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【J2:第38節 栃木 vs 福岡】レポート:前節から一転、ファイトした栃木と福岡。あるべき姿を披露したが、互いに決定力に欠けた。(14.10.27)

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栃木は今週のトレーニングの成果をピッチで表現することができなかった。「前半に失点しないようにトレーニングしてきたけど、結果的に失点してしまった。やろうとしたことができたとは言いづらいかな」とは本間勲。30分に失点を喫し、後半勝負のプランは崩壊した。また、79分に同点に追い付いたはいいが、そこから数多の決定機をこしらえながら逆転には至らず。今季の栃木がなぜ下位に低迷しているのか。その原因が如実に表れた一戦となってしまった。

指揮官と選手の見解には若干のズレがあった。「ちょっと前節(横浜FC戦)の良くないところを引きずった部分もあるのか、前半は少しアグレッシブさというか、本来我々が持っている良さは出せなかった」と阪倉裕二監督は前半45分を振り返ったが、一方で大久保哲哉は「(廣瀬)浩二と(杉本真)に決定機があったし、ゲーム内容は悪くなかった」と話した。確かに開始早々に福岡にシュートを打たれ、その後も圧力を受け続けた展開は、阪倉監督の見立て通りだった。そこからアングルを少し変えてみる。守勢に立つと5バック気味になる福岡を攻めあぐねたものの、大久保が言うように17分、26分に栃木は決定機を創出した。戦前にポイントに挙げた序盤戦の攻防でこそ後手に回ったが、そこから盛り返してゴールの匂いを感じさせるに至った。杉本がリンクマンとして機能したシーンでは、「必然的にいいリズムになっていた」(大久保)。しかし、肝心のゴールが決まらないまま、逆に福岡に一瞬の隙を突かれる。平井将生が突破を図ると、あっさりチャ ヨンファンは振り切られ、中に折り返したボールを金森健志が合わせ、荒堀謙次のオウンゴールを誘った。決めるところで決めないと痛い目に遭う。まさに、サッカーのセオリー通りの失点だったと言える。

プラン遂行に失敗した栃木だが、ハーフタイムを挟んだことで冷静さを取り戻したのか、反撃に打って出る。何度かカウンターから金森に決定的なシーンを作られはしたが、GK鈴木智幸を中心にDF陣が寸前のところでこらえた。この奮闘に攻撃陣は報いようと福岡ゴールを脅かすが、その度に「あいつは当たっていた」と大久保が苦い表情をしたGK神山竜一が立ちはだかった。ことごとく決定機を潰され、気持ちが萎えてもおかしくはなかったが、79分にお返しとばかりに栃木が隙を突き返した。山形辰徳が前線に素早くボールを供給し、右サイドのスペースに走り込んだ西川優大が競り勝ってマイナスのボールを送り、これを大久保が内側でプッシュ。79分に1―1になってからは双方とも足を止めての撃ち合いを繰り広げ、福岡の2回に対して栃木は倍の4回も逆転の機会を設けるも、2点目は遥か遠かった。

「今日は得点チャンスがたくさんあった。そういうところを決めないと勝てない」
そう悔やんだのは金森。3本のシュートを放ち、そのいずれもが決定的だっただけに決めたかった。後悔は消えないが、前節の群馬戦に比べれば、「自分たちのテンポでやれていた」(中原秀人)。ここ最近の悪い流れを幾分か変えられた。そんな実感を得られた勝点1だったのではないだろうか。あとは「最後の詰めをしっかりしたい」(金森)。

福岡同様に栃木も前節の「不甲斐ない試合」(廣瀬)から一転、最後の最後までゴールを目指す気概と姿勢は見せられた。ただ、19本もシュートを浴びせて1ゴールでは寂しすぎる。「今日のこういう試合で逆転をしないと、次へはつながらない」(GK鈴木智)。決定力向上に特効薬はないが、「1回のチャンスを物にしないと」とは本間。そのために、本間は「普段のトレーニングから高い目標を持ってやりたい」と続けた。勝点1に留まったことでJ1昇格プレーオフ進出は絶望的となったが、勝点1を得たことでJ2残留は果たせた。次に求められるのは、16位から一つでも上の順位でフィニッシュすること。残り4試合で4回の歓喜を味わいたい。

以上

2014.10.27 Reported by 大塚秀毅
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