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2016Jユースカップ

2016/10/4(火)17:00

FC東京U-18 トップ昇格トリオが語る「Jユースカップにかける想い」【特別インタビュー】

トップ昇格を果たした波多野 豪、岡崎 慎、鈴木 喜丈3選手が、10月8日に開幕するJユースカップへの想いを語った
トップ昇格を果たした波多野 豪、岡崎 慎、鈴木 喜丈3選手が、10月8日に開幕するJユースカップへの想いを語った

10月8日に開幕する、Jユースカップ。今年で24回目を迎える今大会には、Jクラブのユースチーム50チームに加え、一般財団法人日本クラブユースサッカー連盟(JCY)の地域 代表4チームを合わせた計54チームが参加する。11月19日にヤマハスタジアムで行われる決勝の舞台で、栄えあるカップを掲げるのは果たしてどのチームか。

今大会の優勝候補の一つに挙げられるのが、今夏に行われた日本クラブユース選手権(U-18)で日本一に輝いたFC東京U-18だ。すでに来年のトップ昇格も内定しているGK波多野 豪、DF岡崎 慎、MF鈴木 喜丈の3選手が今大会への意気込みを語った。

――まずは来季のトップチーム昇格内定、おめでとうございます。

波多野 ありがとうございます。とにかくうれしいの一言です。

岡崎 僕はセンターバックなんですが、トップチームには大学からすでに山田 将之選手(法政大)の加入が決まっていたので、ディフェンスラインは足りているのかなと思っていました。だからびっくりしたというのが本音です。

鈴木 素直に嬉しかったです。でもここがゴールではないし、これからが勝負だと思っています。


自分たちは常にチャレンジャーであると語った波多野。謙虚に戦い優勝を狙いたいと意気込んだ
自分たちは常にチャレンジャーであると語った波多野。謙虚に戦い優勝を狙いたいと意気込んだ

――FC東京U-18は今夏に行われた日本クラブユースサッカー選手権(U-18)で優勝し、Jユースカップでも優勝候補のひとつに挙げられていますね。

波多野 いや、僕らは常にチャレンジャーなので。鼻が伸びすぎないように謙虚に戦って、優勝を目指したいと思っています。

岡崎 僕らはスカウティングされるようなチームでもないですからね。でもクラブユース選手権で優勝して、期待の目もあり、相手からは脅威と感じてもらえるのは嬉しいこと。研究してくるようなチームと戦ったことはあまりないので、それをJユースカップで経験できるのは楽しみですし、それを越えなければトップでも活躍できないので、しっかりと頑張っていきたいです。

鈴木 優勝したことで周りからの目は変わってくると思います。自分たちの実力をしっかり出して、常に結果を出せるチームでありたいと思っています。


――あらためてクラブユース選手権を振り返ると?

波多野 GKとしては無失点が目標だったのに、2失点してしまったので、そこはまだまだ自分の弱いところなのかなと。

岡崎 J3リーグや各年代の代表チームの活動もあって、僕たちは全員が揃って活動する機会が少ないんですが、久保(建英)選手や代表選手も含め、クラブユースは全員が集まっての初めての大会だったので、楽しみだった半面、もしかしたら内部から崩れてしまう可能性もありました。だけど試合を重ねるなかで、上手くチームが一体となって最終的に優勝できたので、すごく成長できた大会だったと思います。

鈴木 自分としては一緒にボランチのコンビを組んだ平川(怜)選手が結構活躍していて、自分が目立ていない部分もあったので、悔しさを感じながらプレーしていたのが正直なところです。でもチームが最終的に優勝できたので、嬉しかったですね。


――FC東京U-18とはどんなチームなんでしょうか?

波多野 オンとオフの差がありすぎるチームですね(笑)。オンの時は冷静かつ熱く戦い、でもオフになったらはしゃぎまくる選手たちばかりです。でもそういう感じがいい結果につながっているのかなと。ちなみに僕はオンのリーダーで、オフのリーダーは鈴木選手です。

鈴木 いやいや、違います(笑)。まあ、確かにオフは騒ぎますけど(笑)。オンの時に関して言えば、いい時はいいですけど、悪い時に落ち込んでしまうというか、声を出す存在がいなかったので、これまではずるずると悪い方向に行ってしまうことが多かった。でも今年はJ3で水沼(宏太)選手とか吉本(一謙)選手とかトップで活躍する選手と一緒にやる中で、声を出すというのがすごく重要だなと感じました。そこは学んだ部分なので、クラブユースでは率先して声を出すようにしてました。

岡崎 居心地がいいですね。みんな明るくて。自分はセンターバックなんですが、クラブユースに関して言えばほとんど攻めっぱなしの試合が多かったので、後ろから見ていても安心できたし、個性の強い選手が多いので、楽しいチームだと思います。


岡崎はトップの選手と試合をすることで、そのレベルの高さをしっかりと肌で感じている。
岡崎はトップの選手と試合をすることで、そのレベルの高さをしっかりと肌で感じている。

――今年からFC東京U-23がJ3に参加しています。3選手ともその舞台に立っていますが、J3での経験は自身の中でどう役立っていますか?

波多野 かなり大きいですね。一つひとつのプレーがワンテンポ速いですし、シュートのタイミングとかもユースの試合とは全然違うので、いい勉強になっています。


――岡崎選手はここまで全試合に出場していますよね?(※インタビューは8/30に行った)

岡崎 はい。でも相手もそうなんですけど、FC東京のトップ選手とやれているのは自分中では大きい。本当だったら吉本選手なんかは、J1で出るべき選手ですし、ムリキ選手もそう。そういう高いレベルの人たちは、やっぱり試合の中で一番目立っている。あれくらいできないと上でやっていけないと思うし、そのレベルを肌で感じられるのはすごく大きいですね。

鈴木 技術的な面で言ったらやれるところや自信の持てるプレーもありますけど、体力やフィジカルで言えば、やっぱりトップの選手とはまだまだ差があるなと感じていますね。


――それぞれのプレースタイルを他己紹介という形で教えてください。まずは波多野選手を、他の2人はどう見ていますか?

波多野 それは聞きたい(笑)

岡崎 良い意味でも悪い意味でも、自分が自分がというスタイルですね。(波多野)豪の前で守っていると、やたら主張してくるんですけど、それくらい主張してもらったほうが自分としてはやりやすいです。そうやって自己表現する一方で、和ますところは和ましてくれるので、安心感もあります。オフでもひとりで騒いでいて、常に楽しそうにやっていますよ(笑)。

鈴木 GKのスキルはすごいと思います。確かに自己主張は激しいし、人に対しては厳しい。それでいいと思います(笑)

波多野 そう思ってくれていて嬉しいです(笑)。


――岡崎選手に関しては?

波多野 (岡崎)マコが前に立っていてくれると安心感が違うし、実際に失点も減りましたから。本当に頼れる存在です。

鈴木 対人の強さはみんなから見ても分かりやすいところ。ボランチをやっている僕とすれば、ビルドアップの安定感だったり、ロングフィードでFWにしっかりつなげてくれたりするプレーは助かりますし、すごいなと思うところでもありますね。

岡崎 ありがとうございます(笑)。あまりチームメイトに褒められることはないので、恥ずかしいです。


――鈴木選手は?

波多野 僕は小学校から一緒なんですけど、ユース年代になってようやく意識が変わりましたね。前ははしゃいだり、へらへらしてるだけでしたけど、ようやく最近になってしっかり声を出すようになったし、そこは成長したなと(笑)。

岡崎 中学時代は違うチームだったんですけど、当時(鈴木)喜丈はセンターバックで、自分のチームの監督から僕とキャラが被ると言われてました。実際にやった時に確かに似ているなと。しかも左利きでデカくて、すごい選手だなと思っていて、ユースに入って一緒になったらへらへらしてた(笑)。プレーに関しては、癖が強いというか、感覚が人とは違う。最初の頃は味方でも困るようなところにパスを付けてて。けど3年になって、その感覚やパススピードにみんなが慣れてきて、おかげでここまで攻撃力が上がった。一瞬のスピード感をひとりで出せる選手なので、すごいなと思います。

鈴木 嬉しいです(笑)。


トップチームの高橋 秀人を目標とした鈴木。技術の高さだけではなく、サッカーに対する意識の高さも見習いたいと語った
トップチームの高橋 秀人を目標とした鈴木。技術の高さだけではなく、サッカーに対する意識の高さも見習いたいと語った

――それぞれ目標とする選手を挙げるとすれば?

波多野 元FC東京で、今は東京ヴェルディのコーチをやっている土肥 洋一さんですね。僕は土肥さんを見てGKを目指したので、土肥さんみたいになれればいいなと思います。気持ちの入ったプレーが好きでしたし、土肥さんと一緒にやったことのある選手に聞くと、1対1でも入る気がしないと言っていました。そんな選手になりたいですね。

岡崎 僕は吉本選手ですね。J3で一緒にやるなかで、近くだからこそ力の差が分かりやすいというか。まずはあのレベルまで上がらないとこれから活躍できないと思っています。吉本選手の打開力だったり守備の安定感だったり、シュートブロックだったり、そういうところを自分のものにしていきたいです。

鈴木 僕は高橋(秀人)選手ですね。ポジション取りだったり、パスの選択肢だったり、一緒にやってみて自分とは違うところがあるなと感じました。サッカーに対する意識の高さも見習いたいと思っています。


――ところで、今夏のオリンピックは観ましたか?

波多野 観てないです。遠征中だったので早く寝ることを意識してました。朝でしたっけ?まあ、観る時間がなかったです(笑)。

岡崎 決勝は録画して観ました。日本の試合はハイライトだけですね。

鈴木 J3で一緒にやった室屋(成)選手とか中島(翔哉)選手が出ていたので、日本の試合は観ました。2人はJ3のなかではずば抜けていたんでどれくらいやれるのかなと思っていたんですが、あの2人でも通用していない部分もあったので、世界は広いなと改めて感じましたね。


「常に上のレベルを目指して自分自身を高めていきたい」と岡崎。4年後の東京五輪をしっかりと見据えている
「常に上のレベルを目指して自分自身を高めていきたい」と岡崎。4年後の東京五輪をしっかりと見据えている

――4年後の東京は意識していますか?

波多野 東京に決まった瞬間に、出たいと思いました。意識しまくりです。そのためには自分の弱いところを強くしないといけないし、強いところをもっと伸ばさないといけない。しっかりと磨きをかけて、後は謙虚にやっていきたいです。

岡崎 4年後を考えたとき、そこまでに試合に絡んでいないと難しい。いかに実戦経験を高いレベルで積めるかどうかで、立ち位置も変わってくると思うので、常に上のレベルを目指して自分自身を高めていきたいです。

鈴木 ユースではある程度試合に出れているけど、来年からはポジションを奪い取らないといけない。4年後を考えれば、プロ1年目からレギュラーで出られるようにしたいです。


「優勝しなくてはいけない」と強い気持ちを口にした波多野。3冠を目指すチームとしてもJユースカップは落とせない
「優勝しなくてはいけない」と強い気持ちを口にした波多野。3冠を目指すチームとしてもJユースカップは落とせない

――Jユースカップに話を戻しましょう。FC東京U-18は、2007年と2009年に優勝していますが、ここ2年はベスト4で敗れています。この結果をどう受け止めていますか?

波多野 僕は昨年の大会には出れていないんですけど、2009年の決勝をテレビで見ていて、僕もあの舞台で優勝したいとずっと思っていました。チームとしても3冠を目指しているので、優勝しなくてはいけない気持ちがあります。

岡崎 自分は1年の時にベスト4で負けたガンバ大阪戦に出ていたんです。怪我人の代理の代理みたいな感じで、Jユースカップのちょっと前くらいからスタメンに入って。でも、その時は当時のキャプテンの大西(拓真)選手の存在感に萎縮していて、いかに怒られないようにプレーするかしか考えていなかったんです。で、結果負けてしまって、それが3年生の最後の試合になったんですが、試合後に大西選手が、この悔しさを来年絶対に晴らしてくれと、涙ながらに話してくれたのを今でも覚えています。いきなり入って来た自分に対して、そこまで想いを伝えてくれたのは、最後の試合だったからこそだと思います。でも、そういう想いを背負って臨んだ去年も負けてしまったので、自分の中では3度目の正直という気持ちがある。だからこそ、優勝という大きな目標に向けて挑戦していきたいです。

鈴木 僕は1年の時、岡崎選手が出ている中で、ビデオ撮影係を担当していました(笑)。今回は3年生になって、自分たちが中心となってやれる最後の大会だと思う。クラブユース選手権も優勝しましたし、周りからの目も変わっていると思うのでそこで結果を出せるようにしたいです。


「重要な大会のひとつ。笑顔で終われれば」と鈴木。ここ2年はベスト4で敗れているだけに、タイトルへの想いも強い
「重要な大会のひとつ。笑顔で終われれば」と鈴木。ここ2年はベスト4で敗れているだけに、タイトルへの想いも強い

――やはりこのJユースカップは、集大成の大会という位置づけですか?

岡崎 高円宮杯チャンピオンシップに出られたらそこが最後になりますけど、出られなければこの大会が最後になりますね。

波多野 僕は3冠を達成したいので、Jユースカップを最後にはしたくない。ここで優勝して、もうひとつも勝つ。そういう想いでいます。

岡崎 僕はこの大会で先輩にいろいろと教えてもらいました。最後の負け方というか、かっこいい終わり方をしていたので。負けてかっこいいというのも変ですけど、最後どういう形で後輩につなげていくか。自分たちがやって来たものを見せられるか。そういう想いをJユースカップで見せていきたいです。

鈴木 最後かどうかは分からないけど、高校生の中で重要な大会のひとつなので、笑顔で終われればいいですね。


――ライバルチームを挙げるとすれば?

波多野 やっぱり東京ヴェルディですね。僕はFC東京が大好きだし、青赤の血が流れているので、緑のチームには負けたくないです。

岡崎 僕は柏レイソルです。柏に自分が勝手にライバル視しているセンターバックの選手がいて。今年は僕がプレミアリーグに出れていないので、まだ対戦できていないんですけど、ユースの舞台でもう1回やり合って、どれくらい上手いのか確かめたいですね。


――ちなみに名前は?

岡崎 古賀 太陽選手です。彼もトップ昇格が決まっているので、プロでやる機会もあると思いますが、まずはこのJユースカップでもう一度戦ってみたいです。

鈴木 自分は名古屋グランパスですね。昨年はクラブユース選手権で大敗して、JユースカップでもPKで負けているので、その借りをしっかり返したいです。


最後に意気込みを語った3選手。優勝という目標に向けてそれぞれの想いは既に大会へと向けられている
最後に意気込みを語った3選手。優勝という目標に向けてそれぞれの想いは既に大会へと向けられている

――最後に大会に向けた意気込みを聞かせてください。

波多野 クラブユース選手権の嬉しさは忘れられないので、もう一度あの喜びをJユースカップで味わいたいです。

岡崎 昇格する3人だけじゃなく、J3リーグのピッチに立った選手がたくさんいるなかで、この大会で結果を出せないと下も勝てないと思われてしまう。だから内容よりも、とにかく結果に拘った大会にしたいです。

鈴木 チャレンジャー精神を忘れずに戦っていきたいです。だけど夏のチャンピオンなので、相手を圧倒して、内容、結果ともにしっかり出していかないといけないと思っています。この3人が中心となって、頑張っていきます。

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