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【J1:第32節 甲府 vs 広島】プレビュー:甲府がJ1残留をほぼ確実にする勝利を、紫の柏好文と青赤の盛田剛平の古巣恩返しダービーで手にすることが出来るのか(14.11.22)

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文京区本郷に住まわれるJリーグの神々は時には厳しいこともなさるが、リーグ戦終盤の日程についてはACL出場権争いでも、J1残留争いでも最後まで興味を失わせないマッチメークに大いに成功している。その中で、優勝の可能性も降格の可能性もないものの、残留争いをするチームと終盤に――ヤマザキナビスコカップの決勝を挟んで――まとめて戦わないといけないのが広島。第30節がA清水(3−1○)、第31節がH大宮(1−1△)、そしてG大阪とのカップ戦決勝を挟んで、今節がアウェイで甲府、次節は残留争いに巻き込まれて甲府と清水に敗れて優勝争いから脱落した川崎Fと連続してアウェイで戦い、最終節はホームに仙台を迎える。
清水戦は佐藤寿人の凄さが目立ったダイナミックな攻撃からゴールを重ねて勝利したが、大宮戦はオウンゴールの1失点を取り返すのに時間がかかり、終盤の逆転のチャンスに決められずに引き分けた。広島はヤマザキナビスコカップ決勝に向けて高めていたモチベーションをリーグ戦に振り向ける難しさがあるだろうし、相手の必死さは序盤のリーグ戦にはない気持ちがこもっていて難しさは1〜2割増しのはず。悔しさにまみれていたであろう中断期間を挟んでどう気持ちを向けてくるのかが注目点になりそうだ。

3節前(第29節終了時点)は16位だったが、川崎FとC大阪に2連勝したことで単独13位の立場をちょっとだけ固めた甲府。ただ、足場のコンクリートはまだ緩くて猫が歩けば確実に足跡が残る感じなだけに、「2試合で得た立場は、次の2試合でどうなるか分からない」という趣旨の話をして城福浩監督は戒める。ただ、今季のJ1で1番目か2番目に予算が少ない甲府がJ1残留に近づいた偉大な2連勝であったことも事実。ここは誇れるし、積み重ねを自信にして戦いたい部分。今節の甲府は14時のキックオフなので広島に勝って、17時キックオフのライバルにプレッシャーを与えたい。今節残留が決まればフロントとしても次節のホーム最終戦のF東京戦で2015年のJ1甲府としてのいろいろな募集かけることが出来るので、誰も口にしなくてもそう願っていることは感じる。今シーズンは大雪災害対応以外でも大きな支出が少なくなく、株高で沸く東京とは甲州街道で繋がっていてもそれを補うアベノミクスの恩恵はまだまだ三国峠のだいぶん向こうの話。こういう状況なだけに残留決定の勢いでクラブサポーター会員をドバ〜ンと増やしたいところ。

広島との縁では、幅広い年齢のファンから好かれている盛田剛平が出るのか出ないのかが気になる今節。彼の選手人生の中でポジションはディフェンダーとフォワードを行ったり来たりしているが、甲府で再びフォワードに振り子が振れて今季は2002年に大宮で挙げた4ゴールを上回って5ゴールを決めている。J1に昇格してからは広島戦に出場することを楽しみにしていたと思うが、退場者が出たりケガ人が出たりしてそのチャンスはなく、浦和戦で槙野智章、柏木陽介ら元広島勢と旧交を温めるだけだったが、今節はチャンスがありそうだ。試合前の選手紹介のときに甲府サポーターは柏好文に、広島サポーターは盛田に拍手を送ることになりそうだが、広島サポーターの皆様には盛田が在籍した8年間で4回しか見ていない“盛田ゴール(リーグ戦)”を山梨中銀スタジアムで見るのを“楽しみに”してもらいたい・・・。甲府のファン・サポーターは柏のゴールは去年だけで4回も見ているので、次節・川崎F戦のゴールをスカパーで見るのを楽しみにしています・・・。

ワールドカップで話題となった言葉、“自分たちのサッカー”を広島はやりきれば勝利の可能性が高いのかもしれないが、甲府は“自分たちのサッカー”をやりきっただけで勝てるチームではない。相手対策も重要な要素になる。今週の練習では城福監督自らが――紅白戦形式の練習ではなかったが――“仮想佐藤寿人”になって広島対策を行う場面もあった。その日は、毎日行う練習後のスタッフボール回しをキャンセルするほど“佐藤寿人”になりきって動き回った。前日練習でも広島のキーマンとなる選手の名前を何人か出しながら紅白戦形式でイメージを植えつけていたが、声を荒げた場面で見せた気迫は3週間の中断期間がなかったかのような緊張感をチームにもたらせていた。甲府の“自分たちのサッカー”の“攻撃”の部分では、「ちょっとは(以前よりも自分自身の)クオリティがよくなっているかなぁ」と話す盛田とツーシャドーのコンビネーションやウィングバックがどう絡むかが見所になる。また、運用は違うが3−4−2−1のスタートポジションが同じだけに両チームのウィングバックの攻防の部分やボランチの動きなどを楽しみたい。柏は今節は左のWBに回ることになりそうだが、そこに対峙する甲府の右サイドが、ツツッと突っかけてからクッと逆に切り返す速さで抜いていく柏のドリブルにどう対応するのか、柏が甲府のサイド攻撃に対してどんな守備をするのかなど局地戦でも楽しめそう。当然、高萩洋次郎、石原直樹、塩谷司など他にも気になる選手の名前を挙げれば2行ぐらい使ってしまうことになるが、現時点で被シュート数が一番少なく、失点が5番目に少ない理由をプレーで見せつつ、直近の2試合で挙げた5ゴールのリーグ戦終盤右肩上がりのJFK甲府の積み重ねゴールを見せ付けたい。

以上

2014.11.21 Reported by 松尾潤
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