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【J1:第32節 仙台 vs C大阪】レポート:執念と後悔が入り乱れた6ゴール。仙台とC大阪は打ち合いの末に、痛み分け(14.11.23)

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この試合の公式記録上では、両チームのゴール数が3対3、シュート数が14対14と同じ。前後半に分けてみるとゴール数が前半2対1、後半1対2。シュート数が前半10対4、後半4対10。これだけを見れば前半は仙台、後半はC大阪のゲームだったともいえるが、ことはそう単純でもなかった。支配していた時間帯に取っていたゴールもあれば、押されていた中でもぎ取ったゴールもある。そんな6ゴールが入り乱れた打ち合いだった。

序盤は仙台がペースを握って進んだ。「試合の入りが非常に堅かった」とはC大阪の大熊裕司監督の言葉だが、C大阪が攻撃でミスを繰り返していたのに対して、仙台は「試合前に『相手の背後を突いていこう』という話をしていた」(梁勇基)という狙いをピッチ上で表現。3分に、3試合ぶりに復帰したウイルソンが相手の連係ミスを突くと、右サイドを突破。このクロスが中央に流れると、「自分のところに転がってくるとある程度予想していました。あとは決めるだけ」と言う野沢拓也が、“決めるだけ”というには難易度の高いシュートを突き刺した。
仙台はその後も攻勢を続け、C大阪にシュートもなかなか許さない。17分には、梁のCKに赤嶺真吾が頭で合わせてリードを2点に広げた。

流れが変わったのはこの後の時間帯だった。他会場の結果によっては引き分けでもJ1残留が危うくなるC大阪が捨て身の猛攻を仕掛けた。特に楠神順平のドリブルと杉本健勇のポジショニングが冴え、仙台守備陣を揺さぶる。仙台が2点をリードしたあとに守りに入るのか3点目を取るのか不明瞭になったところにこの“仕掛け”は効果抜群だった。38分には、楠神の突破から生まれたこぼれ球を、中に絞った杉本が蹴りこんで1点を返している。
仙台は「後半は少しトップを縦関係にして、どちらかが相手のボランチを見るようなかたちでオーガナイズを整えました」(渡邉晋監督)という修正をしたが、なかなかC大阪ペースは変わらず。72分には杉本が確実に右クロスを上げたことで、永井龍のゴールが生まれた。

これで試合は振り出しに戻る。仙台ベンチは攻撃の組み立てでミスが多く、なかなかトップにボールが収まらないことから武藤雄樹とハモン・ロペスを投入して攻撃陣の編成を変えた。これで仙台には前への推進力が生まれて一方的な守勢はひとまず食い止めたが、守備面では修正が完了しなかったために互いのゴール前をボールが行き交う忙しい展開となった。

それでも仙台はこの苦しい時間帯に勝ち越すことに成功する。梁がプレッシャーをかけたことで、高い位置でハモン・ロペスにボールが渡る。ハモン・ロペスが遠目の位置から迷わず左足を振ると、これが見事にC大阪ゴールに突き刺さった。
大いに沸くユアテックスタジアム仙台。だがこれでも勝負は決まらなかった。C大阪ベンチがこの日唯一交代カードとして80分に投入していたカカウが、90+3分に大仕事を果たしたのだ。最後の力を振り絞って攻勢に出ていたC大阪のなかで、自らも相手陣内に攻めこんでいた扇原貴宏が「自分のところからは厳しいと思ったので」と、右サイドのカカウにボールを託す。するとカカウは角度的に厳しく、相手DFがシュートコースを狭めていたなかでもシュートを判断。これが決まって3-3となった。
その後には仙台がC大阪陣内のFKで2度のチャンスを得たが、いずれも決められず。両者にとって、“痛み分け”といえるドローで試合は終了した。

「2-0にしたあとにオープンな展開にしてしまったのは我々が招いた結果」(渡邉監督)「後半のようなプレーを前半から出さなければ」(大熊監督)と両指揮官はそれぞれの試合運びでの課題を、試合後に振り返った。そしてともに、勝点1獲得を「プラスにできるように、前に進んでいきたい」(渡邉監督)「次に必ずつなげたい」(大熊監督)と前を向いた。残り2試合でJ1残留を決めるために、この日の勝点1獲得がそれぞれにどのような意味をもたらすのかに注目したい。

以上

2014.11.23 Reported by 板垣晴朗
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