ようやくここまで戻ってきた。浦和は11月22日、埼玉スタジアムでリーグ優勝をかけてG大阪と激突する。この頂上決戦を制すれば、実に8年ぶりとなる戴冠が決まる。
浦和がクラブ史上初のリーグ制覇を成し遂げたのは2006年。その時も埼玉スタジアムでG大阪を迎え撃った。逆転優勝を目論む関西の雄を最終節で蹴落としてJリーグ王者となったのだが、そこから先に待ちかまえていたのは苦難の道のりだった。翌年こそAFCチャンピオンズリーグで優勝したものの、それまで毎年のように何らかのタイトルを取ってきた浦和が2008年からパッタリと優勝から遠のき、2011年にはあわや降格というところまで凋落していった。
そこからかつて辿り着いた舞台までようやく戻ってきた。それはG大阪も同じだ。2000年代後半に栄華を極めてリーグを席巻する存在にまで上りつめながら、2012年にJ2降格。そしてどん底から這い上がり、再び頂点を狙えるところまで還ってきた。同じような軌道を描いてきた2つの線が再び交わる。
奇しくも浦和は開幕戦でもG大阪と激突し、その時は1−0で勝利した。しかし、G大阪はあの時と今とではまったく別のチームと言っても過言ではない。G大阪を牽引している宇佐美貴史はケガで不在で、パトリックもいなかった。遠藤保仁はゲームメークに専念できる状況ではなかった。柏木陽介も「ヤットさんが下がった方がリズムが出る。(宇佐美)貴史が帰ってきて、パトリックもフィットしている。あれだけ連勝できるのは本当に強いチームの証拠だし、勢いがある」と認識している。
浦和にとって気になるのはエース・興梠慎三の状態だ。G大阪との天王山で復帰することを目標にしてきた興梠だったが、20日の練習でようやく初めてボールを軽く蹴ったばかり。全体練習には参加しなかった。「なんと言っていいのかわからないけど、合流できないってことはそういう感じです」という本人の言葉から察するに出場は厳しいだろう。限られた時間ならプレーできる可能性はあるが、この試合で優勝がなくなるわけではない。おそらく無理はさせないだろう。
G大阪はこの試合に勝てなければ現実的に逆転優勝は難しくなるため必勝態勢で挑むはずだ。浦和は久々に満員のスタジアムでタイトルのかかった一戦に臨む。火花散る激戦になるのは間違いない。そしてこの試合では、浦和のコレオグラフィが復活する。壮観な景色が鮮やかに広がり、決戦のムードを高めてくれるはずだ。
かつて「ナショナルダービー」と称された両者の激突にふさわしい舞台は整った。埼玉スタジアムで今年最高の「We are Diamonds」が鳴り響くのか、それともG大阪が奇跡の逆転優勝に望みをつなげるのか。
以上
2014.11.21 Reported by 神谷正明
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