勝負の厳しさをまた教えられた。富山の選手、サポーターが抱いた「最終戦では勝利を」という期待は無残に砕かれた。弱さと敗北を認めろ、いうことだろう。そしてまた歩みだせばよい。その時、この悔しさがきっとばねになる。
富山はゲーム内容の良かった前節と同じスタメンで臨んだ。プレスの出足もよく、入り方は悪くなかった。7分にはMF森泰次郎がミドルシュートを放った。しかし、11分にCKから岡山に先制点を許した。左CKをファーサイドで競り勝ったFW清水慎太郎がこぼれ球に素早く反応してシュート、FW押谷祐樹が胸でコースを変えてゴールネットを揺らした。押谷は4試合の連続ゴール。
富山は直後に白崎凌兵のミドルシュートがDFの頭をかすめながらゴールを襲うがバーに弾かれた。セットプレーからあっさりと失点し、こちらは逆にわずかの差で得点を手にできない。今季を象徴するような展開が序盤から流れ始めていた。
岡山の影山雅永監督が「富山も前線の選手が怖い動き出しをしていて、安間サッカーというものを随所に出してきた。そこで追いつかれると難しくなると思っていたが、選手はよく自分たちを律してくれていた」と振り返る。富山は好機になりそうな場面はあったが、途中でミスが出てシュートまで持ち込むことができない。前線でボールをキープできず、中盤の攻撃ルートも岡山のタイトな寄せに寸断された。
富山はある程度ボールを保持しながらの試合運びを想定したメンバー構成だったが、1点を追う形になり、安間監督はハーフタイムに「もっと前を見て仕掛けよう」と指示。だが攻勢を強める以前に後半4分、追加点を許してしまった。ロングパス1本でDFの裏を取られ、岡山の清水に決められた。失点する時間帯の悪さ、やられ方の淡泊さも今季の問題点だった。その後、岡山は前掛かりになる富山をいなして決定機を量産。同40分にMF三村真がダメ押しの3点目を奪って有終の美を飾り、2012年のクラブ過去最高に並ぶ8位でフニッシュした。
富山は後半7分に苔口卓也と木本敬介を入れてスピード系のアタッカーを増やしたが、この後は逆に前に急ぐばかりで攻めが単調になった。同13分のCKからMF内田健太がヘディングで狙ったがGKの好セーブに阻まれた。パスを回すか・勝負球を入れて仕掛けるかの状況判断の難しさ、良い内容のゲームが続かない不安定さにも最後まで悩まされた。今季の開幕戦では互角以上に戦って0−0で引き分けた岡山に、今度は順位通りの力の差を見せつけられたかたち。約9カ月のシーズンは振り返れば短くも、チームを鍛えるには十分な長さがあることを感じた最終戦となった。
以上
2014.11.24 Reported by 赤壁逸朗
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