熊本が前線からの果敢なプレスで清水エスパルスを圧倒。足下でつなごうとする清水に対して勢いのある守備から高い位置でボールを奪い、そのままゴールへ襲いかかるシーンが何度も見られた。
まずは4分、齊藤和樹が高い位置でボールを奪うと、そのままドリブルを仕掛けて右足で強烈なシュート。24分にはアンデルソンが鋭くゴール前に抜け出したが、いずれも清水GK碓井健平のセーブに阻まれる。27分には左サイドから崩して斉藤、常盤聡が立て続けにシュートするも相手のブロックを破れず。43分にはアンデルソンがGKの頭を越える決定的なヘディングシュートを放つも、ゴールラインギリギリのところで清水DF平岡康裕にバイシクルでクリアされてしまう。フィニッシュの精度を欠いて得点を決められなかった点は昨シーズンから続く課題として残ったが、相手のバックパスを見逃さずに連動したプレスを仕掛けることができていた。
一方の清水は大榎克己監督が求めていた「攻撃のプライオリティ」を見せることができなかった。指揮官が試合後に「何のためにつなぐのか。もっとゴールを目指すことを徹底させるようにしたい」と振り返ったように、無理に足下でつないで相手のプレスを受け、バックパスを狙われるなど後手を踏む展開に。アタッキングサードでの工夫や前線の動き出しに変化がなく、攻撃面で停滞感を感じさせる前半となった。
これを受けて後半開始からボランチに本田拓也を投入すると、彼からの長短のパスが攻撃陣にリズムを作り出す。シンプルに最終ライン裏のスペースを狙うことで攻撃にバリエーションが出始めたが、決定的なチャンスを作るまでには至らない。
ハーフタイムで大きくメンバーを変えた熊本は高い位置で奪って決定機に直結させる機会こそ減りながら、小野剛監督が「前後半を通じて、いい形でボールを奪うことができた」と話したように、守備面で手応えを感じさせる内容。そして84分、田中達也の右クロスが相手DFの頭を越えたところで齊藤がスムーズなトラップを見せ、「冷静に逆サイドを狙った」という左足シュートでついに均衡を破った。
結局、このゴールが決勝点となり、熊本が1-0で清水に勝利。J1勢との2連戦を1勝1分けで乗り越えて勝ち点を4に伸ばし、14日に行われる最終戦に鹿児島ラウンド優勝の可能性を残した。
文=青山知雄(サッカーキング)