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【J2:第41節 長崎 vs 京都】レポート:京都がPKというワンチャンスで勝点3をゲットも、J1昇格プレーオフ出場の夢潰える。長崎の佐藤由紀彦が引退セレモニーで感謝を伝える(14.11.16)

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長崎のホーム最終戦となったこの試合。長崎のゴール裏にはJFL時代に柏サポーターから譲り受けたという黄色い布に黒字で書かれた佐藤由紀彦の横断幕が久しぶりに掲げられた。試合前からの大応援。明らかにこれまでのどの試合よりもサポーターの声量が大きい。ホーム最終戦、スタンドには今季限りで引退する佐藤由紀彦を勝利で送り出そうという気迫があった。

対戦相手の京都はJ1昇格プレーオフ出場の望みをまだ捨てていない。僅かな可能性に賭けて長崎に乗り込んできている。そんな京都に対して長崎はこれまで一度も勝ったことがなく、得点すら上げれていない。この試合、長崎の高木琢也監督は「個」で長崎を上回る京都に対し、「組織」で対抗しようと布陣を変えてきた。

小松塁と佐藤洸一の2トップ。さらには井上裕大と奥埜博亮の2シャドーに三原雅俊のワンアンカー。京都に対して誰がマークにつくかをはっきりさせる狙いだった。長崎は激しいプレスで中盤を制し、京都に攻撃の手立てを与えない。4分にはセットプレーの流れから小松がファースシュート。明らかに立ち上がりの流れは長崎にあった。

ただ、12分にアクシデントが起こる。長崎のディフェンスラインの裏へと飛び出した大黒将志についた長崎の山口貴弘がペナルティエリア内で覆いかぶさるように競り、京都はPKを獲得。これを大黒が冷静にゴール右隅に流し込んで先制。今季、自身の得点を26に伸ばした。

先制されたが長崎だったが、主導権は握ったまま。石神直哉が左サイドからクロスやCKでチャンスを量産した。あと少しといったようなボールが京都のゴール前を何度も横断した。38分には奥埜が小松にスルーパス。GKと1対1に。絶好のチャンスとなるも、シュートは戻ってきた京都の福村貴幸のタックルに阻まれる。得点は奪えなくとも長崎は京都の「個」を抑えこむことに成功。川勝良一監督から「空中戦がこれだけ続くような試合は私自身もあまり経験がありません」と言う言葉が漏れるほど、とにかく京都の土俵である地上戦には持ち込ませなかった。

ハーフタイム、両チームの監督は共に点を取る事を強く意識させて選手をピッチに送り出す。前半と同じような肉弾戦が中盤で繰り広げられ、こう着状態が続くも65分過ぎあたりから京都は落ち着いてゲームを作れるようになる。京都の後半のシュート数は僅か2本。決定的な場面は多くはなかった。終盤、長崎もDFの高杉亮太を前線に上げてパワープレーで得点を狙うも、京都はチャレンジ&カバーを徹底。虎の子の1点を守りきり勝点3をゲットした。流れの中からの得点こそ上げられなかったが、今季できなかった追いつかせずに、勝ちきると言う部分では大きな手応えを感じたはずだ。川勝監督もこの試合を「リードしてるところの落ちつき。クールに判断できるようつなげてもらいたい。そういう経験を手に入れたゲームだと思います」と評価した。

ただし、上位のチームが勝点を手にした為に、京都のJ1昇格プレーオフ出場の夢は今節で潰えてしまった。川勝監督は「プロとして最終戦は勝って締めたい。選手も一週間替わらず続けていくという気持ちも持っている」と語っている。

一方、高木監督は試合について「結果がリンクしないのがサッカー。そこは非常に残念です。良いゲームができてるのに。おそらくサポーターの皆さんはジレンマを抱いている部分もあるかと思います。当然反省もあります。その一方で京都相手に今日もトータルのシュート数で上回っています。言い訳ではなく、勝てない、点が取れていないことは前提としてありますが、ゴールチャンスは作れている。そこは悲観することなく選手たちにも言っています。実力も運も紙一重。(中略)いい流れが来た時に何ができるか。その準備をしておくという事です。来シーズンに向けての流れもできている。ただ、これを続けて最後のところを仕上げなくてはならない」と話し、今季の長崎についても総括した。

この日、ベンチ入りしたものの残念ながら試合出場は叶わなかった佐藤由紀彦。試合後の引退セレモニーでは「僕は物心ついた時からサッカーをしていました。僕のそばにはいつもサッカーがありました。そのサッカーは楽しいものでもあり厳しいものでもありました。輝かしい僅かな栄光。それ以外は毎日もがき続け、悔しいこともいっぱいありました。でも戦ってきました。サッカーが大好きだから。プロとしての生き方はこれで終りますが、これからもサッカーが大好きな生き方を続けていくと思います。最高の仲間と最高の幸せをありがとうございました」とこれまで関わった仲間やチーム、そして家族に感謝を述べた。

ゴール裏では、「正直、長崎に初めて来た時『やっちまった』と思った」と明かし、爆笑を誘うと、「長崎の街とサポーターのポテンシャルはこんなもんじゃないと思う。これからもV・ファーレン長崎をよろしくお願いします」と拡声器を通して挨拶すると、スタジアムには割れんばかりの「由紀彦」コールが起こった。

誰もいなくなった試合後のスタジアムでは早くも16日に行われる、第93回全国高等学校サッカー選手権大会長崎県大会決勝の準備が行われていた。引退発表をした後に、佐藤由紀彦がポツリとつぶやいた「サッカーは続いていく、人生もね」という言葉をふと思い出した。

以上

2014.11.16 Reported by 植木修平
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