「可能性がある限りはそこを目指す!」のは、誰もが思い行動する。「あきらめたらそこで試合は終了ですよ」とあの安西先生の言葉を聞いて奮い立った人も多いのではないだろうか。そして、アスリートならば「目の前の相手に勝つ!」ために戦うのが宿命であり義務である。
「何かしらのタイトルを取る!」と宣言して2014年シーズンを始動した鳥栖。優勝は厳しくはなってきたが、まだ可能性は残している。他チームの結果によるところは致し方ないが、勝っておかない事に話しにもならない。一戦一勝である。その鳥栖と対戦するのは、勝点差5で追う神戸。前回の対戦では、押し込みつつもホームで敗れてしまった。リベンジマッチである。両チームにとって負けられない一戦となった第31節鳥栖対神戸戦。この試合の行方を安西先生に問うと「勝負に“絶対”はない」と一蹴されることだろう。
鳥栖の残り試合は今節を含めて4試合。ラスト2試合は首位浦和(勝点差8)と3位鹿島(勝点差1)となっている。自力で勝点を3詰めることができるとして、浦和にはもう2敗していただかないといけない計算となる。その浦和は、ここに来て絶好調のG大阪との対戦を残しているので、リーグ戦の行方は予断を許せる状況ではない。繰り返しになるが、鳥栖は一戦必勝の状態なのである。前節の新潟戦のように鳥栖らしい運動量と激しさを抑え込まれてしまうと苦しいのは明白。試合開始直後から、ハードワークを出すしかない。
対する神戸は、前節大宮戦で6試合ぶりの勝利を挙げた。勝因は、守備でのハードワークを出し切ったこと。前回の対戦では優位に進めながらも、金民友の一発に沈められてしまった。繰り返しになるが、神戸にとってはリベンジマッチなのである。
この試合のターニングポイントは、“ハードワーク”。お互いに守備でのハードワークには定評がある。言い換えると、このハードワークからリズムを作っているということ。プレスの強さ、当たりの強さ、球際での強さ・・・全てにおいてハードワークを相手よりも出さないと自分たちのペースにはならない。その中で、相手に寄せられる前にシュートまで持っていくことができるのかどうか・・・。
攻撃では両チームの左サイドに注目しておきたい。鳥栖は、前回の対戦で決勝点をあげた金民友。個の力でも突破することができるし、シュートの意識は誰にも負けない。神戸では、前節の大宮戦で逆転勝ちの立役者 小川慶治朗である。彼に前を向いてプレーをさせるとチームが勢いを増す。彼らがどれだけボールに絡み、自由にプレーし、ゴール前に顔を出せるのかで攻撃のパワーが変わる。そうさせないためにも、守備でのハードワークがお互いに求められる。
シーズンも佳境に入っている。観る側は、上位がどうしても気になるものだが、下位からの追い上げも激しくなってきている。鳥栖は、柏、F東京、広島がすぐ下に迫っている。
神戸も同様に横浜FM、新潟、名古屋と迫ってきている。残り試合が少なくなればなるほど、勝たないといけない理由が増してくる。今節の試合も熱くなりそうだ。
そして、もう一つのドラマを紹介しておく。多くのファンを持つ鳥栖のイメージキャラクター“ウィントス”君の話題である。彼は、前節の試合前に特命を受けている。それは、サポーターのアイデアから生まれた『ウィントスキャップ』の1000個完売というものであった。
達成しなければ、ウィントス君は来季の契約が結べないとの条項が付いている。
あの鋭い眼差しとプアプアした容姿、歩くことと羽根をあげて写真に写るしか取り柄のない彼ではあるが、私たち鳥栖ファミリーの一員である。苦楽を共にした彼と来季も一緒にサガン鳥栖を応援したいと切に思う。彼のためにも、スタジアムに足を運んで欲しい。安西先生も「お前(ウィントス君)の為にチームがあるんじゃねぇ、チームの為にお前(ウィントス君)がいる」と仲間を大事にすることを教えてくれている。
ボールを蹴ることだけがサッカーではない。ボールが来ないように相手選手をマークすることも、スペースを消すこともサッカーを構成する大事な要素である。争点以外でもサッカーのプレーは行われているし、選手それぞれに役割を負っているのである。チームの中で、個人の技術をどれだけだすことができるのか、味方をどれだけカバーし助けることができるのか。そこを出し切った方が勝てるスポーツがサッカーなのである。
以上
2014.11.01 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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