鳥栖vs浦和の見どころ(明治安田J1リーグ:2024年8月11日)
一覧へ明治安田J1リーグ 第26節 2024年8月11日(日)19:04KO 駅前不動産スタジアム
これ以上離されないためにも。鳥栖にマストな白星
降格圏内で中断期間を迎えた鳥栖は、その期間で長沼 洋一が浦和へ、手塚 康平が柏へ、菊地 泰智が名古屋へ完全移籍。ここまで主要メンバーとして戦ってきた選手を失った中で、前節はアウェイで鹿島と対戦すると、前半にミドルシュートから失点を喫し、後半には2失点。中断期間では主に守備の修正に取り組んできたが、選手が移籍した影響は拭い切れずに、0-3という完敗を喫することになった。守備の課題もさることながら、チームのスタイルであるビルドアップでも縦パスを入れる意識やアグレッシブなポジショニングなど、攻撃的な姿勢を打ち出せず。「勇気がなかったし、気持ちが後ろ向きだった」とGK朴 一圭も振り返ったように、降格圏からはい上がろうという意欲を示せない、重い敗戦となってしまった。
一方の浦和は前節、ホームで柏とのゲームが予定されていたが、荒天のためにキックオフ予定約1時間前に中止が決定。浦和にとっては今節が中断期間明けの初戦という形になった。思いがけないアクシデントに見舞われたが、負傷やコンディションに難を抱えている選手たちにとっては回復までの時間を得られたという点では前向きに捉えられるだろう。パリ五輪の戦いを終え、帰国して日が浅いU-23日本代表の大畑 歩夢にとっても、コンディションを整えるという意味では良い時間になったはずだ。
7月以降のゲームを振り返ると、浦和は失点が目立っている。第23節・京都戦こそ無失点で終えているが、第22節・湘南戦では3失点、前々節・札幌戦では4失点。さらにJリーグインターナショナルシリーズ2024 powered by docomo・ニューカッスル戦でも4失点を喫している。リーグ戦の総得点39は上位陣を比べても見劣りしないだけに、守備の修正は急務だろう。
両者の前回対戦は4月初旬の第7節。この試合では深い位置でビルドアップを試みる浦和に対して、鳥栖はボールを奪いにいったところで引き延ばされてしまい、後方のスペースを松尾 佑介に活用されて後手を踏んだ。開始早々の失点でチームの統一感も失った中で、最後までその状態を改善し切れずに、0-3というスコア以上の完敗を喫している。
今節は、浦和の今夏加入選手たちに注目が集まる一戦だ。長沼にとってはいきなりの古巣戦となる。メンバー入りを果たすことができれば、新天地でのデビュー戦がかつてのホームスタジアムになる可能性は高いだろう。同じく新加入の二田 理央は鳥栖U-18の出身。高校3年生だった2021年には2種登録されてトップチームでの公式戦も経験しているが、駅前不動産スタジアムでのプレーは経験していない。古巣の本拠地で初めてのプレーとなるか、注目だ。
残留争いが激しさを増す中で、残留圏内の17位・湘南との勝点差は『3』。鳥栖としてはこれ以上離されるわけにはいかない。ホームで連敗を『3』で止める、勝利がなんとしても必要な一戦だ。
[ 文:杉山 文宣 ]