J2リーグ・2014シーズンもJ1昇格プレーオフを除きあと2試合となった。湘南はホーム最終戦となる第41節、同じ神奈川の雄・横浜FCを迎える。
前節、アウェイ北九州戦に臨んだ湘南は4−0と快勝した。8対0という前半のシュート数にも如実なように、相手にチャンスをつくらせず、かたや自分たちはポゼッションを高めて主導権を手繰り寄せた。両者スコアレスで後半に入ると、相手のシュートがポストを叩き、セットプレーが続くなど北九州の時間帯も当然ながら訪れたが、GK秋元陽太を中心にこれを防ぎ、72分、交代間もない中村祐也が北九州のブロックの間隙を突いた。88分には菊池大介が続き、さらにオウンゴール、最後は武富孝介がねじ込んだ。
「大量点を取れたことではなく」曹貴裁監督がそう評したように、結果はもとより内容も充実した。J2優勝を決めて以後、相手に先制を許し今季初の連敗という苦い経験を経た彼らにあって、攻撃的な姿勢を貫きつつ着実に失点を防ぎ得点を重ねたプロセスに積み重ねてきた足跡が浮かぶ。
GK秋元は言う。
「後ろから見ていてもみんなの距離感がすごくよかったので、やられる気はしなかった。それでもピンチは絶対あると思って毎試合臨んでいますし、ああいうピンチがあっても、そのあとに4点も取ってくれた。ピンチでも後ろが耐えれば前が点を取ってくれるという信頼関係ができていると思います」。
一方、Shonan BMWスタジアム平塚に臨む横浜FCは前節、岡山に0−2で敗れた。互いにプレーオフ圏内を目指す激しい攻防のなか、積極的にシュートを狙い、得点率の高いセットプレーからゴールに迫る場面もあった。だが逆に相手の鋭いプレッシャーからハーフタイムを前に先制を許し、試合終盤にも追加点を奪われた。2連勝の後ここ2試合勝利がない。
湘南との4月の対戦では、横浜FCが1−3で敗れたものの、マッチアップするフォーメーションで臨み、先制点も奪った。湘南にとっては今季初めて先制を許した展開だった。前節の敗戦を受け、プレーオフ圏内に届かないことが決まった彼らだが、しかし契約満了が伝えられた山口素弘監督のもと、神奈川ダービーの前半戦の借りを返したい。曹監督も「横浜FCは経験豊富な選手が多い。その老獪さに呑まれないようにしたい」と一戦を見据えた。
対する湘南は現在、勝点95、得点79、失点22を記録している。「過去最強の湘南」を目標のひとつに掲げて踏み出した今季、史上初の開幕14連勝然り、ここまでに残した足跡は胸を張れるものに違いない。さらに勝点100も得点80も超えられる位置にある。
「勝点は分かりやすい結果」キャプテンの永木亮太は言う。
「勝点3にこだわって3ケタを目指したい。そして来年に繋げられる試合にしたい」。
前節の北九州戦をあらためて思う。先制ゴールの中村をはじめ岩尾憲や宇佐美宏和ら途中出場の選手たちの躍動に、「彼ら3人が流れを変えてくれたのは間違いないし、それまで出場していた選手と最後までピッチに立った選手が3人を引き立てたという言い方もできる。周りが心をひとつにして彼らの特長を活かしてあげたと思う」指揮官はこんなふうに語ったものだった。
チーム全体でまとまって戦う。自分たちらしい試合をする。チームを忘れない。ホーム最終戦、変わらぬ姿勢、変わらぬスタイルで勝点3を目指す。
以上
2014.11.14 Reported by 隈元大吾
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