長かったリーグ戦も残すところあと3試合。この第40節では現在勝点56で8位につける札幌が、同32で21位の讃岐と対戦する。6月に行われた前回対戦では1−0のスコアで讃岐が勝利しているカードだ。
ホームの札幌は前節、敵地で東京Vと対戦して0−0のドロー。J1昇格プレーオフ出場権を得るために勝点3を求めて積極的に攻め込もうとしたが、相手の東京VもJ2残留をかけてタフに挑んできたこともあり、なかなか主導権を奪い切ることができないまま、互いに潰し合って90分間を終えてしまった。
アウェイゲームということもあるが、相手の勢いに押される部分が多少なりともあったようだ。「イニシアチブを握るために自分達から仕掛けていく、オフザボールの動きの量、質がいつもより足りなかった」とバルバリッチ監督は振り返る。言うまでもなく、6位以内に入るために勝点3を目指した札幌のモチベーションは充分に高かった。しかし、やはり相手も同じように高いモチベーションで挑んでおり、そうしたシチュエーションのなかで思ったほど前に出られなかったということなのだろう。あらためてシーズン終盤はタフなゲームになることを実感させられる試合だったように思う。
勝点3を目指したなかで引き分けに終わってしまい、上積んだ勝点は1に。残り3試合で6位との勝点差が4という状況だが、「下を向く必要はまったくないと思っている。ピッチのなかで、やるべきことはやったと感じている」と指揮官は前を向く。そう、全勝を懸命に目指したからといって、それが簡単に果たされることはそうそうない。シーズンの終盤戦でやはり大事になるのは、勝てなかった試合後にどのようにポジティブになっていくかだろう。その意味では、バルバリッチ監督を中心にしっかりと立て直しをしてこの試合に挑めそうな気配である。
一方、札幌ドームに乗り込む讃岐の前節はホームで北九州と対戦して1−1のドロー。こちらもJ2残留のために勝点3を目指して戦い、残念ながらそれを果たすことができず得た勝点は1に。しかしながら、相手が現在4位の北九州だったことを考えると、ここで得た1は決して小さくないように思う。
「やってはいけない失点だった」と北野誠監督が振り返ったように、開始早々の8分にリスタートからのこぼれを蹴り込まれて先制点を与える苦しいスタートとなった。しかし、そこから気落ちせずに攻め込めたのは収穫と言っていいはず。先制点を奪われてからも高い位置から積極的にプレスを仕掛けてはボールを奪い、相手ゴールへ向かう迫力をしっかりと見せていた。実際にチャンスの数でも上位の北九州を上回っていたはずである。そして67分に沼田圭悟が決めて同点とすると、その後も押し込みながらタイムアップの笛を聞いた。
「決定機の数では上回りながらも勝てなかったのは痛い結果」と北野監督は悔しがるが、4位の相手に内容面で上回ることができたのは、やはり自信としていいはず。もちろん、最も欲しいのは勝点3だったことは間違いないが、プロセスなくして結果もない。こちらもまたポジティブなイメージでこの試合に挑んできそうな雰囲気だ。
さて、そうしたチーム同士の対戦であるが、やはり焦点は球際の攻防になるだろう。すでに記しているように札幌はJ1昇格プレーオフに進むためにも、讃岐はJ2残留を果たすためにも、どちらも同じように絶対的に勝点3が欲しいシチュエーションである。残り3戦とあって、その欲望はより一層切実なものとなっているだけに、球際でどちらがよりハードに戦えるかがひとつの大きなポイントになるはず。
「順位表はアテにならない」
終盤戦の渦中にバルバリッチ監督は何度もこう口にして目の前の試合に挑み続けている。このカードも8位と21位との対戦ではあるが、クロアチア人指揮官の言葉通り、順位など関係のない、タフなゲームが演じられることは間違いなさそうだ。
以上
2014.11.08 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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